1/36
第一話 「通知」
深夜0時3分。
カイはベッドの上でスマホを見ていた。
眠れなかった。
最近、街では行方不明事件が続いている。
ニュースでは“集団失踪”なんて騒がれていたが、どうにも気味が悪かった。
ピコン。
突然、通知音が鳴る。
「……なんだ?」
見覚えのないアプリ。
黒い背景に、赤い目のマーク。
名前は――
AREA Ω
「入れた覚えないんだけど……」
削除しようとする。
だが押せない。
その瞬間。
スマホ画面が強制的に切り替わった。
【区域封鎖まで30秒】
「は?」
窓の外を見る。
街灯が一斉に消えた。
マンションの外から悲鳴が聞こえる。
ドンッ!!
どこかで車がぶつかる音。
カイは立ち上がった。
次の瞬間。
スマホが再び鳴る。
【窓に近づかないでください】
ゾワッとした。
その時だった。
コンコン。
窓が叩かれた。
八階の部屋。
あり得ない。
恐る恐るカーテンを見る。
コン……コン……。
「誰だよ……」
声が震える。
だが、次の通知が表示される。
【見た場合、認識されます】
カイは動きを止めた。
外の“何か”は、まだ窓を叩いている。
コン……コン……コン……。
そして突然。
スマホにライブ配信画面が映った。
タイトルは――
『区域内ライブ』
そこに映っていたのは。
“今、カイの部屋の窓を叩いている存在”だった。
顔がない。
真っ白だった。
なのに。
カメラ越しなのに。
そいつは、ゆっくり笑った。




