オーディション(3)
私のお題は「放課後」だったので舞台終礼終わりの教室だ。
まずは朝方に彼の靴箱に「終礼後に教室に来て欲しい。」と書いた手紙を入れて彼が教室にやってくるところからスタートする。
ガラガラと教室のドアが静かな教室に響き、彼役である大谷先輩が入ってきた。
私は大谷先輩を見るなりさらに緊張が増していた。
「どうした?こんな時間に呼び出して。」
彼役の大谷先輩は私の台本通りに尋ねてきた。
「あのね、ちょっと大谷くんに話があって。」
私も台本通りにセリフをつぶやいた。
「なんだ?話って。」
「わたし、実はこの高校に入ってからずっと想っている人がいて。」
「その人に気持ちを伝えるにはどうすればいいのか悩んでるの。」
私は必死の演技で彼役の大谷先輩に気持ちを伝えるためにセリフをつぶやいた。
「な~んだ。そういう話かよ。てっきり告白でもされるのかと思ったよ。」
わたしは気を集中させて落ち着いた表情で演技をすることに専念していた。
「大谷くんなら気持ちを伝えるにはどのような言葉をかける?」
「俺か?・・・そうだな・・・。」
「俺なら素直に気持ちを伝えるかな?」
私は大谷先輩を待ってから次のセリフを言おうと構えていた。
「もし、俺が斎藤のことをすきとするなら、こう言うかな?」
大谷先輩は一息おいてから私に向かって気持ちを伝えてきた。
「俺さ、この高校に入ってからずっと心を寄せている人がいるんだ。」
「ずっとその人が頭の中から離れられなくて、いつか告白をしたいと考えててさ。」
「その想いを伝えたい人が俺の目の前にいるんだよね?・・・一回だけ言う・・・好きだ。俺と付き合ってくれ。」
大谷先輩の一言で会場はあっという間にロマンチックな雰囲気に包まれた。
私は一瞬、胸を打たれたがすぐに次のセリフをつぶやいた。
「もし、大谷くんがさっき言った好きな人への想いを私が大谷くんに言ったらどうする?」
その言葉を聞いて大谷先輩は本当の彼氏のように驚いていた。
大谷先輩の表情を見て私は間髪入れずに演技で気持ちを伝えた。
「さっき大谷くんが気持ちを伝えてくれた言葉の通りで、私・・・大谷くんのそばにいるとなんだか落ち着くんだよね・・・。」
私はここから本気の演技で想いを伝えた。
「私・・・実はこの高校に入ってからずっとあなたのことを見る度に胸騒ぎがして仕方ないの・・・。」
「どうやら私はあなたのことを必要としてるみたいなの・・・。」
そして私はついにクライマックスである告白の言葉を大谷先輩に投げかけた。
「私、大谷くんじゃないとダメななの・・・私と一緒になってくれないかな?」
私は恥ずかしそうに手を前に組んでかわいらしい態度を見せた。
そこで幕が閉まり私のデートが終了した。




