伝説の魔法使い2
「今までの私を見ていましたね?」
「はい」
「ここで先ほど魔法をかけてみました。どんな魔法かわかりましたか?」
「つまりそれってどういうこと?」
「……?」
「いや、正直全然わかりませんでした」
「この魔法はスキル無効化の魔法なのです」
「なんだと……?」
「それをかけたので……。私はこうして普通に話ができるようになったのです」
「おお!」
「それはすごい!」
「馬鹿な私でも理解できた」
「ですので、この魔法をかければ」
「かければ?」
「簡単にロアル君のスキル天邪鬼は無効化されます」
「うおおおおおお」
「すごおおおおい」
「……」
「あれ?一人喜んでない方がいられますね?」
「どうしたんだよルビア、ここは喜ぶところだぞ」
「喜びましょうよ。やっとロアル様が正常になるのよ。
私は今までが異常だとは全然思わなかったけど」
「俺もだぜ。少し性格が曲がってるけど、根は良いやつだと思ってた」
「そうそう、それそれ!そんな感じよ」
「みんな……」
「それで?あなたはなんで喜べなかったのですか?」
「そうだよ、なんでだ?」
「……第一にお金の問題です。そのような魔法の存在を私は知っていました。大体どのくらいの費用がかかるのかも。
第二に副作用です。そのような強力な魔法には副作用があると言われています」
「なるほど、貴女はなかなか頭が切れる」
「頭は切るなよ……」
「例えでしょ?私よりバカなんだから」
「うるせぇ、ちょっと場を和ませただけだろ?」
「……そして第三にその魔法には有効期限がある。違いますか?」
「ふーむ。どれも違うと言いたいのですけれど……」
「どれも当たりなんですね……」
「そんな……」
「嘘だろ?スキルの一つぐらい、魔法で完全消去させてくれよ」
「……説明をしてもらえますか?」
「いいでしょう、しかしロアル君が目を覚ます前にしなければならない。
早口で行きますよ」
「はい。絶対聞き漏らしません」
「第一番はドラゴン10体分、第二番は術者への副作用あり、第三番は一日です」
「わかりました……」
「結構、早口だったな……」
「私は何とか聞き取れたよ……」
「ってことはよ……」
「一生スキルを無くすためには、お金がいくらあっても足りない……」
「そういうことになりますね。誠に申し訳ありませんが」
「二番の副作用はどのようなものですか?」
「それは人によって違います。ですが私くらいの術者になると……」
「なると?」
「少しだけお腹が減る。以上です」
「なら別に無限に使えるじゃないか」
「そうなりますね?」
「それなら、伝説の魔法使い様が私たちのパーティに入ってくだされば」
「それはいい!ロアルのスキルはなくなったも同然じゃねえか」
「仮にそれが叶ったとして、お金はどうするのよ、お金は……」
「あ……」
◇
「どうか伝説の魔法使い様、私たちのパーティに入ってはくださいませんか?」
「そして無料で毎日ロアルさんを治療してください。そしてついでに敵も蹴散らしてください。お願いします」
「とても失礼なことだとはわかっています。ですが、私からもお願いします……」
「いや、さすがにそれは……」
「まずはお友達から、始めるのはどうですか?」
「だめですか?」
「あなたの望みは何ですか?」
「それを叶えたら入ってくれますか?」
「パーティに入らなくてもいいんです。お金を安くしてくれるだけでもいいの」
「みんな……本当にありがとう。でも、それは無理なお願いなのよ。わかるでしょ?」
「……」
「……」
「伝説の魔法使い様は一人しかいない。
その人がここを抜けたら、私たちのような……伝説の魔法使い様に頼ろうとしている人はどうなるの?」
「まあ……それは……」
「うん……」
「そしてお金の問題。これは王国内で厳しく定められているはずよ。
簡単には変えられない」
「だよなぁ……」
「でも……少しの割引ぐらいは出来ないのですか?」
「まあ、私もここまで言われたらね……。一割ぐらいならいいですよ」
「本当?ありがとう!伝説の魔法使い様」
「それでも俺たちの持っているお金からしたら……」
「二、三日が限度かしらね……」
「もう一つだけ方法が、あるにはあります」
「え?」
「それができるなら、お金も要らないし、呪いのスキルは無期限で消えることでしょう」
「……私はわかったわ」
「もしかしてそれって……あれかな?」
「……なんだよ、俺だけわかんねえ」
「ほんと、馬鹿ね」
「むしろなんで二人は分かったんだよ?」
「さあ?どうしてだと思う?」
「って、余計に話がややこしくなってるじゃねーか」
「この世界の現状を考えたら、すぐにわかるでしょう?」
「それってまさか……」
「魔王を倒す」
「魔王を倒す」
「魔王を倒す」




