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転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第1章
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第7話 通過点





「はあっ!!」


目の前に立たされた杭に、全力で木剣を叩き込む。


場所は家の庭先、近くにはレイドが腕を組んで俺の動きを鋭い目で見ている。


今日は、俺にとってかなり大事な日だ。



この世界ではある一定の年齢を迎えた時、つまり誕生日を迎えた日が一人前と認められる日なのだ。


あれから三年経ち、俺は十歳になった。


そう、その一人前と認められる年齢を迎えた。


レイドは俺を庭先へと連れていき、告げた。



「アル、お前が一人前になったか見てやる、この杭を全力を持って叩き込み続けろ」


それまで優しい表情しか見せなかったレイドの、初めて見た鋭く厳しい表情だった。


それを見て、俺も表情を引き締めた。



俺はレイドをずっと尊敬していた。


素晴らしい剣術に、強さに。


だから、認められたかった、一人前であると。



「ふっ! やあっ!!」


杭を全力で叩く度に手が痺れ、激痛が走った。


以前の俺なら迷うことなく弱音を吐いて木刀を手放しただろう。


でも、今の俺は違う。


もう以前の俺じゃ無いんだ。


決して放すものか、耐えて耐えて、限界までやるんだ。


この杭を叩くのでは無く、"切る"と考えろ!



「っ……りゃあっ!!」


気合い一閃、突然叩いていた感触が消えた。


嘘だろ……? まさか、手放したのか……?


慌てて手元を確認すると、木刀は手放してはいなかった。


なら、どうして……?


杭へと視線を向けた。


驚いて開いた口が塞がらなかった。


地面に深々と突き刺さっていた杭が、半ばからまるで鋭利な刃物で切られた様に滑らかな断面を見せて倒れていたのだ。



「えっ……?」


何だこれは? 俺が使っていたのは木刀だぞ?


混乱している俺に、レイドが歩み寄って来た。



「アル」


「あ、えっ、ご、ごめんなさい」


訳がわからず、反射的に謝ってしまった。



「謝る必要なんて無いさ、合格だ」


「えっ? 合格……?」


「まさか"剣気"を使えるとは思わなかったが……文句無しの合格だ。 お前はもう一人前だよ」


レイドの一人前という言葉に、体が震えた。


やった……俺は、一人前として認められたんだ……!



「あ、ありがとうございます父さん!!」


深く頭を下げた。


十歳の誕生日、俺はとうとう一人前となった。



先程レイドが言った"剣気"というもの。


それはレイドも使うことが出来るもので、集中させた気を剣に纏わせることであらゆるものが切れるらしい。


ちなみにレイドは剣気により庭の隅にある岩を一刀両断して見せた。



「凄ぇ……!」


「極めればこんな風に岩や金属、魔法をも切ることが出来る様になるぞ」


「魔法を、ですか?」


何それ格好いい……!


あれか!? 所謂防御魔法を使っている相手に『無駄だ!』とか言って切り捨てることが出来るってことだろうか!?



「俺も父さんみたいになれる様頑張ります!」


「アルならなれるさ、俺でさえ木刀に剣気を纏わせてものを切るなんて芸当出来ないからな」


「えっ? そうなのですか?」


「あぁ、ましてや十歳の時に俺は剣気すら使えなかったんだ。 だからお前は凄いぞ、自慢の息子だ」


満面の笑みを浮かべながら、レイドは俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。


思わず顔が赤くなる。


褒められることが、頭を撫でられることがこんなに嬉しいものなのか。


子供扱いも、悪く無いかもな……。



「さあ、そろそろ夕飯だから行こう、今日はフィーが張り切っていたからな、ご馳走が待ってるぞ」


「はい!!」


レイドに促され家の中へ、フィオナの元へと向かった。





「アルー!! 誕生日おめでとう!!」


巨乳が襲って来た。


いや、フィオナが俺を抱き締めて来た。


うーん、相変わらず凶悪な巨乳だ。


規格外にも程があるぞ、フィオナさん。



「か、母さん、ありがとうございます」


「いいのよいいのよ! 貴方が息子で本当に良かったわ……立派に育ってくれてありがとうアル。 さあ、アルの為に沢山ご馳走を作ったから食べましょう!」


「ふふっ……はい!」


一瞬鼻の奥がつーんとしたけど、精一杯の笑みを浮かべてフィオナに笑いかけた。


レイドといいフィオナといい、俺こそ二人が両親で良かったと心から思う。


こんな俺を、実の子供ではない俺を、本当の息子として迎え入れて愛情を注いでくれた二人に。


以前の記憶を少し残し俺は生まれ変わった。


けど俺の両親はこの二人だ。


この二人が、家族なんだ。




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