熱き恋のその後・・・
「夏美ー!ちょっと待ってよ!」
澪は必死に夏美のもとへと駆けつけた。
「なによ!澪、あなたまで私に突き付けるつもり?」
「違うよ。私は違う。落ち着いて・・・ね?」
「なによ・・・。」
夏美は澪の言葉にようやく落ち着きを取り戻し、ゆっくりと歩き始めた。
「夏美・・・ほんとうにごめん・・・。」
澪が突然、夏美に謝り始めた。
「な、なんであなたが謝るのよ。」
「それは、麗奈の友達・・・だから。」
そういうと澪は深々と頭を下げ続けた。
「ちょっともうやめなよ。あんたは悪くないんだから。」
すると澪は一呼吸おいてゆっくりと話し始めた。
「私も最初はそうだった・・・悔しい、これは何かの間違いなんだって。」
澪はあのカップル文化祭の本心を夏美に打ち明けた。
「もう一度やり直したい。ずっとそう思ってた。」
「でも、そこで私は確信したの。」
「何を?」
とっさに夏美が問いかける。
「夏美に負けたってことは私は先輩に対してここまでの思いしかなかったんだって。私より夏美の方が先輩にお似合いなんだって。」
「ちょ、ちょっと・・・。」
夏美は戸惑うが構わずに澪は話を続ける。
「だから夏美、私からお願いがあるの。」
そういうと澪は夏美に一つの思いを託した。
「絶対に先輩と幸せになってね。・・・応援してるから。」
澪はそういうと一つ笑って見せた。
「え・・・あ、ありが・・・」
「おーい!夏美ー!」
夏美が「ありがとう」と言いかけようとしたとき澪と同じく夏美を追いかけていた大谷先輩が追い付いてきた。
「じゃ!末永くお幸せに!」
そう言うと澪は夏美に一枚の紙切れを渡し去って行った。
「え・・・あ・・・・。」
夏美はその紙切れのことが気になったが、大谷先輩を優先にした。
「おい、夏美。待ってよ。」
「あ、ごめんなさい・・・。」
夏美はかなり息を切らしながら駆け寄ってきた大谷先輩に素直に謝った。
すると大谷先輩はいきなり夏美を抱き寄せた。
「え・・・先輩?・・・」
それはまるで恋愛ドラマのワンシーンのようだった。
「ごめんな。俺のせいで辛い思いさせちまって。」
「い、いや・・・別に・・・。」
夏美は大谷先輩の突然の行動に驚きと恥ずかしさを隠せないでいた。
時は過ぎてカラスの鳴き声がこだまする夕方。
いつものように部活を終えて夏美はいつも通りに自転車置き場へと向かった。
(ブーブーブー)
突然、夏美の携帯が鳴りだし、夏美は制服のポケットから携帯を取り出した。
「あ・・・。」
するとポケットから一枚の紙切れが携帯と一緒に取れ地面へと舞い落ちた。
「そういえば、これ。」
夏美はお母さんとの電話を終えてこの紙切れが今日の登校中に澪から受け取ったものだと思い出した。
「なんだろ・・・。」
夏美は恐る恐るその紙切れを開いた。
「は!・・・。」
夏美はそこに書かれた澪のメッセージに思わず泣き崩れてしまった。
そこにはこう書かれていた。
「必ず結婚して私たちを結婚式に招待にしてね!」
実は今日の朝の一幕は夏美を一目祝おうと麗奈と澪が考えたサプライズだったのだ。
これを見た夏美は麗奈のキツイ一言が実は麗奈白新の演技だったことを知り夏美はさらに泣き崩れた。
それから三年後・・・。
夏美たちは無事に高校を卒業し、それぞれ自分の夢へと向かい歩き出していた。
夏美は夢だったイラストレーターの道へと進み、大谷先輩はジムのインストラクターとして進んでいた。
そして夏美と大谷先輩が出会って実に四年の月日が流れ二人はめでたく結婚。
約束通り麗奈と澪も結婚式に招待し、二人は今でも末永く幸せに暮らしている・・・。 (完)




