第114話 招かれる客3
ここ一週間のパミルへの嫉妬を反省したゴブ・・・
この世に生きる者は皆兄弟、持ちつ持たれつで協力しあうべきだと思うゴブ
社会の一員としてそれぞれの役目をしっかり果たすのが豊かな生活の秘訣だゴブ
「ゴブ」(人は一人では生きていけないものなんだゴブ)
「ミセッティって普段は欲にまみれているのに急に悟ったような発言するわよね」
「ほんとです~生まれて3か月でしかも知力1にみえないです~」
「ゴブ」(これからは人のため社会のために役に立つゴブ)
「にゃぁ~、さすが先輩!ゴブリンとは思えないにゃ~、・・・ではおやすみにゃ」
パミルの奴は朝から寝床を整えてもう寝る準備をしている
・・・うらやましくはないぞ、さっきも言ったが人それぞれの役目があるからな
「にゃ~、朝から食べ過ぎてしまったにゃ~、もう眠くてしょうがないにゃ」
うらやましくないったらうらやましくない!ホントだぞ!
そして今日は週末の女神の日、元貧民街でわたしもバイトがあるのだ
セレスティーナ様もとい、セレスティーヌさんに呼ばれているのです
何でも聖女セレスティーナの墳墓を貧民街の教会の隣りに建てたらしく聖女の死を悼んで弔問に訪れる人々が絶えないとか
その中で《《事情》》を知る元仲間や会の会員達(何の?)が来るので若くなったことを自慢してわたしの施術を披露したいとのこと
やんわりとお断りしたのだがアイラお嬢様の平穏な生活を盾に押し切られたのだ
お菓子と《《少しばかりの》》銀貨も出すと言われて仕方なく出向いています
本当はイヤだけど仕方なくね、お菓子とお金に釣られていないゴブよ?
「ゴブッフ~」(遅くなったゴブ~乙女の外出には時間が掛かるんだゴブ~)
「あ~きたきた~ゴブさん、セレスお姉ちゃんが待ってるよ~こっちこっち~」
テトに案内されてきたのは教会でおなじみの懴悔室みたいな2部屋が仕切られていてお互いが見えなくなっている小部屋だった
「ようやく来たか、約束の時間より遅いが・・・まぁいいじゃろ、ミセッティにはこっちの部屋に入って待っていてもらうぞ。こっちに人が入ったらわしが祝詞を捧げて指示を出すから言われただけ年齢を若くしてやるのじゃ」
「ゴーブ」(了解ゴブ、部屋に置いてあるお菓子は食べていいゴブ?)
「もうお菓子食べていいか~だって、よくばりさん~」
「まぁほどほどにな・・・飲み物も置いてあるから無くなったら言うのじゃぞ」
ここでお菓子とジュースを堪能しながら入ってきた人をちょちょいと施術するだけでお金までもらえるとはなんて楽な商売ゴブ
パミルのことをうらやまけしからんと思っていた過去のわたしが恥ずかしいゴブな~
部屋に入ってどのお菓子から食べようかと悩んでいると早速一人やってきた
「ああっセレスティーナ様、お噂は伺っておりましたがいざこの目で見ても信じられません!我が会の幹部にのみ速報で情報をいただいたことを感謝いたします。まわりにはセレスティーナ様のお墓を一目見てくるだけと伝えてきました」
「ふふ、今は孫のセレスティーヌとして《《会》》の一会員、ただの案内役ですからお顔をお上げくださいませ、それよりも内容は聞いていますわよね?」
「はい、もちろんでございますわ、弔問費の名目でなんとか予算を捻出してまいりましたわ、アイラ派特別上級会員入会費として3枚、施術料として6枚・・・これが今回の限界でしたわ、全くもって口惜しい限りですが」
「よろしい、それでは女神セレスティア様の敬虔なる信徒メロディアナの信仰をここに示し、聖女アイラを通して女神の奇跡をその身に受けることを許可します」
セレスティーヌさんが仰々しく宣言するとガタゴトと向こう側に人が入る音がした
そして隙間から銀貨が6枚ほどチャリリンと挿入されてきた
いや銀貨と思ったら少し違った
白いメダルで数字しか刻印されていない
大きさの割に少し重たい気もするし噛んでみたらメチャ固かった
遊び用、依頼用にここだけで通用するメダルでも作ったんだろうな
「ゴブ」(ゲーセンのメダルゲームか自動販売機になった気分だゴブ)
「ミセッティー、何やってるの~6枚だから6年よ~わかるでしょ~」
セレスティーヌさんが小声で催促してくる
分かっているゴブ、少しだけ考え事をしていただけゴブ
わたしは[神界]を発動し年齢だけ-6した。ポチっとな。
「っっく、体が少し熱いです。これで私の身に奇跡が舞い降りたのですね」
「ふふ、見違えましたよ。でもこの奇跡は体への負担が大きいですから次の施術まで1年は間隔を置かなければなりません。来年のためまた寄進を貯めるのですよ」
「ああっどうして今回はこれだけしか持ってこれなかったのかしら!来年こそは旦那様をしっかり説得してありったけの寄進をご用意してきますわ!」
ご婦人は悔しそうだが今回はそれなりに満足して帰っていかれたようだ
「まいどあり~」
セレスティーヌさんも上機嫌なようだ
こんなメダルを寄進されて嬉しいのかね
わたしは金貨の方がきれいだし彫刻がかっこいいから好きなんですけど
「セレスティーナよ・・・話は聞いたぞ、おヌシとうとう長年の目標である永遠の若さと健康を手に入れたそうではないか、ワシも全てを投げうって人生をやり直したい。どうか最期の願いをきいてはくれんか」
窓の格子のすき間から覗いているとなんだかヨボヨボだけど身なりは豪華な爺さんがセレスティーヌさんと小声でしゃべっている
「ふふふ、大司教、よくぞここまでお忍びで来れたもんじゃの、わしの親書の中味がよく理解できたようじゃな。見よ、この若々しい身体を!まさに奇跡じゃ、女神に人生の全てを捧げ続けてきた甲斐があったと思わんか?」
「まさしくおヌシの言う通りじゃ、全てを捧げてきた我らこそ女神の寵愛を受けるにふさわしいはず、頼む!後生じゃ!我にも奇跡を、若い健康な体を!頼む!」
「ふふふ、よいじゃろう、しかし教会最高権力が一派閥に属しては問題になるんじゃないかのぅ、長い付き合いじゃからいじわるは言いたくないがの」
「ふん、そんなことは分かっとるわい、今日この日に大司教グレゴリアスは死ぬのじゃ、これからはグレゴリアスの最後の弟子グレゴリ《《オ》》スとして教会を、アイラ派を支えるつもりじゃ」
「そんなに単純に切り替えできるもんかぇ?」
「おヌシにだけは言われとうないわ!なんじゃセレスティーヌとは!舐めとんのか」
話はまとまったようだゴブ
メダルを70枚預かったそうで入会費3枚を抜いて67枚分ですね
「おヌシ・・・アコギな商売を始めたのう・・・恩恵にあずかったワシがいうのもなんじゃがな・・・ワシの全財産と教会の防衛費から何とか工面したぞ」
少し前までヨボヨボで歩くのも辛そうだった爺さんだったが、67年分若返ったら筋肉ムキムキのこれぞモンクっていうプロレスラーみたいな若者になっている
「きひひ、防衛費なんぞに手を付けて大丈夫なのかぇ?」
「ふん!ワシが若返ったほうが防衛力は上がるわい!また若いのをしごいてやるわ」
確かにセレスティーヌさんとこの爺さんがいればそこら辺の魔物どころか転生者が束になっても勝てなさそうだな、ステータスとスキルレベルがおかしいゴブ
セレスティーヌが出している奇跡の条件
1.聖女アイラ派への所属
2.担当窓口はセレスティーヌのみ
3.具体的な施術、場所などの口外禁止
4.施術は1年に1回のみ
5.初回入会費としてオリハルコン硬貨3枚 施術料は1年分に付き1枚
補足
オリハルコン硬貨は国家間の取引や高位貴族の契約などに使われ普段の生活や取引ではまず目にすることはない
オリハルコンにシリアルナンバーが刻印され[固定][証明]の魔法がかかっている
溶かしたり伸ばしたり加工が一切出来ないため素材としての価値は無い
金貨1000枚分として取引されている
(金貨1枚10万円→オリハルコン硬貨1枚1億円)
そしてセレスティーナ様の少し上段に大司教グレゴリアスの墳墓が新しく建設されましたとさ
相次いで亡くなられた教会の2大シンボルに教会内では一時深い悲しみに包まれたがお墓参りの次いでに聖水温泉に浸かって帰るというお決まり旅行が信者に流行りコスタリア領都に遠方からも旅行者が訪れるようになったらしい
高位貴族や豪商人さんにも熱心な信者がいるらしく1年に1回は必ずお墓を訪れる方がいるとか
特に奥様たちの間で1年に1回は訪れて疲れを癒してくることが常識になっている
元気になった奥様に反比例してなぜかご主人様たちは疲労が激しいという
亡くなっても多くの方々に思い出されるなんて人徳があったんだゴブな
2人とも若返っただけで元気にされていますけどね~
知らない人々は悲しんでいるから少し心苦しい気もするゴブ
まぁ誰も直接傷つけていないから大丈夫ゴブ
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「ぶるぶる・・・また今日も激しい寒気が・・・」
「今日もですか~ちゃんと体調管理してくださいよ~お嬢様が悪く(以下省略)」
コスタリア家のお屋敷は今日も平穏です




