お前はここではただの人だ
ザシュ!バシュ!
シュキン、シュイン!
シュキン、シュイン!
「ほう、俺の斧にここまで追いついてくるとは……」
「私は弱い」
俺は強い。
「よく言うぜ、その剣の腕をもっていて……。だが、それもこの魔弾の前では無力」
獣人は斧を振り回し魔弾を放った。
ぎゅるるるるるるう!
さすがにあの魔弾の一撃はやばい。
スキル天邪鬼、あ。
バシュ!シャキン!
ロアルの剣の扱いは相当のもので、魔弾を瞬時に闇に葬った。
「俺の魔弾を切っただと?」
「私には何も切れない」
俺に切れないものはないみたいだな。
「いや、いま切ったじゃねえか……。確実に」
「……何を苦戦している」
「いや、こいつが俺の魔弾を切ったんだ」
「こいつが?」
まだ仲間がいやがったのか?
あれはダークエルフ!しかもあれは魔神の杖ラビオンじゃないか?
「ロアル!」
「……来るなといったはずだ」
こっちも仲間来てた。助かった……。
「私、どうしても心配で……危なくなったら転移の魔法で一緒に逃げよう」
「必要ない」
今すぐでもいいよ。
「どうして?またなの?」
「逃げなくていい、一人でやれる」
まずは町まで逃げてみんなで戦おう。
「そんな……」
「助けは必要ない」
じゃあ魔法で支援して。
「じゃあ私、近くで見守ってるからね……」
「ごちゃごちゃと何しゃべってるんだ?しかし、二人だと少々厄介だな。
姉さん、お願いできますか?」
「仕方ないね。そこの小僧は剣士だろ?魔法には何もできないはずだよ。
獣は、そこの魔法使いでもやってな」
「はい」
「やめるな」
やめろ。
「おや?そこの小僧、自分の名前を言ってみな?」
「私はロアルだ」
お前になんか名乗るかよ。
「私のこと好き?」
「好き」
「ふふふ、どうやらこれは楽しめそうじゃない」
◇
「逃がすかよ」
「ひっ」
「そこの魔法使い、逃げても無駄だぜ」
「誰がそう言われて従うもんですか」
「姉さんがここら一体に魔法を封じる結界を張ったのさ」
「……!?」
「だから転移の魔法は使えない」
「そんな……?」
「ああ、そしてお前はここではただの人だ」
「しつこいわね。しつこい獣は嫌われるわよ」
「お前、俺を怒らせたいのか?」
「そうね」
「ん……?お前今どこに向かっている」
「私のこと、ただの人って言ったわね?本当にそうかしら?」
「ああ……?」
「敵の幹部を発見しました!!」




