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第十二話

 そして、次の日。


 「治安維持活動の際、犯罪が起きれば、怪我人が発生する可能性が出る。


 という事は、怪我人のいない事件などないと言っても過言ではない。


 …よって、今回の合同授業は『応急処置』について学びたい」


 グランドにて、レフィーユが慣れた様子で話を進める。


 「ふっ、そこで特別講師を呼ぼう…」


 『特別講師』という言葉に周囲は明らかに疑問符が浮かび。


 「アラバ、お前の出番だ」


 「はい?」


 何の打ち合わせもなく、唐突に彼女は自分を指名するので、思わず声が裏返って返事をしてしまった。


 「こういう場合、治安部の医療部門の人を指名した方がよろしいのではないのです?」


 レフィーユの隣に立っていたゼジの意見に、自分も頷いていたのだが彼女は言う。


 「応急処置という手段に関しては、あの男は治安部に差し置いて、最も秀でていると私は見ている。


 その実力くらい、見せてもいいだろう?」


 隣にいたイワトが豪快に笑いながら自分をバシバシと叩くので、立ち上がらなければならなくなった。


 だが、前に出るがサイトやらに茶化されていたのを見たレフィーユは言った。


 「ふっ、どうやら納得のいかん者もいるようだな。


 では、白鳳学園の治安部、医療部門であるユカリと競争させてみよう。


 二人とも、誰でも良い一人を指名して、私の言う怪我のシチュエーションに対して適切な処置をしてみろ」


 レフィーユの言葉に、何の疑問を持つ事も無く歩き出すユカリは自分を睨んでいた。


 「とうとう、この時が来ましたわね。


 貴方に差をつける、このチャンスが…」


 「はあ…」 


 「素人知恵の応急処置が、治安部の医療処置にどこまで敵うか見てあげますわ」


 意気込んでユカリが指名したのは、偶然にもオルナだった。


 ちなみに自分はイワトである。


 「ふっ、あえて大柄な男を選ぶとは…」


 「ただ指名しやすかった人を選んだだけですよ」


 「大柄な男ほど、処置は難しいと聞くがな。


 なるほど、それでこそ私の目に狂いはなさそうだ」


 その会話にユカリの目に炎が灯るのを感じるなか、レフィーユは言う。


 「では、シチュエーションは腕の骨折だ。


 左右どちらでも構わん、片方どちらかの腕を適切な処置を施して欲しい。


 では、始め!!」


 その合図と共に、


 「もらいましたわ!!」


 ユカリは医療用具に飛び掛る。


 「早っ!!」


 それは自分が驚くほどのスピードである。


 「医療行為とは迅速かつ、適切な処理を行う事をさしますの。


 この程度のスピードで、驚いてもらうと困りますわ!!」


 おそらく戦闘時に出くわしたら、反応出来ないほどの…。


 「救急箱の何処に包帯があるか!!」


 彼女の指に触れた包帯が宙に舞い、そのまま包帯を適切な角度に切り裂く様子は、


 まさに妖術…。


 「相手の体格に合わせて、適量の用具判断は経費の削減になりますの!!


 さあ、この洗練された技術にどう立ち向かうというのですの!!?」


 ユカリの笑みに、身の毛もよだつが…。


 「終わりました」


 その頃には自分はイワトのジャージの上着を使って、応急処置を終わらせていた。


 ユカリはそのまま地面を滑っていた。


 さすがにこれには周囲も、歓声が上がる。


 「早いな…」


 「それは応急処置ですからね。


 包帯なんていつも持ってませんから、衣服を使って処置は基本ですよ」


 「こりゃすごいわ。


 良い塩梅で、関節も固定されとるわ」


 「無理に動かしたらいけませんよ。


 安静も基本ですからね」


 「こ、こんなの認めませんわ…。


 こんなの適切な医療じゃありませんわ!?」


 ユカリは自分をじとりと見て続いて何かを言おうとしたが、それをレフィーユが制した。


 「だが現場では、この男のように包帯など、いつも持ち歩いているわけでもない。


 治安部にも医療部門があったとしても、緊急時には包帯を擁さず医療処置するケースが多い事もある。


 つまり治安部だけでなく、他の生徒が応急処置を施す事が出来たなら、相手の命に関わる怪我であっても生存率を上げる事が出来るという事だ。


 その重要性を味わった上で、今回の授業を受けてほしい」


 そう彼女が締め括ると、自分は結局、この応急処置の特別講師になってしまった。


 するとやはり目の付くのは…。


 「どうした?」


 オルナだった。

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