第33話「firefighterOperation(消防士作戦)」ープロローグー
今回のエピソードタイトルの元ネタは、今は亡き日本SF界の重鎮であり、私が敬愛する作家の作品から得ました。
私がSFいえ小説に興味を持ったのもこの方の作品を見たからなので。
南方海ー中央海の接続海域洋上にて。
宗武商会所属のゆきしおとくろしおは十数匹のシーサーペント達の戦闘に於いて窮地に陥っていた。
「このままじゃ・・・突破されしまいます艦長。」
「・・・そうなったら私達の負けよ。」
副長であるイーリスの悲痛な声を受け、艦長のマドカが冷静にその結果を述べる。
ゆきしおとくろしは懸命にシーサーペントの侵入を防いでいたがそれも限界に近づいていた。
艦橋に立つマドカは悲壮な表情を浮べつつ艦内電話を取り上げ艦載火器管制室に尋ねる。
「火器管制室、シルフィードの砲弾とロケット弾の残りは?」
『艦載砲は後数十発撃てば残弾が無くなります、ランチャーの方も次発射したら残弾ゼロです。』
管制室からは悲壮な声で報告がくる、シルフィードの砲弾とロケット弾は尽きようとしていた。
マドカは電話を通信室に切り替えくろしおに状況を確認する様指示を出す。
『くろしおも砲弾とロケット弾がこのままでは尽きてしまうとの事です。』
数分後通信室から伝えられたくろしおの状況はゆきしおと変わりが無かった。
「艦長、こうなったら一旦後退も・・・」
「イーリスちゃん、私達に後退する所なんて無いよ・・・」
後退を進言するイーリスにマドカが答える。
「後方には抵抗する術の無い人達がたくさん居るんだから。」
その答えにイーリスは絶望的な表情を浮かべ押し黙る。
「他の商会の増援も期待できない。」
「それじゃ我々は・・・」
イーリスは最悪の結末を想像して震えた声を上げる。
そう最早万策尽きた状態にマドカは最後の決断を下すしか無かった。
乗員と艦を犠牲にしてもシーサーペントを殲滅すると。
「艦長!後方より接近する艦艇を多数探知しました。」
センサー担当の報告が艦橋に響く。
「救援?」
マドカとイーリスは顔を見合わせると咄嗟に左舷見張り所に飛び出す。
次の瞬間数匹のシーサーペントが水柱と轟音に包まれ消滅してゆくのを目撃する。
「どうやら助けが来たみたいだね。」
「その様ですね、ところで何処の商会でしょうか?」
共に双眼鏡でシーサーペントが多量の肉片と体液をまき散らし沈んで行くのをイーリスとマドカが確認しながら会話する。
「艦長!接近中の艦隊はまほろばを旗艦とした北方海からの救援だそうです。」
乗員が興奮した声で見張り所に飛び出して来て報告する。
「まほろば!?」
「もう大丈夫だね、北方海の守護天使殿が来てくれたから。」
マドカはそう言って微笑む、そしてイーリスと共に後方を見てゆきしおとくろしおに接近して来るまほろばを見る。
まほろば艦橋の艦長席に座る恵理香が問い掛ける。
「センサーにシーサーペントの反応ありますか?」
「現在シーサーペントの反応有りません。」
複合ディスプレイを確認してセンサー担当が報告する。
「監視を続行、ゆきしおに通信を・・・問題無いか聞いて下さい。」
「了解しました、通信室へゆきしおに問題無いか確認を・・・」
副長の清香が通信室へ恵理香の指示を伝える。
ゆきしお艦橋の艦内電話が鳴りイーリスが受話器を取る。
「まほろばから通信だそうです・・・こちらに問題無いか聞いているそうです。」
イーリスが振り向いてマドカに伝える。
「まほろばへ返信、ゆきしお及びくろしおに問題無し、救援を感謝しますと。」
「了解です艦長。」
「ゆきしお及びくろしおに問題無しとの事です艦長。」
清香からの報告を聞いた恵理香は頷くとほっと一息つく。
「大谷艦長にベス島に我々と共に向かう様に伝えて下さい。」
「はい艦長、大谷艦長にベス島に我々と共に向かう様伝えます。」
清香が通信室へ恵理香の指示をゆきしおに伝える様指示をだす。
「こちらの艦にも指示を。」
ゆきしおとくろしおはまほろばを含む北方海の艦艇と共にベス島に進路を取ったのだった。
「艦長、湾外に多数の艦艇を確認。」
港に接近したゆきしおの艦橋でセンサー担当が報告する。
艦橋前面の窓に近寄って双眼鏡を見たマドカは湾外に停泊している艦艇を確認して呟く。
「あれが北方海の救援艦隊ね。」
隣に立ち同じ様に双眼鏡で見たイーリスが感慨深く言う。
「壮観ですね・・・」
駆逐艦だけでなく支援艦も集結しており、その間を作業艇が忙し気に行き来している。
くろしおが港に近づくと艦長席の艦内電話が鳴り、マドカは艦長席に戻ると受話器を取り上げる。
「艦長、ギルドから湾外の2号ブイにて補給を受ける様指示がきました、あとまほろばの牧瀬艦長からも通信が入ってます。」
「わかりました、繋いで下さい。」
接続のノイズが聞こえた後恵理香が話し掛けてくる。
『大谷艦長ご苦労様です、皆さんご無事で良かったです。』
「うん救援助かったよ恵理香ちゃん。」
マドカは恵理香の言葉に疲れた表情で答える。
『いえ・・・何故こうなってしまったのでしょうかね。』
『・・・・」
マドカはそれに答えられず沈黙するしかなかった。
恵理香も答えを期待していた訳でも無かったのか続けることも無く話を変える。
『・・・それでは我々はこのまま進みます、大谷艦長優のご武運を祈ります。』
「ありがとう恵理香ちゃん。」
補給を始めたゆきしおとくろしおを残し恵理香は出発の指示を出す。
「艦長、艦隊の準備は完了しました。」
「ご苦労様です、それでは行きましょう。」
「はい艦長。」
清香の報告に恵理香が頷く。
乗員達がそれぞれの作業を開始する姿を見ながら恵理香はまた呟く。
「どうしてこうなってしまったのでしょうか。」




