9.町に行くようです
「エマ、A2に着いたけど、降りても大丈夫か?」
「大丈夫。A2の町を案内するわ。」
えっ、ポリゴン世界に駅と線路が有るだけなのに、どこに町があるというんだ。
「善君。マスコンキー外して持ってきてね。あと忍び錠で、運転席に入れないようにしてね。」
やっぱ何かいるのかこの世界・・・・。まぁ、気にしてもね。運転室の鍵もかけてと。
3両分くらい歩いて、田舎の駅舎にたどり着いた。なんか、Nゲージで見たようなフォルムだな。
当然、駅舎の中は誰もいない。というか、改札が無い。後で念じて作らないと。
エマ、コピが先を行き、そのあとをついて駅舎から町があると思われる方向に歩いた。
駅舎を出た瞬間、目の前は道路と住宅しか見えない。
今出た駅舎を向くと、何の変哲もない田舎の駅舎がポツンと建っている。
でも、駅舎以外の線路とかホームとかはなぜか視認できない。
靄みたいなもので隠されているような。
そういえばA2って言ってるけど、EXCELで土地を管理する際に便宜上つけた名前だった。
最も、今まで鉄道が無い=ほとんどの人は自分たちの土地以外に土地が有ることを知らない。
町の名前は有ったほうが後々便利そうだ。まっ、今は置いといて。
建物は有るけど2階建ての普通の一軒家しかない。
ひたすら同じ形、同じ色の家、同じ幅の道路。まるでドロステ効果
「善君、何ボーっとしているの?闇に捕まるよ?」
「闇ってなに?捕まるって????」
エマの話だと、こっちの世界では、生物に見えるものは仮初の姿らしい・・・。
魂だと会話ができない、意思疎通に困るからと、三途川駅の入界審査時に入れ物を貰える。
で、人の形、虫の形、犬や猫の形など、ポイントに応じて選択肢があるとのこと。
ポイントについて詳しく聞こうとしたけど、それは秘密らしい。
いや、それより、闇ってなんだっていうと、仮初の姿を奪う奴らがいるらしいんだが、
どんな奴らなのか見た人がいないので、便宜上、闇としているとのこと。
「そうか善君は捕まっても取られるものないし、大丈夫だった。(笑)」
なんか、こっちの世界も犯罪っぽいのが有るんだな。
エマ、コピについて、前に3軒、左に8軒、左に4軒、右に5軒、左に2軒、右に5軒進むと
いきなりビルが現れた。
後ろを振り返ると靄に包まれて何も見えない。普通に来てもたどり着けないようだ。
「おかえりエマ。ご飯にする?お風呂にする?それとも・・・・」
だれ?この人?