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扉開けたら即異世界 -ぶらり異世界冒険記-  作者: 神風 翼
第04章:魔術学園編
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0077:毒


学園長が去った後、何とか空気も元に戻った。

やっぱりあの人圧がヤバイ。


なんて思いつつも、とりあえずナイア嬢の魔術陣込みの矢の実験は続行。

…とは言え、まだ実験段階故に、失敗も多々あった。


とりあえず確認できただけでも熱誘導から推進式、高貫通と様々。

アルバート氏も、コピーを見て舌を巻いていた。

でも名称はどうにかしよう?


サイドワインダーとかは…まぁ百歩譲ろう。

でもAP※1 とかHEAT※2 とか戦車の砲弾染みた略式書かないで。


魔法がいくえ不明。

このままだと魔法がひっそり幕を閉じる事になる。



※1:徹甲弾 Armor-Piercing の略

※2:成形炸薬弾 High-Explosive Anti-Tank の略



…ま、成功したのがさっきのレーザー誘導と高貫通(AP)だけだったけどさ。


熱誘導は別の熱感知してマトモに誘導せずポテン。

推進式は普通に推進力不足でポテン。

HEATに至ってはただの爆発で終わった。


しょぼんとなった彼女は非常にかわいらしい。

だが、ミリオタだ。



…その後、周りで見ていた生徒達が集まってきて、コピーされた魔術陣を見てあれやこれやと息巻いていた。

どうにも、ココまで精密に書き込まれた魔術陣はそう無いとの事。


本来の巻物スクロール何かは、使用者が触れて初めて動作する。

対して彼女の物は触れずに動作させ、しかも対象を狙って自律動作までさせる物。


そりゃ複雑になる訳だよ。


結局、周りに居た生徒達からの改善案があれやこれや。

偶然とは言え、非常に友好的な同士…同士?ができ、彼女にとって何とも有意義な時間となった。

とりあえず改善点や修正点が見つかったのは儲け物、との事。

彼女もふんすと鼻息荒く張り切っていてよかったでござるの巻。


なおその間、残された俺とアルバート氏&護衛の猫'sは、色んな教師陣に囲まれてましたとも。

大体が愛想笑いだけさ、時間が非常に無駄。


ナイア嬢に対して、俺自身は今日、何の成果も得られませんでしたぁぁぁーッ!

…まぁ、彼女の笑顔が見れて、おじさんもうれしい、といった形で綺麗に閉めておこう。

どんとはれ。



…気が付けば日が傾き、時間帯もいい感じ。

とりあえずあやめと合流しよう、という形で例のダンジョン構造学の教室へと向かった。


「オッス」

「おーっす」


…とは言え、こっちもこっちでそう遠くなく、案外すぐに合流した。

丁度授業終わりらしく、教室から何人かの生徒が出て行く所。


「どうね、難しいかね」

「いや楽しい、実に楽しいね!」

「…さいで」


めっちゃ目を輝かせて言う辺り、本気で楽しかったんだろう。

どうにも、彼女と共に居るイーリスとタクトも楽しかったのか、満足げな表情である。


「いやね、蟻の巣観察キットみたいな感じの物に壁やら階段やら配置して、擬似的にダンジョンを構成してだね。

そこにダンジョンを構成する生物を入れてどう動くか、どう生活するか、どこが無駄かどこが有用か構造を研究考察していく辺りが実に……」


とりあえずあやめはスルーして、子供組みに向き合う。


「何が楽しかった?」

「ダンジョン作るのが意外と面白かったなー」

「コレ、私が作ったの」

「ほー、よかったなぁ…」

「聞け」


頬を、抓らないで、いただきたい。




 ~~~




「いやぁ…溜まったね!」

「溜まりすぎじゃ」


帰宅後、そう言って目の前に再び摘まれた賄賂の山を見やる。

昨日今日と、更に量が増えてこのザマである。


量が量ゆえにもうゲンナリだよ。


コレ本当に貰っていいものか…受けない場合は返すべきか、なんて。

そう考える辺り、やっぱり俺ァ主人公よか小市民だよ。


「ですがいい物も…あら!」


そんな俺を他所に、やっと回復したであろうシャルリア様が、山の中から瓶詰めを手にする。

赤い、乾燥した葉のような物の詰められたビン。


「何それ脱法ハーブ?」

「捕まるわ」


せやな。

…まぁそんな訳無く。


「コレは紅茶の…しかも最高級のクリムゾンレオの茶葉です。

…呑んでもいいかしら?」

「良いけど…」

「急須しか置いてねぇ!」


ちくわ持ってやったがスルーされた。

悲しみ。


「他にもドラギオンハーブ、アルタイルローズ……」

「マザーブラック!ファイヤーレッド!」

「そしてバーニングゴールド!」

「「お前に相応しい茶葉は決まった!」」

「何召喚する気だ」


それソイルじゃねーから。


…てかこの数日でどこまでネットに毒されてんだこの駄猫共。

異世界人をも魅了するとは日本始まったな(もうヤダこの国)


「あら、お茶菓子もありますね」

「丁度いいし少し遅めのお茶会ですかね」

「こんな格言を知ってる?」

「あくせくする必要がなく、ゆったりとした時を過ごす…人それを『優雅』と言うッ!」

「優雅さの欠片もねぇ!」


何で聖グロに正義の国語辞典が居るのかと。

じゃなくて。


「いいじゃん、一緒に優雅にたのしもうさ」

「…まぁいいけどさ」

「よし、じゃ茶菓子切って……」


そう言って、あやめが振り返る。

…が、その先には既に一切れ咥えているトールの姿が!


「茶会やる言うたろーが!」

「いや我慢できなくて…」

「兄貴!アタシにもちょーだいよ!」

「いや待て、ここは兄がちゃんと毒見…っ……ッ!」

「…兄貴?」


一瞬、茶菓子を加えた彼は動きを止める。

トールの体に描かれているのか、魔術陣が紫に浮かび上がり、しかめ面を浮かべた。

魔術陣に描かれた文字には、抗毒の一文。


…次の瞬間、トールが光を発した。


何の光!?

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