7
精霊達が探しに行った間に、イノに色々聞こうと思う。
「ねぇ?どうして森に住んでるのか分るかな?」
「森、赤しゃん・・・・・捨てられる。ママしゃん、拾った。」
その言の葉を聞いて二人がざわついたのを感じたのかイノは僕にしがみ付いてきた。
まぁ、内心は僕だって驚いてるんだけど二人が殺気立ってるからね。
拾った方も拾ったほうだ。捨て子だったと、自分の子ではないって普通伝えるか?ありえない。
「・・・・・・・捨て子だと、母親に言われたのか?」
ビクリと膝の上のイノが震える。だから、デビット、あんたしゃべるな。イノの手が震えてるじゃないか。イノはフルフルと首を横に振りながら。
「ママしゃん、しゅ、ちがう。」
しゅ?しゅは種族のことかな?なら、エルフ、ドワーフ、獣人族のどれかかな?ナトゥーラ王国は、割と多くの種族が集まるから。変わり者とかも多いし。
「それで、そう思っちゃったの?ハーフかもしれないよ?」
「セーレしゃん、言った。いーちゃん、じゅんすいなにんげん。」
あぁ、この子は気付いたのか。それでも、母と慕い敬い一緒に居るのか。僕は誤魔化すようにイノの頭を撫でた。にしても、頭を撫でるの癖になってるかも。
「イノちゃん。ナトゥーラ王国に来る気はない?もちろん、おかぁさんと一緒に。」
「ママしゃん、イケナイ。ヒト、チガウ。」
イノはフルフルと首を振る。
「ナトゥーラは獣人もエルフもドワーフも生きれる国だよ。」
イノは悲しそうに目を伏せ首を横に振る。
「【探査・索敵】結果・北に魔力数、2!?まだ遠いけど、この場から離れるっす!」
いきなり、目を開けて立ち上がったと思ったらルイスは強張った表情になっていた。そして、ごめんルイス。目を閉じたときから寝てるのかと思ってた。
僕らが立ち上がると同時に、びしょ濡れのエンファとファインが入ってきた。
『ケモノのコ!ヒトだけどケモノのチゴ!』
『あのベアのコ!だから、オコッテル!』
僕らはその言の葉に驚いてしまった。だって、魔獣が人の赤ん坊を育てた?野生の魔獣だよ?
「え?消えた・・・・。魔力一つ消失、もう一つ!増えた?」
ルイスが呟くと同時に獣の咆哮が聞こえて、イノは僕の腕からすり抜け咆哮の方へ駆けて行った。
「イノちゃん!」
風の精霊達が力を貸しているのかイノに追いつけない。僕らは見失わないように背中を追った。一度見失ったが、直ぐに見つけることが出来た。手を口元に当て、大きな瞳を見開いて零れんばかりの涙を溜めた彼女が蹲っていたから。