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不本意な縁組3

「その点は真っ先に話を通してある。静には懇意にしている相手がいると」

「では、破談ですよね」

「いや、それでも構わないと言っているのだ」

「は?」


「婚約者や思い人がいようが、構わないと。静お前を嫁がせよと」

「何という……!」


 静は驚きのあまり、腰に差した柄に手を伸ばす。父に剣を抜いても意味はない。しかし、怒りのおさまりどころが見当たらないのだ。無粋であり、無礼である発言だ、と静は思う。


「そんな人の元に嫁ぐことなど、出来ません!人の尊厳を踏みにじっているではありませんか!?」

「婚約者がいようが思い人がいようが構わない、つまり麒鞠は公式に重婚も構わないといっているのだ。麒鞠から声がけがあって縁組を破談にすれば、その家は潰えてしまう。麒鞠は根であり大地だ。我らが根差すには必要な存在、ゆえに王である。この縁組は、碧羅にとっては好機である。そして静お前にとっても」


「碧羅にとっての価値は分かっております。ですが、私は尊敬できない人のところへ嫁ぐことなど、出来ません。ましてや……」

 静が言い淀んだのはひとえに、麒鞠が縁談相手に求めるものを想像したからだろう。

 縁談を行い、麒鞠と碧羅との間で子を成す。その子は、両家の力を引き継ぐため、両者の礎や強固な絆となる。両家の繁栄、引いては他三家の繁栄にも関わってくる問題だ。


「父上は私を生贄にするおつもりですか?」

「そんなつもりはない。しかし、麒鞠直々に指名が入ることは珍しい。お前に、よほど思い入れがあるようだ」

「いりません、そんなもの。私には」

 飛鳥がいればいい、と静は思う。


「麒鞠の弁によれば、お前は紗紅那の飛鳥と縁を切る必要はない。ただ公的には縁組を行えないだけだ」


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