第12話 人見知りが凄い………?
そうして迎えた週末。ここまで来てまだ緊張を隠せないところがある。
「何も緊張しなくて大丈夫だよ。打ち合わせなんだからさ。」
「ま、まぁそうだけど………あぁ質問。」
「ハイなんでしょう。」
「俺は亮太として話したほうがいい?それともやっぱりおとめの方なのかな?」
「あぁそれね。うーん………おとめでお願い。」
「了解。じゃあそろそろ時間だな。」
「うん。かけるよ。」
そうして沙奈はあおいさんに電話をかける。あぁ………心臓バクバク言ってるな。無理もないか。一時期めちゃくちゃ好きだったもんな。あおいさんの声で寝てた時期もあるくらいだし。
『あ、もしもし。ゆにさん?』
「もしもしあおいさん。こうやって話すのはお久しぶりですね。今回本当ありがとうございます。」
『いやいやとんでもないですよ。こっちの方からも誘いたいなって思っていたので。』
「で、早速本題に入っても大丈夫ですか?」
『はい。お願いします。』
「まず概要なんですけど、おとめが考えてくれた企画でして………アドリブシチュボASMRって名前なんですけど。まぁ内容はだいたいわかると思うんですけどね。完全にアドリブでリスナーさんからシチュエーションなり送ってもらって極力それに応えながらASMRをするっていう………大丈夫そうですか?」
『たしかに面白そうですね。まぁまだ細かいところまでは決まっていない感じですかね?』
「そうですね。まだそこまで練ってはいない感じです。まぁ細かいところに関しては本人から聞いてもらったほうがいいですかね。」
『え!?』
あ、このタイミングで俺に振るのか。ちゃんと声出るか不安だが………まぁやろう。逃げ道なんて無いし、そもそもやってみようと言い出したのは俺なんだから。
「あ、もしもしはじめまして。おとめです。」
『え、あ、はい。はじめまして………。』
なんか凄いキョドってるような気がする………。人見知りが凄いって言ってたけどこういうことか。
「あの説明しても大丈夫ですか?」
『は、はい!お願いします。』
「そんな緊張しなくても大丈夫ですからね。」
沙奈のフォローが入る。
『はい………。』
「じゃあ、まずこれやろうと思った時にやっぱり寝落ち枠は難しいと思うんです。だから時間帯は22:00から1時間程度。でもらったシチュエーションを5から10分程度やり切る。という形にしたいと思ってます。」
『なるほどです………。』
「えっと………どうでしょうか?」
『ひぇ!?あ、は、はい。いいと思います。』
これ人見知りって言うよりコミュ力の問題では………?
『あんまり突拍子もないものでなければ私でもできますし、ゆにさんもいますし多分大丈夫だと思います。』
「ありがとうございます。まさかあおいさんと本当にコラボしてもらえるなんて………。」
『えっと………おとめさんは、私のこと知ってたんですか?』
「はい………あの…配信見てました。」
『それはつまり………元リスナーさんということですか?』
「そうですね。今回もめちゃくちゃ緊張しちゃって………。ちゃんと話せるか不安だったんですけど。」
『そんな素振り全然なかったですよ?』
「キャラに入り込んでいるのもそうですし、ゆにだっていますし。」
『そう、ゆにさんと一緒に居るって結構親しい間柄なんですね。』
「え、えぇまぁ。」
「何、恥らってるの?おとめくん?」
待て待て、この場に漬け込んで俺を責めないでくれ。
「な、なんでも無いです。て、言うか恥らってるって言うわけじゃないです!」
『仲、いいんですね。2人とも。』
「まぁ幼馴染ですからね。」
『幼馴染ですか………どういうご関係で?』
あれ?なんか食らいついてきた?イキイキしてきた気がする。雰囲気が変わった。
「えっと………ゆに、どうしよ。」
「どうにかできたらどうにかしてるんだよな………こうなったあおいさんは見たこと無いからな………。」
『なんですか?もしかして付き合っていらっしゃる?もしかして百合ってやつですか??』
「付き合ってないですし百合でもないですよ!」
『いいや信じないね、おとめさん。君は男の子じゃない。だってゆにさんが男の子と居るところなんて想像できないし、だいたいその声しといて男はない。』
「そこまで言います?」
『そこまで言うレベルなんです。だって今までゆにさんが男の影をちらつかせたことなんて無いでしょう?』
「あぁ………たしかに私無いかもな。」
「………いや、一度か二度ある。ゆにの初期の方の配信で幾度か話に上がってるのを知ってる………。」
「え、そんなことあった?」
『え、そんなことあったんですか?』
なんで沙奈は覚えてないんだよ。
「歌枠前の雑談配信。もう忘れたの?」
「待ってそれめちゃくちゃ初期じゃん。」
『………ゆにさんって歌わくやったことあるんだ…。』
「今のところまだ1回だけだったか?4年前の話です。」
「よくそんなこと覚えてるね………。」
『そんなに前からゆにさんのこと知ってるんですね。で、そのちらつかせた男の人っていうのは?ゆにさん。』
「え、私?………その時は確か………初恋の質問が来ててそれで幼馴染の話を挙げたんだっけ?」
「そう。あの時はびっくりしたな。」
「あの後1番びっくりしたのは私だよ。」
「まぁそうだろうな。色々あったもんな。」
ついつい素が出てしまった。このように熱中すると周りが見えなくなってしまうものだ。現に俺と沙奈は完全にあおいさんのことを忘れて思い出話に浸ろうとしていた。
『えっと………なにがあったんです?』
「あ、すみません………あの、その…こっちの話です。」
「その………ちょっと色々あって………。」
『ほう………色々ですか。その話詳しくお聞かせ願えますか?』
またさっきと同じだ。空気が変わった。まさかこの後待っているものは………考えるのはもうやめにしよう。どうにか乗り切れたらいいかな………。人見知りが凄いんじゃなかったのかよ!!!




