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女性棋士宿舎

「痛ってぇ……。何すんだよ……」

 シュタフゲートは鼻を押さえてうずくまっていた。

「鼻血は出てないんだから良いでしょ! ていうか日本の時の名前呼ぶなんてあり得ない。馬鹿なの?」

「可愛い 冗談じゃないか」

 全然可愛くない。異世界の記憶持ちなんて普通存在しないでしょ。そんなことばれたら迫害対象とか研究対象とかろくでもないことになるに決まってるじゃない。

「ともかく! 私は当分フラン・ボワーズとして行動するから、空気読んでよね!」

 シュタフゲートはまだ鼻を押さえて、私を恨めしそうに見つめてくるけど知ったこっちゃ無い。自業自得だ。

「納得は出来ないけど、空気は読むさ。ただ一言忠告しておく。団長には気をつけた方が良い、たしかあのノートに……」

「あぁもう! 宿舎の前でそんな話しないで! 誰が聞いているかわからないんだから」

 空気を読むって言った側からこれだ。私はシュタフゲートの言葉を遮って宿舎へ入った。

 数日後、この判断を後悔するとも知らずに。


「いらっしゃいませフラン様」

「わー可愛い! 十三歳だっけ? おはだすべすべ~。卵みたい!」

「目もくりくりしてお人形さんみたいですねー」

 宿舎に入るとそこはハーレムだった。いや私女だから嬉しくもなんともないんだけどさ。

 私は女性騎士のお姉様方にもみくちゃにされながら、ダイニングへと案内された。

「フラン様、まだお時間ありますでしょ? ぜひこちらでお茶でもどうぞ」

 お姉様方は有無を言わせずお茶とお菓子をテーブルに広げ、私に勧めてきた。これは断れないパターンだ。

「あの、これは一体どういう状況なんですか?」

 あまりに異様な歓迎っぷりに私はおそるおそる質問してみた。

「えー? だってフラン様初日から凄いじゃないですか!」

 何が? どこが?

「レヴァン隊長はフラン様の従者になるって言ってましたし」

「はぁ……」

 うん。強引にそういうことにされました。私は無関係です。

「シュー隊長とも互角に渡り合ってましたし、なんかお互いを認め合ったって感じで」

「互角なんてとても、手加減して下さってたと思いますよ?」

「先ほども宿舎の前で二人話してらっしゃいましたよね? 何を話されていたかは存じませんが、なかなかの雰囲気でしたよ?」

 いや、アレは別の理由で話し込んでた訳ですけど……。むしろ最後私殴ってましたよね? そこだけ見えなかったのかな~? 不思議だなー。

「団長に至っては交際したいなんて仰ってましたしね! あの団長がですよ?」

 どの団長だよ。ってあの不幸設定特盛りてんこ盛りのエルディアさんしか居ないのは解ってますけど。

「初日から騎士団トップスリーに気に入られるって凄いことなんですよ?」

「そうですそうです! 普通ならお話すらままならないんですから」

 なるほど、私からしたら残念トップスリーでも周りから見たらエリート集団って事ね。

「で? フラン様は誰が本命ですの?」

 全員無理です。なんて言えるか!

 どうやらお姉様方は私と騎士団トップスリーの色恋方面に興味津々らしい。きっと団長のせいだ。交際したいとか言い出すから。

 ごめんなさいお姉様方。私、あの三人の事、一切興味ねーです!

「皆さん落ち着いて下さい。団長様はきっとからかってらっしゃるだけです。私まだ十三ですよ? 普通に考えて相手にされませんよ」

「えー? じゃあシュー隊長はいかがです? 先ほどもお話しされてたでしょ?」

 むむむ。食い下がりますねお姉様方。

「先ほども言いましたとおり、あの手合わせでは手加減して頂いてました。それに私は騎士としての訓練を受けていない身です。手合わせで受けた傷の手当ての方法などをお伝え下さっただけです」

「そうなんですか。まあシュー隊長は優しい人ですからね」

「でもでもレヴァン隊長は? あの人が誰かの従者になるって、私未だに信じられませんけど」

 入れ替わり立ち替わりお姉様方も飽きないですねぇ……。

「レヴァンは……」

「「「キャー! レヴァンですって! 呼び捨てするほどの仲なんですか?」」」

 もうやだこの騎士団。女子中学生か!

「責任感が強い人ですから、一人焼け出された私を心配してのことでしょう。あと、出会ったときに私が侯爵令嬢と知らずに無礼な振る舞いをしてしまったと、とても後悔されていたようですから。私は気にしてないと言っても聞き入れてくれませんし」

「あの人アレで頑固な所あるからねぇ」

「確かに」

「それなら従者にっていう発想も納得~。あの人どこか抜けてるっていうか、変でしょ?」

「「「そうだよねー!」」」

 あぁ、レヴァンは優秀だけど変な所があるってのはお姉様方も理解してるのか。なんか不憫に思えてきたよレヴァン。


 質問攻めはある程度の所で落ち着き、しばらくお姉様方と話をしてから私は明日朝早いと言い訳して用意されたベットに横になった。

 それにしても色恋はどの世界も共通なんだなぁ。

 正直な所、剣道一直線で生きてきた私は色恋沙汰なんて無かったなぁ。まあクラスメートとか由紀とかは彼氏がどうだとか言ってたし、相談に乗るくらいはしてたけど。

 あんな感じの女子会的なノリは知らなかったから疲れた。まあ嫌な雰囲気じゃなかったけどさ。

「日本に戻れたら私も恋愛とかできるのかなー」

 ぼんやりとそんな事を考えながら私は眠りについた。

騎士だって恋がしたい!

お姉様方は大体十代後半から二十代前半くらい。

お付き合いありがとう御座いました。

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