第71話 ゴブリンのお仕事10
日当たりの良いサロンでただ座っているだけだと眠くなってくるゴブ。
お菓子をいっぱいもらっておいしいお茶を飲むとまったりしてしまうゴブ。
・・・・・
「ミセッティ、ミセッティ、どうしたの?具合でも悪いの」
「ゴブ?」(はっ!寝てしまっていたゴブ~)
何か眠たいな~とか考えていたらそのまま寝てしまっていたようだ。
「もう~、お嬢様は熱心にダンスレッスンしている間にお昼寝ですか~。いい生活していますね~」
マリーがイヤミを言ってくる。自分はぽんこつのくせに。
「それに何だか甘くて香ばしい匂いがします~」
「ゴブ」(ぎくり、あいかわらずカンだけは鋭いゴブ)
「アイラちゃん、忙しいなか呼んでごめんなさいね、ミセッティが仕事中に何か気づいたみたいで説明してくるんだけど私たちだけでは分からなくて」
すかさず奥方様が本題に入り呼んだ理由を説明する。
奥方様もマリー以上にカンが鋭いからな、ナイスフォローだゴブ。
「そうなの?ミセッティ、何か気になることがあったの」
「ゴブ」(そうなんだゴブ、まずは色々と教えてほしいことがあるゴブ)
わたしはコスタリア領の全域地図が貼ってある壁の前にきた。
コスタリア領は直轄支配地域と頼子貴族が治めて自治をしている地域があり、大小合わせて10の貴族家が統治している。
前の世界で言えば県と市町村の関係ってところだな。
そして県知事であるところのコスタリア家が傘下の自治領持ち貴族家から税を一旦預かり国へとまとめて納付している。
わたしがやっていたのは各々の自治領から集められた税金を集計して国に収める分を取り分けていたんだゴブ。
「これは・・・うちの領地の地図ですね。何か問題でも?」
わたしは街道沿いにある3つの領地を指さした。
「ゴブ、ゴブ、ゴーブ?」(この3つの同じくらいの領地があるけどそれぞれ特別な役割や特産品とかあるゴブ?)
「ミセッティがこの3領地のことを聞いていますわ。特別な役割とかがあるかって」
「はぁ、この3領は同じ街道沿いで商人の宿場町、中継地点として栄えている領ですね。人口規模も同じですし、何か特色がある地域ではありませんが」
「ゴブ、ゴブ」(ここ2年間に戦争や災害があったり、大きな魔物被害があったわけでは無いゴブか?)
「ここ2年間に災害や魔物被害とかも無かったのか?ですって」
アイラお嬢様がきっちり翻訳して説明してくれている。
「う~ん、特に報告は聞いていませんね。あえて言えば真ん中のハーベスト領が先代が3年前ぐらいにお亡くなりになって現当主に代替わりしたぐらいかしら?」
「ゴブーブ、ゴブ」(今度はこっちの集計表を見てほしいゴブ)
わたしは机の上にまとめた3領地の直近2年間の納税表をみんなに見せた。
「ゴブ」(人頭税はほぼ同じ、通行税も同じ、作物の収穫量もほぼ同じゴブ)
「ふむふむ、これを見るとこの3領地がほぼ同じ経済規模なのが分かりますね」
「まぁ、もともと商人たちが道沿いに中継して休める場所として自然に発展していった場所ですからね」
「ゴブ」(これを見てほしいゴブ)
わたしは各領地の宿泊税、市場の販売税、不動産税をまとめた書類を見せた。
「・・・何ですかこれ。ハーベスト領だけ納税額が他の地域の半分以下です」
「同じくらいの商人が出入りしているのにこんなにも差が出るものでしょうか」
「ゴブ」(やっぱり変ゴブ?だからなにか特別な事情がないかと聞いたゴブ)
「何か特別な事情があるのか、とミセッティが言っていますわ」
「人頭税や作物の収穫分を収めるのは各地域の長も管理しているのでごまかしはほぼ不可能ですね。ただ領都の商売や土地の管理などは直轄貴族が管理しているはず」
「つまり、ハーベスト領都内で発生した収めなければいけない税金が・・・
「誰かによって途中で抜かれているのではないか?と言っていますわ」
「ゴブ!」(そういうことゴブ!)
「・・・・」「・・・・」
部屋の中がし~んと静かになってしまった。
「奥方様・・・これは・・・」
カタリナさんが重い口を開く。
「くくく・・・。ハーベストの坊や・・・やってくれましたね」
「ちょうど2年前といえば若様がお城に呼ばれて宰相補佐に抜擢されて少し経ったぐらいですか」
「ハーベスト様の馬車は毎回違ってすごいな~と思ってました~流行りに敏感ですしいつもきちっとした身なりでお祝いごとにはいつも豪華なプレゼントをご用意されてて悪いことしている印象ないですけどね~」
「私も少し派手好きで見栄っぱりだとは思っていましたが若くて見くびられないように背伸びしているだけだと・・・」
「2年間も放置していたことが分かれば我がコスタリア家の恥をさらすことにもなりかねない、由々しき事態です!至急、査察官をハーベスト領に派遣しなさい!」
実際、2年間も気付けず放置したのはサイネリア様だったからだと思うゴブ・・・
最初の半年は2割ぐらいの納税額の差がここ1年で5割以上になっていた。
完全にバレないと確信されて舐められているようだゴブ。
奥方様には恐いから言えないけど。
だがしかし!コスタリア家執務管代理のわたしの目はごまかせないゴブ!
「ミセッティ・・・。別にいいけど、また仕事が増えますわよ・・・」
アイラお嬢様が何か呆れたように独り言をつぶやいているゴブ




