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俺は最強だ

 一人の勇敢なる若者が、華麗にドラゴンの群れをなぎ倒していく。


 ザシュ!バシュ!シャキン!


 その者の剣の扱いは相当のもので。


「ロアル様すごい!」


 その森にはパーティの声援が木霊していた。


 ……そう、俺のスキルは天邪鬼あまのじゃく

 最強にして最高位のスキルだ。


「さすがです!これでは私の役目も……回復する必要もないですね」


 そうでしょう?そうでしょう?俺は最強だ。


 でも俺のスキル天邪鬼によって、発言は……思っていることとは変わってしまう。


「そんなことはない、私はまだまだです」


 天邪鬼とは本来、人の言うことにあえて逆らう人という意味だ。

 そうだ、それは間違いない。


 だがこのスキルは俺の思っていることに、わざと逆らうスキルなのだ。


 よって俺がいつも自分がすごいと思っていると、外見上は謙遜しているように話してしまう。

 つまり最強ってことだ。


「これほどまでお強いとは感心いたしました」


 この人たちは俺の三人の仲間だ。


「敵をほとんどやつけちゃったね」


「これで討伐報酬は私たちのものだね」


 俺は本当は魔法使いになって、魔法を極めたかった。

 でもスキル天邪鬼によって、やりたいことは反対になり。

 魔法のほうはボロボロ、一番どうでもよかった剣の腕が上がってしまったのだ。


「私はまだまだ戦える。一晩くらい寝なくても魔物を狩りましょう」

 今日はもう帰ろう。俺はゆっくり宿で休みたい。


「さすがにそんなことしてたら体がもたないよ?というか私たちが持たない」


「そうですよ、今日はもう十分に魔物を討伐しました。

今日はゆっくり休んで、また明日にしましょう」


「そうはいってもな、まだ休むわけにはいかない」

 それでいいよ。俺も休みたい。


「ロアルは毎回そう言うんだけど、ここで倒れたら元も子もないよ。

私が転移の魔法でまた皆を町にお連れしますから」


 そう言って魔法使いは、パーティを町へと転移させた。



「凶暴なドラゴンを八体も倒したね。さすがロアル様!」


「これで魔王の討伐に、また一歩近づきましたね」


「みんな、慣れない遠出で疲れたでしょ?今日は早めに宿屋に行って休もう」


「まだ、疲れていない」

 疲れた。


「もーう、ロアルはいっつもそう言うんだから」



 自分が思ったことを変えることはできない。

 自分を偽ろうとしても、何も意味はない。

 そんなことはスキル天邪鬼が全部お見通しだ。


 だからこのスキルがなくなるまで、俺は一生このままなのだ。

 だからこのスキルを闇に葬りたい。

 だからこのスキルを消すために俺は……。

 伝説の魔法使いを探しているんだ。

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