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精霊の御子  作者: 壱原 棗
第2章:諦めた変化
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根源精霊

 * * *


「お兄さんもハーフエルフなの?」

「お兄さん言うな」



 諸々処置をシルフィと城のメイドたちに任せ、部屋の外でレムと待っていると不意にそう尋ねてきた。彼の貴族らしからぬ馴染みがあるような態度がそうさせるのか、ついサイモンも軽口を叩きたくなる。


「え〜?僕より上背も、年もあるじゃない。立派なお兄さんだよ」

「ハーフエルフで間違いない」

「耳が尖ってないんだね」

「俺は丸耳だが、尖耳もいる。ところで……あんたは魔術使えるのか?」

「できるけど、使う機会少ないし。あ、子供の頃はよく使ってたかも」


 と、レムが手の中のスモーキークォーツを光に透かすようにして覗いた。薄黒い煙を閉じ込めて褐色に色づくそれは、装飾品としての華やかさに欠けるが、不思議とその輝きに惹きつけられる。



「おい、あんまり直に触るなよ。ろくなことがない」


 少しげんなりしながら水が大量発生したことを思い出す。彼の持つ__地を司る精霊:ノームの力ではどのような暴走が起こるのか、想像もしたくなかった。

 視たところ体内のコアは暴走しておらず、むしろリマよりはっきりとした特異な魔力を感じ取れる。



 程なくしてシルフィが外に出てきた。メイドに任せて問題なく、立ち話もなんだと言うことで、レムの発案でお茶を囲むことになった。



「そういえば、聞きたいことがあったとか」

「ああ。検討はついてるだろ」


 少し話せば確信できることだが、この公爵は切れ者だ。あえての言い回しをするあたり、こちらが踊らされているような気分になるのは、頭の回転が同等だからなのだろうか。


「さっきのリマ、ですよね」

「覚えがあるような反応だった」


 あれは本当にウンディーネなのか、という問いに彼らは頷いた。

 宝石を持つ前のリマを知るサイモンは、魔宝石の役割が仮説と一致したことに安堵する。未発見のことが解明されていく過程は、どんな研究においても喜ばしいことである。


「ただ彼女も言ってた通り、僕らのあの状態は危険だと思っておいた方がいい。精霊に意識を……なんて言うのかな、乗っ取られている、が正解か」


 曰く、自覚はないが先ほどと同じような事を体験したことはあるようで、それは彼が幼い時に幾度かあった。その時必ずと言っていいほどあることが起きる。


「周りに大勢が倒れてるんだよね。モノも壊れてるみたいだし。ま、盗賊や暗殺者相手だから問題はなかったけど……」


 まるで当たり前の出来事のような口調で、似つかわしくない単語が落とされた。紅茶の柔らかい香りと視界に入る上品な茶器すら違和感に変わる。



「バケモノを見るような、あの怯えた顔は、あんまり見たくないよねぇ」

「……おそらくですが、私たちに危険が迫るとあの様にして精霊が身を守るのではないでしょうか」

「防衛本能か……」

「なんにせよ、結果命は助けられてきたけど、ちょっと度が過ぎるんだなぁ」


 後から周りに聞いた話であると前置きはしているものの、本人の意思とは別の力が大きく働いていることは確かだ。同時にそれは自ら精霊の加護を周囲へと証明することになる。


「僕らの意思はないんだ。彼らが敵と認識すれば、誰であろうと被害が及ぶ」

「昔からあるんだろうな。神に愛された何か、とか。そういった畏れから信仰になり得る」


 魔術には大きく分けて八つの属性があり、コアの属性を司るのが大昔に滅んでしまった根源精霊だ。

 地水火風__四大元素を司るのが四大精霊。

 光と闇、氷と雷の精霊がそれぞれ存在する。

 属性同士の相性はあるものの優劣はなく、精霊も同等の存在であると予想される。

 教会の信仰する最期の精霊:ティルナは、高位な存在なのだろう。

 滅んでしまった彼らの代わりに女神の命を代用しているこの世界は、着実に滅びに向かっている。

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