cord.9 悪魔-狂気
「レイル!リオン!どうしてここに!?」
エレメンツであるミトは2人に話しかける。すると長身で茶髪の男、レイルが静かに口を開いた。
「手荒な真似をしてすまなかった。私達はある調査をしているのだ。そこでお前達のしている事を知った。お前達の知っている事全て、教えて貰いたい。」
「ケッ!!おいレイル!んな言い方しなくても力ずくで言わせりゃいいだろ!」
小柄な赤髪の男、リオンが荒々しく言うのを止め、レイルはジーク達を見る。
「…生憎、俺達はお前らが求めてる情報を持ってない。それに、知っていたとしても殺し屋の規約だ。言えない。」
そうジークはハッキリと告げる。それに続いてミトも言う。
「悪い2人とも!俺達は何も知らない!」
そのミトの言葉を聞くと、レイルはそうか、と静かに言う。
「じゃあ…!吐かせるしかねぇよなぁ!!」
リオンは背中に掛けていた大剣を抜き、炎を纏わせる。
「私達も、手荒な真似はしたくないのだがな。」
レイルもそう言うと手に持っていた鎌を構え直す。一瞬の沈黙の後4人は一斉に踏み込んだ。
「オラオラァ!!俺が短気なのは知ってんだろぉ!!ミトォ!!」
「くっ…!年々短気になっていくね君は…!!」
「ミト!ったく…!知らねぇっつってんだろ…!レイル!お前までどうしたんだよ…!」
「お前達は何も知らぬ訳はないのだ…!関わっているのだから…!吐けば直ぐに手を引こう…!」
何を言われているのか分からないジークとミトは守るので精一杯だった。
「チッ…やるしかないか…!」
そう言ったジークは横に薙ぎ払われたレイルの鎌を軽く避けると距離を置く。そして左手を地面に付け、右手をレイルの方に向ける。それを感じ取ったミトは直ぐにリオンの攻撃をかわし、ジークの近くまで下がる。
「閃光魔法…!!」
そして放たれた光にレイルとリオンは包まれる。その隙にジークとミトの連携プレーが2人を襲う。瞬間、レイルの叫び声が聞こえその場にいた全員が固まる。光が弱まり姿が見えると、傷だらけの2人が見える。しかしレイルの様子がおかしかった。リオンがレイルを庇い、大剣を構える。
「んだよレイル!!てめぇどうした!!」
そんなリオンの言葉には反応せず、レイルは座り込み顔を押さえている。
「…レイル…?待ってくれジーク、レイルがおかしい…!なぁリオン、どうしたんだよ!」
「聞きてぇのはこっちだ!!おいジーク・カルロス!!てめぇ何しやがった!!」
焦りを露わにしたリオンに驚きを隠せないジークは答える。
「俺は閃光魔法を使っただけだ!動きを封じる閃光魔法の下級魔法だ!」
「じゃあ何だってこいつがこうなってんだよ!!」
怒りを隠せないリオンは怒鳴り散らす。と、次の瞬間リオンの後ろに座り込んでいたレイルが魔法でリオンを吹き飛ばしたのだ。
「なっ!?レイル…!くっ…!てめぇどういうつもりだ!!」
何とか受け身をとったリオンはレイルにそう叫ぶ。
「…フフ…危ナイトコロデシタ、ネ。」
不意に魔力の質が変わったレイルに、ジーク達3人は寒気に襲われる。
「んだてめぇ…!!」
そう言ったリオンを吹き飛ばし、不敵な笑みを浮かべ続ける。そして今度はミトを吹き飛ばす。
「どういう…事だ…!?」
このドロドロとした魔力は感じた事があった。セイトと戦った時だ。
「く…!どういう事なんだ、リオン…!」
「知るかっての!!」
そんな言い合いをして戻って来た2人を見てジークは告げる。
「…あれはレイルじゃない。ミトなら分かるだろう、このドロドロとした魔力…あの時と同じだ。」
その言葉にミトも気が付く。目の前の男がいつものレイルでない事は皆分かっていた。ただ、そうなると問題なのはこれをどう抑えるかだった。セイトの時は加減せず殺した。仕事でもあったからだ。しかし今の相手に罪がなければ依頼を受けた訳でもないし、ましてや顔見知りだ。それをあんな無残に殺す事は、気が引けた。しかし手を抜けば自分達の身が危険なのも分かっていた。
「私ハ悪魔、狂気デ御座イマス。コノ者ニ呼ビ覚マサレシ悪魔ノヒトツ。ソレヲ目覚メサセタ貴方方ニ待ツノハ死ノミデス、ネ。」
そう言ったレイル…いや、悪魔は莫大な魔力を放出させる。
「訳分かんねぇ事言ってんじゃねぇ!!!」
そんな誰もが怯んでしまう状況の中、リオンは悪魔に斬りかかる。が、見えない何かに弾き飛ばされジーク達の元へ転がる。リオンに続いてジークも斬りかかる。しかしリオンのように弾かれ吹き飛ばされる。体が宙へ投げ出される中、ジークは雷電魔法を使うと受け身を取って着地する。その雷撃もレイルの身体を避けるように落ちる。
「これじゃ勝ち目ねぇぞ…!」
ジークの着地と同時にミトとリオンが走り出し攻撃を加える。が、それも虚しく弾き飛ばされた。
「おいおいまじかよ…どうすんだよこれ…!」
そう言ったリオンを横目に、ジークは小さくため息をついて右目の眼帯を外した。忌み嫌われた死神の目。何度か使ううちに制御は出来るようになっていた。が、副作用のリスクの高さから長い事使っていなかった。実際この状況でも使うのを躊躇っていた。大怪我を負わせる事は間違いなかったのだ。そしてジークは静かにレイルの琥珀色の瞳を見る。瞬間ジークとレイルの叫び声が辺り一帯を包み込んだ。
悪魔表記が死神になっていたので修正させていただきました>_<




