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転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第1章
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第3話 勉強会と視線



「じゃあ問題、所持金は200ギルです。 一個30ギルの野菜を三個、一個20ギルの野菜を二個買ったらいくら残るでしょうか?」


「えっと……ん~」

「30ギルが三個で……えっと、90ギル……」


エミリアとウィルが揃って考え込んでいる。


勉強会、それは簡単な計算問題だ。


教えてるのは前の世界では小学生でやる様な簡単な掛け算と引き算だが、何とこの世界の人達、大半が計算することが出来ない。


商人をしている者も紙を使って長い時間を掛けての計算しか出来ないのだ。


そのためよく計算間違いだったり騙されて高く払わされたりもする様だ。


だから俺は二人に暗算を教えている。


知らなくても一応は生きていけるけど、知っておいて損は無いからな。


それからこの世界の通貨はギルと言い、考え方は前の世界と一緒だ。


てっきり金貨や銀貨等の複雑な通貨だとばかり思ってたから正直助かった。



「わかった?」


「えっと、多分わかった」


ウィルが少し不安そうな表情をしながらもわかったみたいだ。



「えっ!? もう!? ちょ、ちょっと待って!」


「大丈夫だよエミリア、時間はあるから落ち着いて考えて」


「う、うん、えっと……あっ! 私もわかったよ!」


ウィルより少し遅れてエミリアもわかったみたいだ。



「じゃあせーので言ってくれ、せーの」


「「70ギル!」」


「うん、正解」


俺の言葉に二人は嬉しそうに笑みを浮かべた。


エミリアに関しては嬉しそうにぴょんぴょんと跳び跳ねている。



「二人とも大分計算が早くなってきたね」


「うん! だってアルの教え方が上手だから!」


「そうだね、アルの話は分かりやすいから覚えやすいよ」


二人ともべた褒めだな、嬉しいけどちょっと気恥ずかしい 。


本人達には悪いけど、俺としては本当に簡単な計算問題を教えているだけだからな。


でも悪い気はしないから良しとしよう。



「じゃあ次はどうする? もう一度問題を出そうか?」


「いや、俺は体を動かしたいから打ち合いをしたいな」


「お、じゃあやるか?」


打ち合い、それは所謂剣の練習だ。


俺達はまだ子供だから真剣を持っていないが、いずれは持つことになる。


だから今の内から木の棒を使って練習をしているのだ。



「じゃあ二人がやってる間に私にはもう一回問題出して!」


「わかったよ、じゃあエミリアには……」


エミリアに先程よりも少し複雑な引っ掛け問題を出した。


難しい顔をしながら考え込むエミリアから視線を外し、俺は近くに置いていたいつも使っている手頃な木の棒を手に取る。



「じゃあ俺達もやるか」


「よし! 今日こそ勝つぞ!」


気合い十分な様子でウィルがこちらに向き直る。


けど、俺もそう簡単に負ける訳にはいかない。


俺はほぼ毎日レイドに頼んで剣術と護身術の練習をしているのだ。


レイドは自警団のリーダーをしているだけあって色々な対処を教えてくれる、しかもかなりスパルタで。


その甲斐あってかなり動ける様になった。


だからちょっとやそっとじゃ負ける訳にはいかないんだ、俺は。



「やあっ!」


ウィルが棒を上段に構えて向かって来た。


それを冷静に目で追い、軽く体をずらして難なくかわす。


かわされた事を瞬時に判断してそのまま今度は横凪ぎに棒を振るって来た。


流石にこれを避けるのは面倒だ。


俺も攻めることにしよう。


両手で棒を持ってウィルの攻撃を受け止めつつ、勢いをそのまま下に流す。


そして降り下ろされた棒の根元を鋭く叩く。



「うわっ!?」


根元を叩いたことで手が痺れ、ウィルは棒を取り落とす。


間髪入れずに棒をウィルの首筋に当てた。



「……勝負有り」


「ま、また負けた……」


がくりと項垂れるウィル。



「やっぱりアルには敵わないなぁ……」


「これでも父さんに鍛えられてるからな、簡単に負けたら凹むぞ俺」


「あははっ、レイドさんに鍛えられてるんじゃ僕はこの先一生敵わないんだろうね」


負けたにも関わらずウィルは清々しい笑顔を浮かべている。


まあその方が俺も変に気を使わなくていいから楽だけど。


ん? 何か視線を感じるな……。



「はぁ…………」


エミリアがどこかうっとりとした表情で俺を見ていた。


んぅ……多分、子供が憧れの視線を向けているだけだよな?


普通なら『俺に惚れたんじゃね!?』何て考えて浮かれるんだろうけど、どうも前の世界の記憶のせいでそういうポジティブ思考には考えられない。


変に浮かれて恥ずかしい思いをするよりマシだ。



「エミリア、問題は解けた?」


「ふぇっ!? あ、ま、まだだよ!」


「そっか、じゃあ教えながらやるよ」


勝負が着いたことだし、俺はエミリアの隣に行き先程出した問題を分かる様に説明を始める。


その間、相変わらずエミリアは視線を俺に向けていた。




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