王子様とティータイム 2
「ふたりきりだし、好きに飲んでだいじょうぶですよ」
彩那の心中を察してかミハイルが軽い口調で捕捉する。
「じゃあ遠慮なく……」
彩那はおずおずとカップに手を伸ばした。
——なんだっけ。たしか持ち手の輪の中には指れちゃだめとか
ネット記事で見た知識を思いだそうとするも、流し見していたせいであまりにも心もとない。というか、ふだんマグカップしか使っていない人間には、そんな指先がぷるぷるする高等技術なんて持ってなかった。
もうあきらめよう。角砂糖を遠慮がちに一個入れて、ピッチャーのミルクを入れてぐるぐるティースプーンでかき混ぜた。輪っかに、がっつり指を引っかけて反対側をもう片方の手で支えて口元に運んだ。こくっと飲みこむと、濃厚な茶葉のうまみとミルクの甘さが口いっぱいに広がった。
「おいしいっ!」
思わず叫んでしまった。正直紅茶の味の良し悪しなんて、ぜんぜんわからないけれど。このミハイルの入れてくれた紅茶がとてもおいしいことだけは断言できる。
「よかった」
でもミハイルは、にこやかに応えてくれた。自分だって母国とはいっても知らない国に連れてこられて不安だろうに。どこかさみしそうに微笑むヘーゼル色の瞳と目が合い、頬が熱をもつ。雑誌で何度も見ていたはずだけど、やっぱり本人を目の前にすると迫力がちがう。いっしょにソファに座っていること自体、現実感がない。介抱されたり、お姫様抱っこされたり、おんぶされたり、抱きしめられたりとさんざんそばにいたのに。同じ空気を吸っているだけでも、どきどきする。見つめ返され、彩那は視線をはずせなくなった。でもこのままじゃ間がもたない。とりあえず口を開き話しかけてみた。
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