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最初はグー……


「お待たせ致しました。……またまた少々申し上げにくいのですが」


「今度は何ですか?」


「定員のほうが、先ほど丁度一杯になりまして……」


「え?」

「え?」

「え?」


「我々の努力が報われた」

 今までの俺たちの苦労は水の泡?


「つまり、運が良かったってことか?」


「なーんだ、心配して損しちゃった。じゃあ改めて、普通のクエストを受注しましょ」


「悪いな。緊張した」

 定員一杯で良かった……。ほっとした。


「そりゃあ俺だって、ちょっと身構えちまってたぜ、ははは」


「私も、どんな魔境に連れて行かれるのかと思っちゃった」


「そ、そうね……」


「……あのー、まだ話しは終わってないんですけど?」


「?」


「?」


「?」


「?」


「定員は二名様となります。この用紙に、戦地へ向かわれる方のお名前、年齢、ご職業をよろしくお願い致します」


「!」


「!」


「!」


「!」


「こっ、こういうときはさ……行きたい奴が……」


「ダメ!不公平だわ」


「おぅ……」


「じゃあどうするの?みんなで行けないなら、やめるの?」


「ちなみに、キャンセルはもうできませんので、あしからず」


「……」


「じゃあ、仕方ない。やるぞ……」


「最初はグー……」


 あ。



 魔王の配下の龍人とは一体何者なのか……。

 その謎を解明するため、我々冒険者はアマゾンの奥地へと向かった――。

 そう、俺は大切な彼女を連れて。


「どうやら着いたようね……」


「いや」

 そうだな。


「この森の奥に……龍人は潜んでいるようよ。道中も気を付けて進みましょう」


「何もなくて守れない」

 何かあったら、俺が守るからな。


「……まずは、他の冒険者たちと合流しましょう。それが最優先よ。私についてきて」


「理解できない」

 わかった。



「……緊急クエストに参加している冒険者だな?」


「はい……よろしくお願いします。私は魔法使いで、彼は剣士です」


「……よろしくな。お前たちで参加者は最後だ。もうみんな森の奥へと向かってしまった」


「じゃあ、私たちも急がなきゃ」


「道は案内する。それと歩きながら敵の情報を教えておこう。聞いておいて損はないはずだ」


「お願いします」


「……魔王の配下の龍人は弓の使い手だ。装備品は魔神の弓ラビクルスだ」


「それは手強そうですね……」


「……」

 無心。無心。


「そうさ……。冒険者なら知っていると思うが、一応説明しておこう。

魔王の配下の幹部クラスが扱う武器は魔神シリーズと呼ばれ、それは魔王自らが作りだしたと言われている。

魔王の刻印と、武器から溢れるその禍々しいオーラから、誰が見ても一目でわかるんだ」


「はい……」


「知らなかった……」

 そんなの知ってたよ。


「そして魔神の武器からは魔弾と呼ばれる、魔王の力が秘められた悪魔の力が放たれるんだ。

今回はそれに注意することがとても重要だ」


「はい」


「斬れない……」

 それ前に獣人から浴びたが、普通に切れたぞ。


「この戦場では防御力や回避力がないと、困難な戦いになるだろう……。これを持っていけ」


「……いいのですか?こんな高価そうな盾を」


「そこの剣士には必要だろう?剣以外何も持ってないじゃないか」


「盾があると、剣で切れない」

 盾なんてなくても、別に剣で切ればいいんだけど。


「そうか?利き手と逆の手に盾を構えれば良いんだぞ?」


「あの、すみません、せっかくのご好意を無駄にしてしまったようで。彼は口下手で……」


「別に問題はないが……どうやらそのようだな。

まあこういうタイプの人のほうが、戦場では特別役立ったりするものなんだ。

ほら、もう少しで他の冒険者たちがいるキャンプ場に着くぞ」


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