↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第2章
25/75

第22話 森の中で



あれから歩き続ける事数時間、周囲の景色は一気に変わった。


鬱蒼と広がる広大な森、遠くからは獣の遠吠えや鳥の囀りが聞こえる。



「アルファンド君? けっこう歩いたけど大丈夫?」


「山道を歩くのは初めてですけど、思っていたより大丈夫です」


「そう? 疲れたら直ぐに言ってね? まだしばらく歩かないと夜営に適した所に着けないから」


「ありがとうございます。 でも本当に大丈夫ですから」


俺の言葉にアーリアさんは一度頷くと再び前へと視線を向ける。


やはり元々旅をしていただけあってその足取りは軽く、気を抜くと置いていかれそうな程だ。


この時程体を鍛えておいて良かったと思えた事は無い、森の中を歩くのは初めてで、前の世界でもこんなに歩く事は無かったのだがそんなに疲れる程でも無い。


むしろ初めて見る景色にテンションが上がりっぱなしだ。



「アーリア先生は」


「アルファンド君? これから一緒に旅をするのに先生なんて他人行儀な呼び方はもうやめましょう? それに貴方はもう上級魔法を使える一人前なんだから」


「そうですか? 俺にとって先生は先生なんですけど」


「むしろ呼び捨てでも構わないのだけど、どう?」


「えっ? あ、じゃあアーリアさんに戻します」


「そう……まあ、それで構わないわ」


どこか残念そうな表情を浮かべながらもアーリアさんは納得した様に頷いた。


いや、流石に呼び捨てはちょっと申し訳ないんだよな、年上だし俺にとっては魔法の師匠だし。



それからは特に会話は無く、ひたすら歩き続けた。


途中魔物と遭遇するのではと期待したのだが、魔物どころか獣にすら遭遇する事無く夜を迎えた。


自然の光しか無い森の中の為、最早一寸先も見えない状況だ。



「この辺りが良いわね、アルファンド君、今日はここで休みましょう」


アーリアさんが周囲を見渡しながらそう言った。


大きな木が一本生えており、その周りは開けている。 確かにここなら何かが襲って来たとしても直ぐに対処できるだろうから夜営に適している。


木の根元に荷物を置き、薪となる木を集める。 集めた薪にアーリアさんが魔法で火を着けると暗闇が照らされた。



「食事にしましょう、簡単な保存食しか無いけど」


そう言ってアーリアさんは俺にパンと干し肉、水の入った水筒を差し出してきた。


受け取ってみると成る程、保存食と言うだけあってパンは固く干し肉はしょっぱいと思う程に塩が効いている様だ。


旅の中ではこの様な食事が基本になるという事なんだろうか?



「途中で魔物か獣を見つけられたらそれを食料に回せたのだけれど、今日はこれしか無いの」


「えっ? 獣はわかりますけど、魔物も食べれるんですか?」


「そうよ? 種族によって不味い魔物もいるけど、美味しい魔物は結構いるの」


「へぇ……食べてみたいです!」


「ふふっ、明日に期待しましょうね」


魔物の肉かぁ……かなり興味がある。 何せ今まで獣の、とは言っても鹿や猪等初めて食べた珍しいと言えば珍しい肉だが、この世界では一般的に庶民が食べる肉しか食べた事が無い。


明日からが楽しみだ。



「……しょっぱ!」


かじった干し肉の余りのしょっぱさに、思わず水筒の水で流し込んだ。



「慣れるまで大変だけど、旅の最中には何度もお世話になる物だから我慢してね?」


向かいに座るアーリアさんが苦笑いを浮かべる。


明日必ず魔物を見つけよう、内心でそう決意した俺だった。


我慢して再び干し肉へとかじりつき、水で無理矢理流し込むという行動を何度も繰り返している俺の目の前ではアーリアさんが平然と干し肉を食べていた。


……何か、悔しいな。



その時、突然遠くの茂みから音が聞こえた。



「っ!?」


咄嗟に剣を抜き、茂みへと視線を向ける。


向かいではアーリアさんも茂みへと鋭い視線を向けていた。


獣か? それとも魔物か? 緊張から汗が額から流れる。


俺とアーリアさんの視線の先、音がした茂みから正体が姿を表した。


その正体に、俺は思わず空いた口が塞がらなかった。


何で、そんな馬鹿な……。



「な、何で……こんな所に……!?」


「えっと……えへへ、来ちゃった」


気まずそうにはにかみながらその人物、エミリアは俺を見詰めていた。


向かいのアーリアさんも、口を開いたまま唖然としている。



混乱する俺とアーリアさんに、エミリアは不思議そうな顔で首を傾げるのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。