7.ようやく運転できるようです
なんやこんやで、免許ももらったし、いよいよ発車できる。
などと思ってニヤけていた時期がありました。
「今、この路線は善君の世界の川崎としか繋がってないのよね。
でも、川崎に走っていない電車がいきなり現れたら、パニックにならない?」
いくら、185系と兄弟車だとしても、2ドア転換クロスシートの電車は東海道線には走ってない。
うーん無理か・・・。せっかく117系出したのに、走らせられないなんて、殺生な・・・。
「そんな善君に朗報よ。こっちの世界で鉄道網を広げて、往来をひろげしやすくしたいって、最初に渡された資料に無かった?」
いや、貰ってから読む時間ないし、それじゃまるで会議直前に資料を送り付けて、何だ資料を理解せずに会議に出るとは何事だと言う、お前こそ何事だと言いたい上司みたいじゃないか?
サラリーマンやってると有るよね、みたいなお約束事がこっちの世界でもあるとは・・・。
「私いらない子なんだ・・・・」
いい年した閻魔様がすねた。
「子供かっ」
テッテレー。どこかで聞いたレベルアップの音が聞こえた。
コピのランドセルから聞こえる。
「 すねる のレベルが1上がりました」
ってか、すっかりコピのことを忘れてた。コピと目が合った。善行はHPが10下がった。
何とか、エマ、コピをなだめすかして、こっちの世界に鉄道網を広げる話に戻した。
「EXCELで土地を広げられたんだから、線路も広げられるんじゃないのか?」
まず、A1は三途川駅があるこの空間として、隣の土地A2、さらにその隣をA3・・・としていく。各土地間距離を1と固定すれば、運転距離は土地間距離の累積だからA1、A2、A3となるにつれて、運転距離が1,2,3と均等に積み重なっていくので、X軸を土地名にして、Y軸を運転距離にすれば、正比例の直線が描ける。これで、線路を広げられるんじゃないのか。
えーい、これで念じてみよう。
なんか三途川駅から新しい線路が引けている。
正比例のグラフを思い浮かべて念じたので、線路も直線だ。
ポイントとか細かいところは、その場で念じて調整しよう。
まずは、6番線と新しい線路を繋げて、117系が動ける状態に念じた。
よし、これで、ようやく動けるようになったぞ。
さっそく運転席に乗り込み、ドア閉、ブレーキ解除、ノッチフル。
117系は滑るように三途川駅を発車した。
やがて快適に加速し、スピードメータは120km/hを指している。
徐にエマが口を開いた。
「善君。出発したのはいいんだけど、もうA2の土地を通過したけど・・・」
あっ、駅作るの忘れてた・・・やば。