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Prosthetic War Online  作者: FURU
2章 動き始める世界

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18/18

Mission14:一瞬の油断が命取り

作者の残弾はもう0よ!



『ピピ…、ピ…』

サッ、サッ


(くっ、速い…!)


 〈パックウルフ〉の“群れ”…その最後の1体が、「そう簡単に殺られはしない…!」と言うように〈トルバーⅠ〉の狙いを躱す。

 しかし群れを失った一匹狼が生き残るには、状況が悪過ぎた。


ダダダッ!

『Gyau!?』


 回避先に先じて撃ち込まれた銃撃に、〈パックウルフ〉はギアが(かじ)るような鳴き声を発して急停止。


『今だ!』


「分かってる…!」

シュボッ!


 オルトの牽制射撃で足を止めた〈パックウルフ〉に、俺はすかさず〈トルバーⅠ〉を発射。


『Guru…!』


 慌てて回避行動に移る〈パックウルフ〉だったが、もう遅い。


チュドーン!


『ピッ』

[〈パックウルフ〉1KILL ]


「…ふぅ、終わったか…。」


 爆発から一拍置いて流れたログに、俺は一息吐く。

 この間にも手は自然と、空となった〈トルバーⅠ〉に弾をリロードしている。

 

 別に放っておいても単発である〈トルバーⅠ〉は、3秒もあれば自動でリロードが完了する。

 だが慣れていない初心者はともかく、慣れてしまえば手動でリロードした方が僅かに早かったりする。


 オートリロードが「何秒に1発」という変わったシステムである【 prosthetic war 】において、弾数の多いマシンガン系の武器を使うプレイヤーが手動リロードの恩恵を最も受けているのだ。

 しかし中には弾薬消費量をオートリロード以下に抑えて、「擬似的弾無限チート(有限)」を行う猛者がいるらしい。

 

(どのゲームにもこういう変態は居るんだなぁ…。)

 

 それはそれとして、話を戻す。


 俺と魔犬兄弟は現状の最大効率で狩りをしていたわけだが、勢子をしていた魔犬兄弟がリロードをミスって〈パックウルフ〉に仲間を呼ぶ隙を与えてしまったのだ。

 意外…と言ってはなんなんだが、そのミスを犯したのは魔犬兄弟・兄のオルトであった。


『いやぁ、スマン。…手が滑っちまった。』


『全く…、死ぬかと思ったぜ。』


『悪かったって言ってんだろ。

 …あまり調子に乗るな!』


 最後に倒した〈パックウルフ〉の回収をしていると、そんな遣り取りをしながら魔犬兄弟が合流して来た。


「喧嘩なら(現実)でやってくれないか?」


 珍しく立場が逆転したことで「ここぞ」とばかりの魔犬兄弟・弟のトロスだが、喧嘩するなら身内だけの時にやって欲しいものだ。


『おっと悪ぃ、…ほらお前も謝れって。』


『うっ…、…スマン。』


 不機嫌さをアピールするように俺が言えば、即座に喧嘩を一時中断して謝る魔犬兄弟。

 トロスには若干不満げな様子があったが、その不満の矛先はオルトなので俺は気にしない。


「…いや、俺の言い方もキツかった。

 だからこれでチャラにしよう。」


 MMOのマナー的に悪いのは魔犬兄弟のため、多少言い方がキツかろうが俺に非は無い。

 だが二人に加えて貰っている立場である俺としては、罪悪感から遠慮がちにされても逆に居心地が悪く感じてしまう。


『おっ、良いのか!』


『おいっ、トロス─』


「まぁ待てよオルト。

 せっかくのゲームなんだ、楽しまなきゃ損だろう?」


 俺の提案に飛び付いたトロスをオルトが咎めようとするが、そんなオルトを止めて俺は気にしないように説得する。

 試合中は罵詈雑言の飛び交う{禊の闘技}に一時期浸っていた俺としては、そのゲーム内で許されていることであるなら許容範囲内なのだ。


『…すまん、恩にきる。』


 トロスを咎めながらも俺の提案に飛び付きたいのはオルトも同様であり、俺の説得を受けることでようやく折れて見せたオルト。


 こういった遣り取りが煩わしいため、俺は基本的に野良パは組まない主義だ。

 が…主義を曲げて多少の煩わしさを許容する程度には、俺は魔犬兄弟のことを気に入っている。


(…惜しむらくは、ほぼ確実に、二人が俺狙いの賞金稼ぎってことだな。)


「ンンッ!

 それじゃ気を取り直して…と行きたいところだが、一旦出直さないか?」

 

 分隊を組んだ事で視界の隅に表示されるようになった簡易HPバーをちらりと見やれば、オルトはトロスより少ないがどちらも1割前後のダメージを受けている。

 

[ 耐久値 : 182 / 200 ]

[ E N 値 : 100 / 160 ]

[ 残弾 : 大型弾×11]


 かく言う俺も1割近くのダメージを負っており、今〈トルバーⅠ〉にリロードされている弾を含めて残弾は持ち込みの半分を切っている。

 …まぁ、ダメージの1/3は至近距離で〈トルバーⅠ〉をぶっ放したことに因る自傷ダメージなのだが…。


(レア個体っぽいやつの体当りで、10ダメージも受けたのにはビビったがな…。)


 因みに…魔犬兄弟には弾の持ち込みは20発と自己申告しており、撃った回数を数えていれば、俺の残弾はあと2発である…と誤認されていることだろう。

 そんな上手くいっているとは俺自身でも思っていないが、仲間を装う以上指摘は出来まい。


『…そうだな、予定以上に弾を使い過ぎた。』


 案の定というか…俺の「撤退」の提案を、オルトはいつものように受け入れる姿勢を見せる。


『ちょっと待った、もう帰るのか!?』


 しかしいつもはオルトに追従するトロスが、今日に限って真っ向から反対する。


 【 prosthetic war 】ではいずれ発生するであろうレイド戦での「ゾンビアタック」防止のためか、一度帰還すると再出撃までにリアル20分…ゲーム内時間にして1時間のクールタイムがサイレントアプデで追加されてしまった。


 “群れ”を呼んだのは今回の降下で3体目となる〈パックウルフ〉だったのだが、長く戦闘していたようでその実、30分も経っていない。

 これではプレイ時間より待機時間の方が長くなってしまうため、トロスが帰還を渋る気持ちも分からなくは無い。

 しかし─


『んなこと言ったって…、消耗してんだからしょうがないだろ?』


 尤もらしい理由でトロスを説得するオルトであるが、魔犬兄弟が俺狙いの賞金稼ぎだとほぼ確信している俺からすると、「俺が思ったより消耗しなかったので、作戦を練り直したいオルト」VS「1割とはいえ俺が消耗しているチャンスを逃したくないトロス」、という構図に見える。

 普段の様子から分かる通り、作戦を主導しているのはオルトなのだろうが、トロスの意見も強ち間違いでもなかったりする。


『いや、「消耗してる」言ったって─』


『俺とお前は良くてもイノスが─』


 恐らく…というか明らかに、オルトの作戦はいわゆる「モンスタートレイン」というやつだろう。

 故意・事故に関わらず迷惑行為の一つであり、発生させてしまった場合「潔く散る」か「処理する」かの二つに一つだ。


『───』


『───』


 オルトはそれを利用して俺を楽に倒そうと画策したようだが、オルトにとって不幸だったのは、初回の今回で俺が「〈パックウルフ〉の“群れ”攻略方法」に気付いてしまったことだろうか?

 勿論、魔犬兄弟にはまだ共有していないし共有するつもりも無いが、改めて同じことをしたところで今回以上に消耗することは無いと断言する。


『はぁ…、分かった。

 すまんイノス、あと1体だけ付き合ってくれ。』


 おっと、魔犬兄弟の小芝居が漸く終わったようだ。

 フレンドチャットか何かで裏で作戦会議をしていたのだろうが…、まさかその「あと1体」で二度目のモンスタートレインを起こすつもりなのだろうか?

 

「ああ、…“お代わり”は勘弁してくれよ?」


『言うなよ、これでキッチリ最後にしてやるって。

 トロス、分かってるな?』


『おうよ!実はもう見つけてんだ。

 こっちだ!』

 

 暗に「もう一度モンスタートレインしても無駄だ」と伝えてみたのだが、オルトに動揺する様子は見られ無かった。


(…案外、そのままの意味だったりするのか?)


 魔犬兄弟視点で考え直してみると、消耗しているのは魔犬兄弟も同様で、もう一度モンスタートレインを起こしたところで「死なば諸とも」になる可能性が高い。

 俺をKILLするという目標は達成出来るだろうが、あくまで魔犬兄弟は(暫定)賞金稼ぎであり、俺1人をKILLするために二人もデスになる真似は採らないだろう。


(考え過ぎだったか…。)


 たまに「それは穿ち過ぎだろw」と言われる俺は“悪い癖が出た”と結論を出し、トロスの後に付いて行こうとした。

 

 “トロスに付いて行く”


 その行為は言い変えれば、“オルトに背を向ける”ということだった。


『ビーッ!』

[ ※WARNING※ ]

[ 分隊契約が破棄されました ]


 今までに聞いたことの無い警告音と、ログに流れる無慈悲な文字の羅列。


『マスターッ!!』


 ツクヨミの悲鳴のような呼び声。


「ッ!」


 と同時に身を翻そうとした俺であったが、その直後─


ガガガキンッ!ガガッ!


 ─背中に連続した5回の衝撃を感じた。


 

……、はい。

ストックが尽きました。


というわけで、次回の更新は“未定”となります。


 ブックマーク・☆で、更新が早くなる!?

(※逆もまた然り)


「面白かった」「続きが気になる」という方は是非、評価の方よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています。

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