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扉開けたら即異世界 -ぶらり異世界冒険記-  作者: 神風 翼
第04章:魔術学園編
92/217

0092:包囲


「全員、動くな」


そう、槍を構えた衛兵がそう言い放つ。


扉を開ければ道が開けると思った?

残念!扉の先は槍の山でした!


判るかこんなもん!


しかも一本一本、しっかり整備されてるであろう、ちゃんとした長槍。

挙句、それらをしっかり俺たちを包囲するべく喉元へと突きつけてる。


しかも1人2人所か十数人の衛兵が、同じようにこちらへと槍先を向けてきていると来たもんだ。


突然の武器という事もあり、抵抗の意思無しと示すべく小さくホールドアップする。

が、俺の背後の猫共に上げた手を下ろされた。


なんでや。


…とりあえず現状把握なんだけど…大分摘んでますねコレ。


正面大門は衛兵を横に置く形で閉鎖済み。

周囲背後にも、衛兵達が長槍構えて包囲中。

挙句エントランスに飛び出したはいいが、進むも戻るも出来ん始末。


どーしろと。


そんな中、不意にエントランス中央に光が起こる。

光の元は地面であり、そこには細々とした魔術陣の姿。


一瞬、パッと閃光を生んだと思えば、次の瞬間には見覚えのある姿。


「…さて、大人しく捕まってもらえますか?」


学園長が転移して現れやがった。

成程、廊下に居たのは転移で先に飛んでたからか…


そう思いながら、全員揃って戦う姿勢を取る。

武器を構え、杖を構え、挙句拳を構えて。


が、相手は一切同様も、慢心も無い。


「…成程、大人しく捕まる気は無い、と」

「当たり前じゃ!」


その物言いに、アルバート氏は噛み付いた。

が、そんな声すらも飄々と受け流し、呆れた様子で鼻で笑った。


「状況はわかっておいでですかな?

君達は学園長たるこの私を暗殺しようと画策し、挙句補佐官であるエンヴァー君に手をかけた」


まるで自分が被害者であるかのように、そう言い切った。

挙句自衛によって起きた被害を、さもこちらが一方的に殺したかのように。


更にカツリ、カツリと靴を鳴らしながら、俺たちを見定めるように包囲網を歩き周り始める。


「大人しく捕まるのであれば、それなりに寛大な処置をしよう。

…だが抵抗するのならば……」


そう、ねっとりとこちらへと視線を向けてくる。

が…


「被害者面すんじゃねぇ!」

「法廷でアンタらの悪事をバラしてもいいんだぞぉ!」


その視線に耐え切れなくなったのか、双子は声を荒げた。

だが、ソレを前にハッハッハと大仰に笑い返してくる。


「そうか、私を悪人として仕立て上げるのかね!

いやぁ実に面白い…だが……」


学園長はそう言うと、顔を伏せたかと思えば、ニヤリと笑みを浮かべてこちらを見返してきた。

今までの静かな笑みとは違う、あまりにも邪悪の篭った、底冷えするような表情で。


「誰も君達の言うことなど、信じる訳がない」

「んだとォ!」

「考えても見たまえ。

一介の賢者、しかも犯人たる暗殺者の言い分と、被害者たる私の言い分。

…どちらを信じると思う?」


その言葉に、声を荒げたトールはウッ、と声を詰まらせた。


「フフ…仮にその言い分が通ったとして、ソレを信じる者がどれだけ居る事か……

コレでも自分、市民一般、この都市の貴族達、学園内に至る大部分の人々に信用されているのですよ?

私が、犯罪者の語る悪人であると!誰も信じる訳が無いではないですか!」


そう、言い切った。


…確かに、信頼と言う点ではこちらは一切勝てない。

それ所か、俺達の方が怪しい。


何せアルバート氏達の学園内の地位は低い。

そしてそんな彼らに付いている俺たちは、完全な部外者。


…俺だって信用できねーわ。


そんな状態の中、奴の背後から別の衛兵の姿。

誰ぞ捕らえたのか、2人でもって連行してきた。


連行されてきたのは……


「学園長室攻撃の実行犯と思われる人物を連行しました」

「ご苦労さまです」

「ナッナイアッ!」


そう、後詰に待機してもらっていたナイア嬢。


あの爆撃後、一応念話で合流の為に書斎へと戻るように報告を入れておいた。

…のだが、あの後のゴタゴタのせいもあって再連絡出来てなかった。


結果、書斎への待ち伏せに赴いたのであろう衛兵に拘束されたんだろう。


「先手、先手は戦術の基本。

現に、エントランスに衛兵団を待機させたのも、功を奏しましたし…」

「アンタの作戦ガバガバじゃにゃーか!」

「俺に言うな!想定できるか!」

「頭痛くなってきた…」


えぇいエールにテレーザと言いたい放題言いよってからに!


「…ではもう一度聞きましょう。

大人しく捕まってもらえますか?」


そう、奴は言い切った。


正直、間に合うかと思っていたが…無理だった。

こうなると抵抗は無駄だろう。


全員に合図を送り、武器を置いて戦闘態勢を崩していく。

忌々しく、奴をにらみ付けながら。



…が、そんな折に空気が変わった。


ギギギ、と音を立て、空気を振るわせていく。

音の聞こえた場所は、正面の大門。


何事かと慌てる大門に待機していた衛兵を他所に、その扉はゆっくりと開いていく。


開けたのは、青を基調とした全身鎧の騎士団。

そしてその中心に居るのは、装飾のある服に身を纏った、一人の貴族。


その姿を見て、アルバート氏が名を呟いた。

この魔術都市マギスティアを管理する公爵。



―ギルバート・トール・ノイマン6世



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