第三話『あいつとの攻防』by猿。
投稿遅れてすみません! 色々あってこうなりました(笑) またペースが上がるといいんですが……
店を出ると一定間隔でポツポツと光る街灯が真っ暗な夜道を照らしていた。大通りから数本外れた道にあるコンビニ。大通りにも勿論コンビニはある。それも数えたら片手では足りない程に。だがそこを選ばずに、あえて辺境の地にあるここを選んだのは、単に楽がしたいからだった。事実、夜ともなると1時間に10人とやってこない。
7時半。行くにしろ帰るにしろ、大通りに出るまでは一緒だった。一定間隔で街灯が灯った道をいく。照らされては暗闇に包まれ、また照らされるの繰り返し。何となく、行ってみようかなと思う。だがその考えは、すっと一瞬で姿を消した。まるで、水面に頭を出す直前に、何かに引っ張られ《心》という沼に沈んでいくように。やがて、そいつはまた浮かんできて、沈んでいく。そのうち沈んでいる時間が長くなって、行ってみようかなんて考えは頭になく、帰ったらゲームでもやるかと駅を目指して足が動いていた。
気がつくと、道が店の明かりに照らされていて、車の走行音と街の喧騒が耳に入ってきていた。角を曲がって大通りに出る。冗談を言い合い笑う同年代だろう人達。そういったグループとすれ違い、追い越し、盛り上がる街の中、僕だけが一人ぼっちな感覚がした。それが錯覚だと理解していても、酷い惨めさが僕を襲う。それなのに行動しない、寧ろ逃げ出すのは一体どうしてなのだろう。どうすればいいのかなんて、とっくの昔に分かってるのに。それでも行動しない、逃げる、そんな僕が僕は心底《嫌い》だ。
ふと、あのバイトが言っていた事を思い出して足が止まった。
『好きになる努力をするか、そうでないか』
『ヒントは能動と受動、だ』
また、あいつが浮かんできた。行かないと何も変わらない。行けば何か変わるから。そう言って、必死に水面を目指す。それを食い止めようとする心。
どうすればいいのか分かって、それをしたくない心との矛盾は一人で解決するにはどうにも長引きそうな問題だった。欲しいのは一欠片の勇気。それは、自分で掴みとらないと意味の無いもの。
浮かんでは沈み、それを幾度となく繰り返して、道の脇で突っ立っていた僕を回りの人達が不思議に思い始めたであろう頃に、午後八時を告げる時報がスピーカーから聞こえてきた。
時間も遅いし帰ろうとしても、結局逃げ出すのかと自分に嫌気が差し、行こうにしても、心が邪魔をしてどうにも動き出せない。
突然、ポケットの中から着信音が響いた。画面には八木の文字。
「早く来いよ!もう始まってんぞ。ってか、めっちゃ可愛い子いるんだって。宮野さんって言うんだけどそれがさ......」
八木はしばらく口を動かし続けて、可笑しな事、驚くような事を恐らく全部言い尽くしたのであろう後になって
「やっぱ、用事悪い?」
そう言ってきた。
そんな八木になんだか申し訳なくなって、まあいっかと思って
「いや、そんなことないけど……」
少し控え目な返事を僕はするのだった。
電話が切れて、僕は行くことが決まった。けれど、あいつは水面に出てこない。僕は結局、自分から歩き出せない。
もしかすると+αのメンバーをなしで話数が増えるかもしれません。




