第2話 親友
家を出ると暖かい日差しを全身に感じる。
俺の住むこの村はカザフトという名なのだが、夜や雨の日は冷えるが基本は一年を通して暖かい気候でとても住みやすい土地である。
人口は百人弱で、まあ村というだけあって余り大きなものでは無い。
そのため住人の大半が顔見知りになる訳だが、俺にとっては少しばかり気まずい。
その理由が……。
「あら、あの家の子だよ」
「相変わらず変わった髪ねぇ」
家の向かいにある井戸で井戸端会議をしていた数人の奥さんが、家から出てきた俺を見てひそひそと話し始めた。
そう、俺の見た目。
レイドも最初に言っていたが黒い髪と瞳の色というのはこの世界ではまず見ないものらしく、嫌でも目立ってしまう。
初めて家を出た時にはまるで珍獣を見る様な不躾な視線をあちこちから向けられ、危うく引きこもりになりかけるところだった。
まあそれも今は慣れて軽く流せる様になっているから心配は無いけど。
あ、そういえば俺の見た目なんだけど。
髪と瞳は今言った様に黒、それは前の世界と変わらないから俺としては違和感は無い。
身長は七歳の子供の平均より少し高いぐらい、このまま順調に成長したら結構背が高くなると思う、というか背は高くなりたいから頑張る。
そんでもって顔、これが驚いたことに自分で言うのもあれだけど、鏡で確認してみたら以前の俺が嘘の様な顔の整った美少年だった。
以前の俺はどう足掻いても普通のどこにでもいそうな顔立ちだったが、まさかこんな奇跡が起こるとは夢にも思わなかったよ。
将来はレイドみたいな男になりたいな、うん。
おっと、いけないいけない、早く行かないと遅くなる。
奥さん集団に軽く会釈をしてから俺は目的の場所に向かって駆け出した。
目的の場所、それはここから少し離れたところにある小川だ。
そこは俺"達"のいつもの溜まり場なのだ。
駆け出してから数十分後、小川が見えてきた。
その岸辺に二人の人影があり、俺に気付いて大きく手を振る
俺も振り返し、二人の元へと急いだ。
「もう! 遅いよアル!」
可愛らしく頬をぷくっと膨らませながら二人の内の一人、美少女という言葉がぴったりな少女が抗議の声をあげる。
彼女はエミリア、綺麗な金髪を肩まで伸ばし、まるで宝石の様に綺麗なエメラルドグリーンの瞳。
身長は俺より低く肩ぐらい、胸は……これから成長期だからどうなるかは不明だ。
「まあまあエミリア、そんなに怒らないで」
エミリアの隣に立つもう一人の少年がやんわりと宥める。
彼はウィル、男にしては長めの茶髪に同色の瞳、身長は俺より少し低く人懐っこい笑顔を浮かべている。
しかし村で大工をしている親の手伝いをいつもしているためたくましい体格だ。
しかしこのウィルはこんな人懐っこい笑顔を浮かべてザ・優男って感じなんだけど怒るとかなり恐い、マジで恐い。
でも基本的に優しい奴だ。
この二人がこの村で俺が唯一親友と呼べる相手だよ。
「いや遅れたのは事実だから仕方ないよ、ごめんなエミリア」
「ん……別に、怒ってないからいいよ」
「本当に? 良かった、ありがとう」
「あぅ……そ、それより早く始めようよ!」
顔が赤い気がするけど、機嫌を損ねた訳じゃ無いみたいだから良しとしよう。
よし、じゃあ今日も始めるか、俺の教える"勉強会"を。




