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扉開けたら即異世界 -ぶらり異世界冒険記-  作者: 神風 翼
第03章:迷宮編
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0049:閃光

前回の転移の件に違和感を感じたので修正しました。

連載読者の方は、今一度見直していただけると幸いです。


「準備に少しかかるから暫く足止め頼むよ!」

「判りました、聞いたな!」

「わ、わかった!」

「おっしゃぁ!」


男集の威勢のいい言葉を聴きながら、ポシェットに仕舞ったブツを取り出す。

白いプラスチックの棒…懐中電灯だ。


「成程レーザーか!」

「LEDでできる武器じゃねーから!」


そうあやめに怒鳴りながら、全員分に用意した3つの懐中電灯を手にとり、しゃがんだ。


そのまま先端部分を地面に叩きつける。

全部をぶち壊さない、微妙な力加減で先端を割る為である。


「じゃ何、光の武器って言ったら……まさか、ジェダイのセイバーか!」

「現実的に実用レベルを言わんかいッ!」


相変わらず無茶苦茶を言いなさる。

グシャッ、と乾いた音と共に先端部分が拉げ、LED部分を露出させながらツッコんだ。



第一米軍ですら、ミサイルを撃ち落す実用レベルのレーザーの実現が、2020年の実用化「予定」なのだ。

ソレこそ、現代の実用レベルのレーザー兵器って限られてる訳で……

有名所でも、旧ソ連のレーザー衛星「ポリウス」やら、ロシアの1K17「スジャティエ」レーザー戦車ぐらいです。


全部珍兵器だけどな!

動画で知ったよ!動画で!

ポリウスは打上げ失敗でそのままおじゃんだし、スジャティエも試作されただけで終わったよ!


…ってか実用化されてんのロシア系しかねぇじゃねぇか。

アメリカどうした。


第一、レーザーで敵衛星を撃墜するポリウスも、抵抗の無い宇宙空間だから実用化できた訳で。

てか、スジャティエに至っては敵機撃墜ハード・キルでは無く観測装置無力化ソフト・キル用装備だよ。


敵を破壊するレーザーなんぞ夢のまた夢である。


しかもスジャティエに至っては、レーザー用のエンジン積んでるのよ?

第一出力が足りんわ。

できてもレーザーポインタが関の山じゃ。


「ならどうするのさ!」

「呪文に使うって言ったら笑う?」

「はい?」


じゃあどういった装備にするのか? という話だけども。


スジャティエの観測装置無力化ソフト・キルってあったやん?

あの観測装置って、言い換えると人の目も含まれるのよ。


逆に言えば、こんな暗闇や洞窟内が生活環境のノームに、強烈な閃光を当てたらどうなるか?

…もう言わなくても理解できると思う。


「ヒント:滅びの呪文」

「…あぁ、あの映画の」


そこまで言うと、あやめも理解した。


一体一体狙った所で、全員を狙う間に復活される。

ならば全体に行き渡らせる必要がある。


その為にはまず先端を破壊し、一点ではなく全体に照射するように。

ソレこそただの電球のように強烈に。

一本程度の普通の閃光では足りないので、三本分纏めて。

しかも電池の出力を魔力操作で強化して光らせればいい訳である。


…問題は電流とか電圧とか、耐電量とかがよーわかってない点。

失敗したら一発でLFDがぶっ壊れる…かも。


三つを一つに纏めて持ち、電池へと魔力を集中する。

電流、電圧…あれ?


「どうだったか…どっちだっけ……?」

「大丈夫かホントに」

「確か電流は流れる量、電圧は押し出す力、だったはず、うん。

大丈夫だ、電流は流れる量、電圧は押し出す力、電流は……」


その刹那、視界の端に光が見える。


一瞬の交差。

剣と剣が組み合い、火花が散る。

次いで、鮮血。


「っはぁっ…はぁっ……」

「タクト、まだ行けるか?」

「っ…ったりまえだッ!」


息を切らすタクトの姿。

子供がアレだけやってて、自分が怖気づいてどうする!


「…全員目を閉じろ!」


次の瞬間、電池内に意識を向け、電圧を上げる。

電池一本1.5V、ソレが3本。

それを3倍、4.5V、それが3本で13.5Vに、魔力操作で引き上げる。


バチリッ…という電気の爆ぜる音。

次いで、閃光。


「…ッバルスゥッッ!!」


渾身の叫び声と共に、辺りに光が満ちた。


ほんの一瞬、されど最大に。

閃光弾フラッシュ・バンもかくや、といった閃光が溢れた。

次いで聞こえてきたのは、ノームの悲鳴とうめき声。


…成功した!


「っ走れぇ!」


ドランの叫びに合わせる様に、全員が全員走り出す。

俺はドランに小脇に抱えられて、といった体勢ではあったが。


理由?

…魔法ってさ、基本は視界内に効果を及ぼす訳なの。

で、その視線は懐中電灯三本の中、電池のある場所に注がれてた訳で……


「目…目が……あっ…あぁぁ……」


そらこうなりますわ。

辛いのだ。


次の瞬間、ギャァという悲鳴と共に壁にぶち当たったような音。

回復する視界の中、テクスが盾でノームを蹴散らしてるのが見えた。


…とは言え、それでも奴等の数は半端じゃない。

一体一体の数は減らせても、まだその背後に他の奴等が控えてる訳で……


「もう一度やれぇい!」

「ああもうバルスバルスゥゥゥゥ!!」


抱えられながら列の前へと出されつつ、振動を受けながら再びの閃光を連発する。

途中、パキンパチンと爆ぜる音が響き、壊れるんじゃないかという恐怖を感じながら。


再びの悲鳴とうめき声が響くも、走る振動は止まらない。

全員後ろを一瞬向いた様でいいね。

こちとら目をつぶった程度だけどほぼほぼ光が貫通してくるんだよね!


「瞼の意味がねぇ!」

「メッチャ辛そう」


目開けたら白くぼやけっぱなしなんですが。

前が見えねぇ。



…そんなフラッシュを何度かする内に、水が叩きつけられる音が響く。

目を開ければ、見覚えのある螺旋階段。


立坑に戻ってこれた!


「あだっ」

「ワシとテクスで殿しんがりを務める!お前等は先に上がれぃ!」

「放り投げる事ぁねぇだろ!」


次の瞬間、ドランに投げられる形で階段へと手を着きつつ、悪態をつきながら立ち上がった。

上はほの暗い中、綺麗な空気を感じる。


とにかく上へ!

そう、俺たちは全力で階段を駆け上がり始めた。


ムスカ状態!!

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