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7階 ~呪われマンション『ヒアアフター』~  作者: 犬冠 雲映子
ユルカのゆるゆる夜勤勤務
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最終話

「お七さん、お七さん、もういいよ。貴方を殺めた地主の一族も村の人たちもこの世にいないよ」


 オーナーの皮を被った「お七」を内側から必死に取り出そうとする。


「そんな謳い文句で恨みがなくなる訳ないよね。でももう、良いんだよ」




 正体を現したお七はどこにでもいる年頃の娘だった。きつく抱きしめると、重力に伴い下がっていくのを感じながら、それでもいいや、と瞼を閉じた。



「二人でやっていこうよ。今度は苦しい場所じゃなくて、この土地に縛り付けられた人たちを安心させる場にしよう」


「そんなの、何百年かけてもできないわ。貴方にはこの苦しみが分かるわけない」


「してみせる。約束する」

「神と約束するなんて、愚か者よ」

「うん。私はバカだから」

「私も、つくづく情に弱いオンナね……」

 二人は沈んでいく。底のない暗闇に。






 エレベーターの底から爆発的な濁流が噴き出し、全ての階に本流となっておしよせる。

 ロビーもただ事でなく、物にしがみついたシンリュウも巻き込まれた。それは外にも溢れ出し、視界はめちゃくちゃになる。


「ユルカ、ありがとう」

 るるみが嬉しそうに呟いた声がして、意識が途切れた。




「……あ、いってて……助かったのかしら」

「許鹿?! 許鹿は?」

 ロビーに三人は転がっていた。いつもの昭和から変わらぬ落ち着いた内装。そうして、

「帰ってきたよ」


 フロントマンに近い制服をまとったユルカがエレベーターから降りてきた。「か、管理人になっちゃったのー?!」

 藍田のツッコミに彼女は首を横に振る。


「ううん。マンションの、いや、沼の管理者になった……みたい? とりあえずシンリュウさん、ご入居おめでとうございます!」

「……。それって私が死んだって暗に言ってるじゃない」


「あはは」






 マンション『ヒアアフター』は古くから怪奇現象が起きるとされ、変な噂が絶えない。飛入市の市外でもそれは有名だ。

 それは今でも変わらない。たまに浮浪者の死体が見つかったりするが――変わったのはマンションの周りは水が湧き出し、沼があるという点だ。いきなり湧き出した沼に、住民は恐れおののき、神社を立てたという。


 それもまたユルカたちの知らない話。

2024年〜2026年、約2年もかかりました(汗)

何とか完結させることができました。

小説を執筆している間、めげそうになったりもしましたが、物語の内容にそって物事を調べたりして知識もつきました。

めげたりしょげたりしても、身につくものは多少なりともあるみたいです。

見つけて頂きありがとうございました。

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