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扉開けたら即異世界 -ぶらり異世界冒険記-  作者: 神風 翼
第02章:神託編
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0021:厄介者


魔法陣の描かれた羊皮紙2枚に、血液をポタリポタリ。

同時に光が出ると、今の自分がそこに描かれた。


「これで個人登録完了です」


そう気だるげに、さっきと同じ受付に言われてカードを受け取る。

登録された個人カードは銀っぽい金属カード。

もう一枚の方はギルド側に保存されるそうで。


因みに今の説明は全部テクス氏、受付ちゃんと仕事しろよぉ!


まぁ、コレで登録は終了。

思った以上に早く冒険者として登録される流れになった。


「てか商人登録も問題無かった事が逆に不思議」

「私の暗算とイーリスの金貨換算のお陰かな」

「自画自賛乙」

「ぶっ飛ばすぞ」


サーセン。


とりあえず後はこの場を離れ、さっさとマギスティアに行くだけ。

一度くしゅん、とくしゃみをしながら、サッサと扉に向かおう。


「失礼します」


と、した所で止められた。



…曰く、ギルド側からの依頼。

マギスティアに行くとの事らしいので、ついでに護衛任務も請け負ってくれと。

まぁギルドからの依頼は断る訳には行きませんが…。


でもただの護衛なのに何で俺らが選ばれたのか。

他にいくらでも実力者居たでしょうに。




 ~~~




案内された先は豪華な宿。

部屋なんかもスイートルームもかくやな豪華な部屋。

煌びやかな装飾に巨大なベッド。

一晩でいくら掛かるんだろう、と現代人である俺でもそう思える。


そんな部屋に居たのは三人。


一人はイーリスとそんなに年の離れていなさそうな赤髪の少年。

腰に剣を差し、鎧は皮の胸当てだけ。

もう一人は黒い髭をもじゃもじゃと生やした小さいおっさん。

背負ったハンマーと耳がとがっているのを見て、直感的にドワーフだと感じる。

そして最後は……


「ほら、言ったとおりでしょう?」


白いローブに金の装飾の入った女性。

鮮やかなライトブルーの透き通るような髪を靡かせながら、彼女はそう微笑んだ。


「はじめまして…護衛任務を請け負うことになりました」

「えぇ、知っております。

貴方方ならば安心できる、問題はないと神託を受けたのですから」


テクス氏の言葉に返した彼女。

神託、という言葉に眉を潜めながらも、彼女は改めて言葉を発した。


「私はシャルリア。

神聖教会が崇める神、エヴォリアに仕えし神官であり、第三位階級を拝命。

神聖教会神官エヴォリュード第三位階級トーレ・シャルリア、と申します」




 ~~~




「やっと行ったか……」


ギルドマスターは、例の神官と共に怪しい4人組が出発したのを、部屋の窓から見て安心した。

例の扱いの難しい神官の御眼鏡に適ったパーティーが現れたことに、心底安堵しながら。


「…あの小娘は何者なんです?」

「バカ者、言葉に気をつけろ」


そう、面接をしていた男に振り返った。

再度窓をのぞき、例の小娘がこちらに気づいていないことに、ほっと胸をなでおろすと、カーテンを閉め面接官の男に向き直った。


「お前達には知らされていないが、あの女は神聖教会でも扱いに困る女だそうだ」

「扱いに困る?」

「手を離れたからこそ話すがな、あの女は神聖教会屈指の神官だ。

元々は唯のエヴォリア崇拝者だったが、ある日だかに神託を受けるようになったそうだ。

それ以来教会内でめきめきと実力を付け、上位の第三位階級をたった2年で拝命した」

「すごい腕じゃないですか」

「それだけならな!

…問題は、奴がエヴォルシードの上層部とは完全に方向性が違う事にある」

「と言うと?」

「冒険者と関わってるお前なら知ってる通り、神聖教会やエヴォリアなんて物は創作もいい所。

所詮エヴォルシード神聖帝国の資金源でしかない。

…が、あの女は神託を受けるようになって完全にエヴォリアを信じきってる。

しかも無駄に正義感が強いのも問題で…神聖教会の聖書の公開や、教会上層部に魔法の奇跡を見せ、迷える市民を救済するべきだ、と行動をし始めた。

…帝国にとっちゃ、存在しない聖書なんぞどうしようもない所だろうさ」

「それは…じゃあ彼女を幽閉なり暗殺なり……」

「それが出来んのよ。

神託は本物らしく、暗殺やらも未然に防がれたそうだ。

…今回の例の4人組も、面接前に来ると予言してたんだぞ?

今までなら実力不足だの此方に剣を向けるだの行ってたあの女が、あいつ等なら問題は無いからパーティーの護衛を、と…」

「…本当に?」

「嘘行ってどうする」


そこまで言うと、ギルドマスターは窓際に再び戻る。

先程閉めたカーテンを開け、遠い目になりながら。


「…神託を受けれる身であるが故に、市民受けは抜群。

半ば個人崇拝の域にまで達した彼女を放置する訳には行かない。

…結果、各地の巡業を命令され、各地を点々としているんだそうだ」

「それで手に負えないと」

「そういうことだ」


が、と彼は言葉を続けた。


「しかしだ、例のエルイーザからの逃亡貴族と思われる連中と一緒に去ってくれて助かった」

「くさい物に蓋をしただけにしか見えないのですが…」

「じゃあ何か、ここでふんじばれって言うのか。

あの実力者相手に行動起こしたら、逆にこのギルドが崩壊しちまうよ」


そのまま席に戻り、再び視線を戻す。


「だが、布石は打ってある。

彼女が信頼を置いているあの二人には、事前に別名を下してある」



―何かあったら、次のギルドで報告しろ…と……



「まぁ、私たちは厄介者でしたか…」

「どうしたのシャルリア?」

「いいえタクト、気にしなくていいのよ」

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