8
走る。草木を分けて少女は走った。
だが、辿り着いたそこで彼女が見たものは余りに無惨な光景。
少女の口から声が漏れる。
手で押さえた口から、言葉にならない言の葉が零れ落ちていく。
「・・・・・・・ぁ、マァー?..........マァ....マ?ぅあ、。」
赤黒い液体が地面に広がり、その中央には一人の血ぬれの青年。
そして、青年の足元には吸血大熊と吸血熊の死骸。
だけど、少女には分ってしまった。それが、自身の愛する家族であると。
ここまで育ててくれた母親と兄だという事に。
「......ぃ....!か...ぃ....せ!返して!!」
その場に蹲ったまま少女は青年に叫ぶ。
今まで気付かなかったのか、驚いた顔で青年はこちらを見た。
「あ、君の獲物?ゴメンネ、殺しチャッタ。泣くほどのことカナ?たかが獣一匹。・・・・・!イイコト、思い付いた。返すのは無理だから、一緒にシテアゲル。」
青年は、刀を振り上げて少女に切りかかった。
―――――――――――――――――――
人形の魔力が消えた。
あまり強いものでは無かったしイイや。
その場所に行ったら、吸血大熊と吸血熊がいた。
強い魔核を持ってソウダ。
魔核を取り出してたら、まだ若い女の声が聞こえた。
「......ぃ....!か...ぃ....せ!返して!!」
艶やかな銀色の長い髪に黄水晶のような瞳。
魔人であるボクが一瞬見惚れた。それほどの愛らしさを持った少女。
ホシイと思った。この少女を使えば最上級の人形が出来る。
ダイアモンドのような美しさを持つ涙を堪えた、憎しみが混じる瞳は今はボクを見てる。
「あ、君の獲物?ゴメンネ、殺しチャッタ。泣くほどのことカナ?たかが獣一匹。・・・・・!イイコト、思い付いた。返すのは無理だから、一緒にシテアゲル。」
持って帰るのに暴れられたらイヤだし、半殺しにシヨウ。ボクは刀で少女に切りかかった。
―――――――――――――――――――――
振り上げられた刀が、イノに向かう。
イヤダ、もう、失くすのは、イヤナンダ。
走る。少女の下へ。
妹と同じ瞳を持つ少女の下に。
モット、早く。モット ハヤク!!
何でもする、何でもやる!だから、また守れないのは嫌なんだ!
あの子を守る力がホシイ!
「・・・・・・・ッ、イノちゃん!」
必死に手を伸ばす、いきなり目の前が暗闇へと包まれた。
漆黒の空間に紅い光が一つ。
僕以外は居ないみたいだ。後ろに居たルイスもデビットも精霊達すら居ない。
いきなり、頭に直接、言の葉が聞こえてきた。
魔核・・・上級魔物になれば、なるほど大きな魔核がある。所謂、心臓。
魔力の大きな人間から時たま取れる。
魔人・・・魔族の中でも上級種
獣魔人・・魔獣から魔人になるまで力を蓄え進化した種のこと。




