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キメラ  作者: 甲羅に籠る亀


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1話

 この街は大量のモンスターが棲んでいる魔境の近くにある防衛都市から近い街だからか多くの孤児が住む孤児院がある。


 この国は12歳で成人になるからか、成人したら孤児院を出る為に孤児は冒険者ギルドか職人ギルドのどちらかに所属することになる。


 そんな孤児院の出身の成人したての子供たちは今日、多くが冒険者ギルドにやって来ており、俺も孤児だからこそそんな孤児たちと受付の列に並んでいた。


 俺の前の列の長さ的に受付はまだ時間が掛かるだろう。その間に転生した時のことでも思い出すとしよう。


 あれは12年前のことだった。


 俺自身はいつ死んだのか分からない。でもこの世界を管理している神に死んだことを伝えられた。


 その時に神から他世界の魂だからこそ転生の時に多くのスキルが与えられるのだと教えられた。


 本来ならこの世界の人は誰しも1つのスキルだけを与えられるそうなのだが、俺は3つ与えられる。それが転生特典みたいな物なのだろう。


 3つのスキル。それを自分で提示されたスキルの中から選ぶパターンとランダムで選ばれるパターンの2つあり、俺はランダムで選ばれるパターンを選択した。


 スキルをランダムで選ばれるパターンの方だと特殊なスキルが手に入る可能性があるからだ。


 通常よりも強く良い効果のあるスキルが手に入るのならここは賭けに出るべきだと判断した。


 そうして何のスキルが選ばれたのかはまだ分からない。成人する歳にスキルが使える様になるからだ。


 どんなスキルなのかの判別は冒険者ギルドや教会にあるスキル鑑定のアーティファクトに寄って行なわれる。


 そのスキル鑑定のアーティファクトを使えば使用者の自分だけがどの様なスキルを与えられたのか理解することが出来るのだそうだ。


 どんなスキルを貰ったのかと一喜一憂している孤児院出身者たちの姿を眺めること数十分後にようやく俺の番が来た。


 「冒険者ギルドへの登録ですね。文字の読み書きは出来ますか?」


 「問題ないです。」


 少しでも情報収集する為に俺は文字の読み書きを出来るが、俺が暮らしていた孤児院の中でも文字の読み書きが出来ない者たちも居たので、この質問なのだろう。


 「それではこちらに名前、年齢、出身、ご自身の戦闘方法をお書きください。」


 「分かりました。」


 名前、年齢、出身と書き進める。戦闘方法は孤児院での授業で一通り習ったが、一番才能があると呼ばれたのは格闘術だったからそれを書くことにした。


 「書けました。」


 「確認しました。それではギルドカードの作成をします。その間にご自身のスキルを確認してください。使い方は触れるだけです。」


 受付の前に受付嬢はスキル鑑定のアーティファクトを置くとギルドカードの作成を開始したその間に俺はスキル鑑定のアーティファクトに触れた。


 スキル鑑定のアーティファクトに触れたと同時に頭の中に俺が取得しているスキルの情報が流れ出した。


 俺が取得したスキルはこの3つ、【捕食変異】、【無手剛体】、【栄養貯蓄】だ。


【捕食変異】

モンスターを捕食した場合、自身の肉体をモンスターに変える。

【無手剛体】

武器を持たない状態だと肉体が強化される。

【栄養貯蓄】

食べた物を栄養、エネルギーとして蓄え続ける。


 もっと詳しい説明が頭の中に記憶されたが大体こんな感じのスキルを授かった。


 取得したスキルの情報を確認している間にギルドカードの作成が終わった様だ。


 「こちらがギルドカードです。今はFランクですが、同ランクの依頼を10受けることにランクアップします。Cランクからさ試験を受けることでランクアップですね。冒険者ギルドの施設、依頼の受け方の説明はいりますか?」


 「お願いします。」


 それから俺は受付嬢の女性から冒険者ギルドの訓練所、解体場、資料室、受付の使い方、依頼の受け方などの説明をして貰った。


 更に講習もある様だ。戦闘、採取、探索などを教えてくれるそうだ。


 説明が終わればまだ冒険者ギルドの登録の為に待っている人も居ることもあってギルドカードを受け取って列から離れる。


 依頼を受けようかどうか悩む。


 スキルの【無手剛体】もあって武器にお金を使わない分だけ孤児院を出た時に渡された支度金を使わなくて済む。武器がなくて不安だけど。


 「宿屋で泊まれる様にしてからにしよう。」


 本格的に冒険者として活動するのは明日からにしようと決めた俺は宿屋を探すことにした。


 この街の孤児院の出身という事もあり、事前にこの街の宿屋の中でどの宿屋にするのが良いのかは知っている。


 成人して孤児院を出たばかりの者たちでも泊まれる宿屋の中でも1人部屋もある宿屋なので早めに向かうことにした。


 冒険者ギルドを出て目的の宿屋に到着して宿屋の中に入る。


 「いらっしゃいませ!泊まりですか?」


 「1人で泊まりです。1人部屋なんですけどありますか?」


 「1人部屋ですね。まだありますよ。1泊銀貨2枚です。」


 支度金銀貨10枚しかないが払おう。やっぱり明日からにしようと思ったけど今日から依頼を受けることにしよう。このままだとすぐにお金がなくなってしまう。


 「お部屋に案内しますね。」


 銀貨2枚を支払うと店員の女性が案内してくれた。部屋は2階の一室の様だ。


 「ここがお客様のお部屋です。部屋の中の物品の破損は弁償して貰いますのでお気を付けてください。」


 「分かりました。」


 受け取った部屋の鍵を使って部屋の中に入った。


 「1人部屋でも狭いかと思ったけどそうでもないんだな。」


 ベットがあり、テーブルとイスが置かれている部屋は空いているスペースに大の字で横になることが出来るくらいには広い部屋だ。


 鍵を掛けられる部屋という事もあって数日分の着替えの入った背負い袋を置いて部屋を出ることにした。


 部屋を出て鍵を掛けて宿屋を出る前に鍵を宿屋の店員に預けて宿屋を出た俺は冒険者に必要な道具を揃えることにした。


 冒険者ギルドのすぐ近くにあるギルド提携の道具屋に向かうと、宿屋との距離もそこまで離れていないからすぐに到着して道具屋の中に入る。


 「いらっしゃい。この時期だから君も冒険者に成り立てかい?」


 「そうです。冒険者の活動で必要な道具を買いたいんですけど、何かありますか?」


 「それならこれだよ。冒険者を始める人用の初心者セットだ。」


 大きめの背負い袋を道具屋の店員はテーブルに置くと、テーブルに背負い袋の中身を取り出していく。


 薬草などの植物を採取する採取用の道具や採取物を入れる袋に解体したモンスターの素材を入れるのだろう袋など、他にも様々な街の外での活動に使用する物の説明をされる。


 

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