217_蹂躙2
作劇の都合上、性描写が含まれます。
ご留意ください。
余裕を感じさせる手つきで、ブロルはエステルの顎を掴んだ。
「よぉし、キスしようぜ」
楽しげに告げ、唇を寄せる。
当然、エステルはただ拒みはしない。ブロルの顔へ向け、唾を吐きかけたのだ。
「くくくっ」
ブロルはそれが嬉しい。
なお折れぬ獲物に、彼の欲望は滾るばかりであった。
そして歓喜に震える手のひらで、エステルの頬を打つ。
ばしり、と乾いた音が響くと同時に、ブロルは激しい快感を覚えていた。
たまらず、何度も頬を打つ。
少しの躊躇も無く振り抜いた平手打ちは、エステルを執拗に痛めつけた。
「く……!」
「ああー……いいぜぇー……」
この粗野な男は息を荒くし、唇の端から唾液を零している。
笑っていた。仲間たちも笑っていた。
対してエステルは、それでも強い視線を向け続ける。
口の中に血の味を感じながら、
「よぉし、そんじゃあ犯るか!」
そうするのが当然であるかのようにブロルは言った。
そして下半身の軍装を解き、下穿きを脱ぐ。
にぃ、と笑顔を深めると、屹立する欲望の塊をエステルに見せつけた。
「…………っ!」
顔を背けるエステル。
敵の刃を恐れること無く戦い続けてきた彼女だが、目の前のそれは怖かった。
自身、決して認め得ぬことだが、恐怖を感じていた。
そのことを、ブロルは目敏く感じ取る。
そして心底嬉しそうに、仲間たちへ言った。
「膝立ちにさせろ」
「ふふっ、オーケーっす」
察し、笑顔に卑劣な影を深め、仲間の一人がエステルの身体を起こす。
そして両腕を掴み、彼女の身体を制圧したまま、膝立ちにさせた。
「ぐっ……!」
悔しげに呻くエステル。
その目の高さに、ブロルの欲望の塊があった。
赤黒く脈動するそれを、ブロルはエステルの鼻先へ突きつける。
「しゃぶれ」
「な……!?」
エステルとて、媾う男女の営みに、そういうものがあるとは知っている。
だが、この男に対してそのような真似、どれほど痛めつけられても御免であった。
「団員に奉仕してこそ良い団長だろ? なあ?」
「地獄へ落ちろ! 恥知らずが!」
「んー。罵倒の言葉がやや陳腐じゃねえか? もう少し頑張れよ」
実際、エステルに言葉を選ぶ余裕は無い。
嘲りながらも、それを感じ取るブロル。
高貴な英雄は、まもなく頽れる。
そう感じ取り、もう一押しをするため、部屋の隅へ目をやった。
仲間たちもそちらへ視線を向ける。そしてブロルの意図に気づき、にやりと笑った。
部屋の隅で座り込み、震えている若い女性。
エイラである。
ブロルの仲間は剣を抜き、彼女へ近づいた。
「何を……!? よせ!!」
叫ぶエステル。
だが、仲間はエイラを斬ろうというのではない。
彼は白刃をエイラの喉へ突きつけたのだ。
エイラは、怯え切った表情で刃から目を逸らした。
「よぉし、それじゃ改めて命令するぞ。しゃぶれ」
「…………!」
言いながら、愉悦の炎に身を焦がすブロル。
もう、これ以上は我慢が出来そうもない。
「く……!」
罪無き娘へ向けられた剣。その剣を男が少しばかり動かせば、エイラは死ぬ。
エステルは何も出来ず、何も言えなかった。
ブロルはそんな彼女の顎を掴み、口を開けさせる。
「あがっ……!?」
そして、その口へ肉塊を突き入れた。
そのまま髪を掴み、彼女の頭を前後に揺さぶる。
「ごっ……おごぉっ……!?」
「ああー! こいつはたまんねえ!」
背筋を震わせる快感に、ブロルは歓声をあげた。
間違いなく、これまでの人生で最大の快楽を彼は感じていた。
「おごっ……ご、おぉっ……!」
美しい髪の毛をただの持ち手として、エステルの頭を動かし続ける。
粗暴に、雑に、使い捨てるように。
喉奥を突かれ、呼吸もままならず、エステルはついに目尻から涙を零した。
苦痛から来る反射の涙であったが、誰も見たことの無い英雄の落涙である。
その姿を前に、ブロルはどこまでも高揚していく。
「最っ高だぁ! エステル・ティセリウスが俺のを咥えてるぜ! 泣いて悦んでやがる!」
ブロルは歓喜に打ち震える。天にも昇る気持ちであった。
高官らの誘いに乗り、教会と手を組んで陰謀に加わった自分を、心底から褒めたい気分だ。
「ごっ……! おごっ……!」
打たれて腫れたエステルの頬を、ぽろりぽろりと涙が伝っていく。
その一滴ごとに、ブロルの愉悦はなお滾った。
そして髪を引きちぎらんばかりに、エステルの頭を前後に振り立てる。何度も、何度も。
ばしばしと響く打擲音は、ブロルの腹がエステルの顔にぶつかる音である。
欲望の塊を喉深くまで突き込むため、腹がエステルの顔を正面から打っていくのだ。
やがてエステルの鼻から血が零れる。
その様にすら、嗜虐心を燃え上がらせるブロル。
「おっごぉっ……! ごっ……!」
「受け止めろ! 受け止めろよエステルゥーーー!!」
咆哮するように言うと、ブロルは全身を震わせた。
身体中に満ち満ちた快楽は、彼を絶頂へと導いていく。
そして遂に、精を吐き出すのであった。
「くぅっ! うおぉーーー!!」
けだもののような叫び声。
エステルの頭に密着させた腰を、さらに強く突き出した。
彼女の喉奥へ、迸らせた獣欲がどくりどくりと放たれる。
明滅する視界の中、エステルは動けない。
エイラの命を握られている以上、抗うことは出来なかった。
「二人とも盛り上がってるっすねー」
「ティセリウスが上手いんじゃないの?」
喉を穿たれたまま、なお嘲弄の言葉を向けられるエステル。
口は肉塊で、鼻は血で塞がれ、満足に呼吸も出来ない。
だがブロルは、玩具の都合など知ったことではないとばかりに、その腰を彼女の顔へ擦りつけた。
「……ふぅぅーーー」
やがて吐精を終えるが、ブロルはエステルを解放しない。
髪を掴んだ手を放さず、彼女の口中に居座ったまま、顔を天井へ向けていた。
至福の表情で、長く余韻に浸っている。
「そんなにかい」
仲間が苦笑しながら言った。
ブロルはよほど、エステルを気に入ったようだ。
その身体を犯す前に、少し奉仕でもさせて心を挫こうとしたブロルであったが、気づけば夢中になっていた。
彼は心底嬉しそうな顔で、ようやくエステルの口から自身を引き抜く。
そして彼女を床へ放り投げた。
「がはっ! がっ……かふっ!」
咳き込むエステル。
口中に残った精を吐き出しながら、必死で空気を吸い込んだ。
「おお悪い。息、出来なかったか。言ってくれりゃ良いのによ」
げらげら笑うブロルと仲間たち。
不世出の英雄が、王国最高の騎士が、いま全裸で這いつくばっている。
誰より高潔だったはずの女を、自分たちが蹂躙している。
エステル・ティセリウスの尊厳を踏み躙っている。
ブロルたちの背筋に、ぞくぞくとしたものが走るのだった。
彼らにとって、花を手折るより楽しいことは無いのだ。
「げほっ! かはっ! はっ……はっ……」
エステルは見るからにボロボロだが、ブロルたちに言わせれば、まだ凌辱は始まってもいない。
何とか呼吸を整えようとする彼女へ、ブロルは近寄った。
そして膝をつき、その肩へ手をやる。
「よし、じゃあ本番だ。まずはあいつらが相手してくれるからよ」
ブロルは休憩するようだ。
代わって仲間たちが、ニヤニヤしながら近づいてくる。
だがエステルの眼に、諦めの色は無い。
彼女はその眼を、部屋の隅に向けていた。
そこにはエイラが居る。彼女の喉元に、もう白刃は無かった。
剣を突きつけていた男は、エステルを犯すためエイラから離れたのだ。
「逃げろ……!」
息も絶え絶えに叫ぶエステル。
この後、ブロルたちは目撃者を殺すかも知れない。
それは絶対に避けなければならなかった。
だが、エイラは動かない。
動けない、のではなかった。
彼女は動こうとしていない。
「うーん……」
毛先を指で弄りながら、吐息を漏らすエイラ。
「………………」
エステルは悟った。
そして悔恨の思いに捕らわれる。
自分は深手を負っていた。危地にあった。
だからと言って、見抜けぬとは。
「エイラ……」
「はい?」
「何故だ……?」
「それは、まあ、お金です」
事も無げに答えるエイラ。
彼女はエステルを売ったのだ。
「おっ! 今日いちばん良い顔じゃねえか!」
下半身を剥き出しにしたまま、喜ぶブロル。
彼の姿を気にすることも無く、エイラは言った。
「でも、つまらないですよ。エステル様が挫けるところ、見られるかと思ったのに」
「くくくっ。分かんねえかな。簡単に挫けられてもつまらねえんだよ」
「お姉ちゃん、ひどいこと言うね」
両手の拳を握りしめ、エステルは震えながら俯く。
冷たい床に裸体を横たえたまま。
「このお姉さんが、俺らにこの村を教えたんすよ」
「しかも俺たち三人だけここへご招待だ。しっかりしてるぜ」
追手たちに、金銭を見返りとし村の場所を教えたエイラ。
この時、エステルを匿っている場所について、首魁たる司祭には"物置小屋のある木造りの家"と伝えたのみであった。
該当の家は非常に多い。村の農家のほとんどは、物置小屋を併設していた。
そのうえでブロルたちにだけ、追加報酬と引き換えに詳しい場所を教えたのだ。
抜け目の無い彼女は、この男たちの劣情に気づいたのである。
「エイラ……この連中は、君の村にまで害を及ぼして……」
「別に良いんじゃないですか? 麦畑しか無い村ですし。それより私は王都に行って、華やかに暮らしたいんです」
そのための資金は手に入れた。それが嬉しく、口元を綻ばせるエイラ。
かと思えばすぐに首を振って、大げさに嘆息した。
「エステル様は期待外れでしたけど」
エイラは、片田舎の村娘である自分が好きではない。
だから王都でのきらびやかな暮らしに憧れている。
そして、きらびやかな者たちに嫉妬している。
エステルは、まさにその極致に居る女性であった。
エステルがどんな思いで戦場に立っているか、そんなことに想像力は及ばない。
ただ、自分との違いが腹立たしかった。
それゆえ、そんなエステルが堕ちる姿を見たかった。泣き叫ぶ姿を見たかった。
密告料を得たうえでそれを見られるなら、一石二鳥というものである。
しかしエステルは、そんな姿を披露してはくれなかったのだ。
「もうちょっと可愛げが無いと、モテないんじゃありません?」
「いや、お姉ちゃん。あんたの裏切りは効いたみたいだぜ」
ブロルの視線の先、エステルは動かなくなっていた。
床に這ったまま、俯いた顔を上げようとしない。
「その姿は可愛げあるんじゃないっすか?」
「よし、さらに惨めにしてやろう」
ブロルは、精を出し切って萎びた肉塊を、エステルへ向ける。
そして小便を出した。
じょぼじょぼと勢いよく放出される水流が、エステルの裸体を濡らす。
エステルは、なおも動かない。
無言で這う裸の女性に、黄色く濁ったそれが振りそそぐ。
ブロルは入念に、エステルの全身を濡らしていった。
そして一分ほども続く放水を終え、ぶるりと震える。
「ふぅー……」
「おぉい、これから俺らが犯るんだけど?」
「何してんすか」
「いやあほら、出した後って小便したくなるだろ」
彼らのそんなやり取りに、エイラはくすりと笑った。
それから濡れそぼつエステルへ目を向け、弾むような声で訊く。
「ねえ、どんな気分ですか?」
「…………」
「あれ、どうしちゃいました?」
「…………」
微動だにしないエステル。
ブロルは彼女に近づき、髪を掴んで持ち上げた。
この髪を掴み上げるのは、今日これで何度目か。
いよいよ慣れたものだと、喜悦に顔を歪ませる。
「きったねえなお前」
自分がしたことを忘れたかのように、ブロルは言ってやった。
エステルの顔を自分に向かせ、目を合わせる。
「…………」
そして驚いた。
その目には、未だ戦意が満ちていたのだ。
「汚れてなどいない」
「……はあ?」
「貴様らが下らぬ劣情を浴びせたとて、私は少しも汚れない。若造が得々と裏切ったとて、私の心に傷は入らない」
「そんなふうに思いたいのか?」
そう返すブロルだったが、彼が見る限り、エステルの眼には悲嘆も諦念も無い。
怯えも、絶望も無い。
エステルは、どこまでも強い表情で睨みつけてくる。
その眼に何かを見通されているように感じたブロルは、焦りに駆られて言い募った。
「……認めたくねえなら教えてやるよ。てめえは嬲られてる。俺はてめえを、ひん剥いて! 好き放題に甚振ってやった!」
「知らんのか。それで奪えるものなど何も無い」
「何を……!」
「まして私は決意と共にあるのだ」
どこまでも凛とした声。そして眼差し。
ブロルたちは高揚から一転、全身の血が冷えるのを感じた。
「………………」
「貴様らが不格好な欲望をどれほど滾らせても、私を汚し屈従させることなど、永遠に出来ない!」
力に満ちた眼。力に満ちた声。力に満ちた表情。
強者たるブロルは、人の言葉に気圧されたことなど一度も無かった。
だが今、掴んでいたエステルの髪を放し、後ずさる。
そして彼女は視線を外さぬまま、なお叫んだ。
「私には信ずるものがある! この私に、貴様らでは一点の染みすら付けることは出来ない! どれほど汚穢を擦り付けようと、露ほども汚れぬものがこの世にはあるのだ!」
ブロルも仲間たちも、言葉を発することが出来なかった。
寸鉄を帯びぬ裸体の女が、その眼で、その叫びで、彼らを圧倒しているのだ。
ブロルの体液で全身を汚されているエステルだが、彼女は汚れていないと主張する。
そして、ブロルたちにとっては忌々しいことに、分かってしまう。彼女がそれを、心の底から事実と認識していることが。
エステルは、自分が穢されたとは微塵も思っていないのだ。
そして真実、彼女は穢れてなどいないのだ。
「私は決して屈さぬ! 私は決して膝を折らぬ! 今、この瞬間も! 敗北などあり得ぬことを私は知っている!」
徹底的に踏み躙ったのに。
尊厳を毟り取ったはずなのに。
ブロルは立ち尽くす。
盲いた感性の持ち主である彼だが、目の前に在るものこそ完璧な美だと分かってしまう。どうしてか分かってしまう。
それが、胸を掻きむしるほどに悔しい。
彼はどうにか食ってかかろうとするが、ぱくぱくと唇が動くだけであった。
「神ならぬものが私を守り……そして私を戦わせるだろう!」
ついにエステルが言ったそれは、重大であった。
この場に居る誰も、そのことに気づかなかったが。
「……もう、何なのよ」
エイラが溜め息まじりに言う。
そして立ち上がると、外へ向けて歩き出した。
彼女も相当に悔しかったらしく、眉間に皺を寄せながら言い捨てる。
「さっさと犯っちゃってくださいよ」
「あ、ああ」
「出来るだけ屈辱的に! 名誉という名誉を剥ぎ取って!」
エステルの吠える姿から受けた劣等感。
それをどうにか塗り潰そうと、エイラもまた大声を出す。
これで対抗しているつもりなのだ。
「そんで殺してください! もう本当に無残に! 出来るだけ痛みを与えて! そうだ、その醜い胸を切り取って──ぶげ!?」
自らの価値を貶める台詞である。最後まで言えなかったことは、或いは幸運であっただろう。
開いたままの木戸から入って来た男が、エイラの顔面に拳を見舞ったのだ。
「おっ……ごぶ」
鼻を砕かれ、前歯を零しながら、エイラは床を転がる。
ブロルたちは驚き、そして警戒した。
エステルは黙って彼に視線を向ける。
彼女には、どういう訳か確信があった。
いや、遠くヘンセンから彼が来ると思っていたのではないし、そもそも戦う者として、都合の良い展開への期待などしない。
だが今、気づいた。自分は、彼が来ると知っていたのだ。
「……やあ、ロルフ」
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