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失われた根4

 静の中に一つの違和感が生まれた。

 土の気は、金の気に流れやすい。つまり、土の気が、何かのきっかけにより、金の気へと変質してしまった可能性がある。

 金の気を司るのは、白露であり、麗虎や虎煌だ。

 根を失ったから、土の気が流れ出した?


 静は一つの仮説を思い浮かべたが、根拠がない。それに坤宮の土の気は、紗紅那から火の気の加護を受けており、そう簡単に枯渇するとは思えないのだ。


「土の気がもれるのは、金の気へ。つまり、怪しいのは我らが白露ですね」

 と双子は同時に言う。

 とても弾んだ声音だったので、静は驚きを隠せない。


「証拠があるわけではありませんし、そのような発言をするつもりはありませんよ」

 と静は諫めるのだけれど、

「静龍様、母様は伯父様と闘うつもりですし、お兄様も何やら動いております。怪しいと睨んでいます」

 と二人は言うのだった。母様というのは、麗虎で、伯父様と言うのは虎煌のことだろう。


「お兄様というのは、虎牙様のことですか?」

「虎牙とお呼びいただいてよいのですよ。飛鳥様とともに、静龍様はお兄様とご年齢も近く、懇意にしていただいているご様子」


 虎牙も飛鳥と同様、昔馴染みではある。ただ、虎牙は何事にも一言多く、静からすれば口うるさい人物なのだ。それに虎牙に双子の従妹がいるとは、静は初めて知った。


「虎牙がやましいことをするとは思えませんが」

「では、虎雨お兄様は?どうでしょうか」

「虎雨様にはお目にかかったことがありません」

 虎牙には兄がいるとは聞いていたが、直接相まみえたことはない。


「それに、まだ証拠も何もない状態です。私が下手な発言をすることで、波紋を広げては困ります」

「静龍様は、血気盛んだというお話ですが、中々どうして冷静ですね」


「そ、そのお話はどこから」

「お兄様ですわ」

「虎牙ですか。私もいつまでも子どものように、頭に血が上りやすいわけでは……」



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