表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/36

第三十五話 「白い雨」

空が割れた。


バキバキバキッ――!!


灰色の雲が裂け、その奥から“白”が降り始める。


最初、木更は雪だと思った。


だが違う。


白い粒子。


触れた地面が、静かに消えていく。


道路。


瓦礫。


崩れた車。


存在そのものが削除されていた。


隊員の一人が叫ぶ。


「観測崩壊だ!!」


「遮蔽物へ!!」


全員が一斉に走り出す。


木更も銀髪の少女に引っ張られるように駆ける。


背後では、“白い瞳”が空からこちらを見下ろしていた。


感情はない。


ただ観測している。


その視線が向いた場所から、世界が消えていく。


ズゥゥゥ……。


ビルの上半分が、音もなく消失した。


木更の呼吸が止まる。


人格世界で見た“存在消去”。


だが現実世界では規模が違う。


少女が叫ぶ。


「伏せて!!」


次の瞬間。


白い粒子が頭上を通過した。


後方で悲鳴。


振り返る。


隊員の一人の右腕が、肩から消えていた。


血すら出ない。


切断ではない。


“存在”を消された。


男は絶叫する。


「うあぁぁぁぁ!!」


だが数秒後。


叫んでいた本人まで、粒子になって崩れた。


跡形もなく。


木更の背筋が凍る。


少女が木更を睨む。


「見続けるな!!」


「認識される!!」


木更は歯を食いしばりながら走る。


街の奥。


地下への巨大な隔壁が見えた。


少女が通信機へ怒鳴る。


「第七ゲート開けろ!!」


『無理だ! 間に合わない!』


「開けろって言ってる!!」


隔壁がゆっくり開き始める。


その時。


空の“白い瞳”が、完全に木更を捉えた。


ゾワッ。


世界が静止する。


管理AIの声が、頭の奥で微かに響く。


【羽川木更】


【外界観測対象へ指定】


木更の身体が透け始めた。


存在が分解される。


だが。


その瞬間。


胸元が光った。


白い粒子。


朝霧カイの人格核の欠片。


門を抜ける直前、カイが木更へ残した最後の光。


それが“監視者”の視線を弾いた。


空の瞳が、初めて反応を示す。


『……人格核Ωの残滓』


少女が目を見開く。


「それ……何!?」


木更も分からない。


だが、その光だけが自分を守っていた。


直後。


地下隔壁が完全に開く。


少女が木更の手を掴む。


「飛び込め!!」


二人は崩壊する街から地下へ飛び込んだ。


その瞬間。


地上全体に、“白い雨”が降り注いだ。

【作者からのお願い】

ここまでお読みいただきありがとうございます!

もし「面白かった」「続きが気になる」と思ってくださったら、ページ下部にあるハートマーク(いいね)をポチッと押していただけると、毎日の執筆の大きな励みになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ