11-2 謎の天才女優、現る②
そして、記者会見は、終了し、新作映画「女優魂」の主演女優オーディションについて、その内容が、近日、発表されるということであったのだが、急遽、オーディションは、しばらく見送りという発表があった。
すると、それよりも半年前のこと。
国内最大規模の劇場である「黎明劇場」において、上演される舞台「エメラルダ女王」の稽古が行われていた。
ある日、劇場より、119番に連絡が入り、主演女優が舞台から落ちて、救急車が要請された。
そして、舞台関係者が集まり、緊急会議が開かれていた。
座長から、
「大変なことになった。主役のエメラルダ女王役の美貌野美津子は、腰の骨を折って重症だと連絡があった。これほどの演技力のある大女優は他にいないので、もちろん代役などは考えられないし、この舞台は、ここまでの規模の舞台は、近年珍しく、それに加えて、海外からも要人を招待している。中止などは、もちろん、回復するまで延期にするわけにもいかないんだ。」
「それなら、いったいどうしたらいいんだ。」
すると、スタッフの1人から、
「ちょっといいですか。そうなると、誰か代役に相応しい人をさがすしかないでしょうか。」
制作関係者からは、
「もちろん、難しいことだが、現実的にはそれ以外の方法は見当たらないな。しかし、美貌野美津子の代わりが務まる女優なんているのかな。パッと考えただけでも、全く思いつかないよ。それに、万が一見つかったとしても、スケジュールが合うかもわからない。上演まで、あと1週間しかないんだからね。」
すると、そのスタッフの1人から、
「あのう、ネクスト、って、知ってますか。」
「なんだい、それは?」
「いわゆる、舞台などの代役を務めるという、、、。」
「ああ、今、うわさの、いわゆる代役屋だろ。何か聞いたことがあるな。だけど、小さな劇団とかで、穴がぬけたときの代役だったって話しだろう。おいおい、今回のは「黎明劇場」だぞ。それも、美貌野美津子の代役だよ。素人のわけのわからない代役なんて、冗談だろ。」
すると、そのスタッフは、真剣な表情になって、
「いや、実は、私もそう思っていたんですが、知り合いが、たまたま頼んでいて、その話しを聞いたんですよ。ちょっと話しだけでも聞いてもらってもいいですか。」
「おいおい、本気かい。」
「もちろんですよ。美貌野美津子の代役ということも、この「黎明劇場」の大舞台ということも、すべて踏まえた上で考えて、お話ししているんです。」
「なんだって。そんなに言うなら、一応聞いてやるよ。聞くだけだぞ。話してみろよ」




