第17話 休日
「はぁ………疲れたな。」
「今日もお疲れ様。」
仕事帰りの俺に、そう声をかけてくれたのは他でもない沙奈だった。
「いや………でもここから―――――。」
そこまでいいかけて気がつく。それとほぼ同じタイミングで沙奈が言葉をかぶせた。
「今日は配信お休みだよ?」
「そう………いま思い出した。」
「たまには休まなきゃ。」
そうだ、いつかみたいに体調不良になるまで頑張ることにならないように休みの日を設けたのは俺だったな。
「まぁ………そうだよな。」
「今日は何も考えなくていいからさ。本当に2人きりの時間を過ごそ?」
「あぁ、そうだな。」
擦寄りながらの上目使い。わかってらっしゃる。
ご飯を食べてお風呂に入り、何時もなら配信前のちょっと緊張した時間。ベッドの上でゆっくりと、2人だけの時間を過ごす。沙奈自体、とてもストイックな人だからついていけるのかと思っていたが………案外この通り、支えになることができているようだった。
に、してもである。
「なんか………落ち着かない。」
「わかる?私も。」
急に休んだりなんかしたからだろうか?とても落ち着かない。
「なんていうかな………何すればいいんだろう?」
「………たまには私に甘えてみてはいかがですか?」
「え………?」
「ほら、休みなんて滅多になかったし、それに………配信云々以前に私達って………新婚じゃん?だったら………それっぽいことしてみたいなぁ………なんて………。」
「………じゃあ、甘えていいですか?」
「許可しますよ。亮太。」
何でこんなぎこちない会話なのかと聞かれれば………あまりこういったことをしたことがないからに他ならないのだが………だったとしても、もう少し自然体にならないものだろうか?
「じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。」
頭では自然な入り方を考えつつも、手を広げどうぞの言わんばかりの大切な人が目の前にいるんだ。もうこのまま流れに身を任せてしまえ、という精神で彼女の胸に飛び込む。
「なかなか、力強く来ましたな。」
「なんていうか………自分に正直になってみた。」
たまには俺だって甘えたいときくらいある。その気持ちに素直になった結果がこれだ。なんというか、らしいといえばらしいだろうな。
「こういうことしてみたかったの?」
「全くしたくなかったって言ったら嘘になるけど………ほら、お互い忙しかったからさ。でも………沙奈の配信聞きながら想像したことは何回かあった気がする。」
「………やっぱしたがったんじゃん。」
「いやだってあれは………確か『彼女配信』のときだから………あれは完全に意識させに来てたでしょう?」
「あぁ………まあそりゃあ見てるよね。それについては………反論なんてできないや。」
「でも………やっぱり違うな。現実って。」
「そうであろう?あったかかろう?柔らかかろう?」
「………うん。」
「あれれ?もしかして恥ずかしがってる?」
「だ、だってそれは………沙奈が悪いじゃん今のはさ。意識しないようにしてたのに………。」
「別にいいのにさ。だって、ここはあなたの専用席ですよ?旦那様?」
嗚呼………もう本当………熱い。離れる気はないけど。
「慣れないこと………言うんじゃないって………。」
「そうやって顔隠してるあたり可愛いよね。」
「………うるさいですね………。」
「きらいじゃないくせに。」
「………大好きですよ。あなただから………。」
「………そういう不意打ちね………ズルいな。」
ぎゅっとしがみつく。たまにはこういうのも………アリかなって。そんなふうに思える休日だった。
お久しぶりです。書きたくなったので戻ってきました。評価、感想の方、何卒よろしくお願いします




