オーディション(2)
私たちは昼休みを終えてオーディション会場である体育館へと向かった。
私たちは今日まで練習してきたことをしっかりと披露できるようにと三人で祈りながら会場へと向かった。
体育館ではすでにオーディションの準備が整い、いつでもオーディションが始められる状態だった。
審査員の席を見渡すと席には実行委員の生徒と多数の先生がスタンバイしていた。
審査院である実行委員には三年生の宮田大樹と同じく三年でこの高校の生徒会長を務めている高島愛梨と募集要項を提出した大谷伸明先輩と先生代表で真鍋先生と木下先生の合計四人がスタンバイしていた。
私たちの発表は三番目から五番目でで今回募集した人数が五人だったし、最後に近い順番だったので他のの生徒の発表を見た後になるのでものすごい不安と緊張に包まれていた。
とくに私は最後の五番目で私が最後の発表になるので澪や麗奈よりも私が一番緊張していた。
すると私たちにさらに追い打ちをかけるかのように私たちの手前の二組目で二年生のカップルのデートプランでまさかの拍手喝采が起きてしまった。
これで私たちの不安と緊張は最骨頂に達していた。
そしていよいよ私たちの出番が来た。
私たちは発表する前に軽く円陣を組んで挑んだ。
私たちの中で最初に発表するのは「別れの駅」を選んだ麗奈からだった。
麗奈は袖口から出て駅で待ち合わせをして彼氏が来たら本当の気持ちを伝えて別れ、その十年後に再会してハッピーエンドに持っていくというストーリーを作っていた。
麗奈の相手は審査員の宮田先輩だった。
麗奈は本当の気持ちを伝える場面で「心の中であなたのことが焼き付いていて離れない。」という女の子らしい言葉で男性陣の言葉をうまく惹きつけた。
次に発表だったのは「夏休み」を選んだ澪だった。
澪は夏休みの最終日という設定で真夏の海辺で告白をするという夏休みならではのストーリーを作り上げた。
その中で澪は「私の将来の王子様になってくれますか?」と澪自身の趣味である二次元風なストーリーで見ている生徒たちをアニメのワンシーンを観ているかのような空気へと惹きつけた。
そしていよいよ私の番が来たと心を切り替えたとたんにまさかの十分間の休憩に入ってしまった。
私はさらに時間が空くことに戸惑い、セリフやストーリーを輪忘れないように自分で作った台本を休憩することなく休憩の時間ギリギリまで読み返して練習をしていた。
ちなみに澪の相手は三年生で特別審査員の鈴木修平先輩だった。
そして十分後、トリである私の発表が来た。
私は話し合いの時に最後に残った「放課後」でストーリーを作り上げた。
設定は終礼が終わり部活へ向かおうとする彼を誘い出して教室で告白をするという設定だ。
私は緊張で震えながらも必死に演じた。
そして途中で彼氏がやってくるのだがその相手に私は戸惑ってしまった。
なぜなら私の彼氏役の相手はこの高校一の優等生で今回の実行委員長である大谷先輩だったからだ。
大谷先輩の登場に遠方で見ていた女子生徒からは歓声と羨ましいという声が飛び交った。
そして私と全校生徒の憧れである大谷先輩のカップル文化祭のストーリーが始まったのである。