第三十話 街へ
久しぶりの投稿です。10話ほど書き溜めてあるのでそれが尽きるまで毎日投稿します。
日常編というか当分農業しないですね。
後、タイトル変更しました。前のものよりかはいいとは思うんですけどね。
「タローさん!今日もいいトマトができましたね!」
タローに声をかけてきたのはフィーだ。ヴァンパイアという種族は色白で焼けにくいのか肌が白く日の光に照らされて綺麗だ。ただあまり日光に強くないのかこんなに暑いのに長袖長ズボン、麦わら帽子までかぶっている。
時々日に焼けるのだが肌が真っ赤になって辛そうにしている。お風呂に入った時などは悲鳴がよく上がったものだ。
ただ人間にもよくあることなので意外とヴァンパイアと人間というのは変わらないのかもしれない。ただ本人たち曰く前に比べるとだいぶ良くなったのだという。理由はわからないがまあこんな炎天下に外に出て毎日農作業をしているのだ。肌も強くなるだろう。
さて今タローがこうして子供達に仕事をさせてゆっくりと椅子に座って休んでいるのには理由がある。
実はトマトの神樹を植えてからというものヴァンパイアの国での仕事がものすごい量に膨れ上がったのだ。
まずはあのトマトの神樹の世話についてだが彼らも俺もわからなかったので結晶に聞いたところ魔力と液肥なんかを時々やればいいという話だったのでそれで済んだのだが、あの神樹を植えた張本人ということで貴族たちの舞踏会に連日連夜呼ばれていたのだ。
断ればよかったのだがトマトの出荷量を今よりも上げるためには貴族たちとのつながりを作ることが大切なので断ることができなかった。そして貴族たちとの舞踏会に出てトマトの出荷量が増えたのだが、今度は増えすぎて出荷が追いつかなくなったなどの問題が出た。
その問題を解決したら次の問題ときりがないほど出てきたのだがそれらを全て解決しようやく今日休むことができたのだ。
本来は子供たちの教育で忙しかったのだが覚えが早く仕事ができるのでその問題はほぼなかった。だからこそこうしてゆっくり休んでいられるのだ。
「うん!いい調子だね。いやあフィーには助けられているな。こうして休んでいてもフィーがいるからなんの心配もないよ。何かお礼をしないとな。」
「いえいえ、仕事ですから。あ!でも…できればお願いを聞いて欲しいんですけど。」
フィーの上目遣いのお願いである。なかなか可愛いのだがフィーはここに慣れてきてからちょっとずるくなったように思える。前にもこうしてお願いされて給料を少し上げてしまった。不覚である。
「さ、さすがにこれ以上給料上げるのは…」
「い、いえ!違うんです。みんなここで暮らしていく上で色々買い物をしたいらしくて…街まで連れて行ってもらえないかと。」
なるほど、確かにみんなここで暮らしていく上でまだまだ必要な物があるだろう。神樹を植えてから一度連れて行ってはいるが、トマトの農園で働いているということがすぐにバレて人だかりができたせいでなかなか買い物ができなかったのだ。行く必要はあるのかもしれない。
「……給料は無理か。」
「ちょっとフィーさん?聞こえましたよ?」
どうやらずるくなったのではなく腹黒くなった。どうやら恐ろしい子を雇ってしまったのかもしれない。
「というわけで、街に行きますが今回も半分は残ってもらいます。それとヴァンパイアの国に行くと騒ぎが起きて買い物どころではなくなるので他の街に行きます。では行きたい人〜!」
しかし予想以上に手が上がらない。というよりも誰も手を挙げていない。行きたいと言っていたはずなのだがどういうことだろうか?
「あ、あのタローさん。他の街というとどこに行くんでしょうか?私たちヴァンパイア国以外の国に行ったことがなくて…」
フィーの言葉に全員頷いている。考えてみれば彼らはまだ子供だ。それにヴァンパイア国以外の国に行くということは必然的に住む者は皆ヴァンパイア以外ということになる。不安しかないだろう。
しかしどこの街に行くかは彼らの買いたいものを聴きながら決めようと思っていた。だがこの調子では先に決めてしまった方がいいのかもしれない。
『そういえば…タローよ。お前まだこの土地の借金も返していないだろう。後そろそろ新しい農地とここの農地周辺の土地も買った方が良いのではないか?』
「あ、確かに…ってことは……帰省するかな?」
ここの農地の借金を返して新しい農地を買うのなら実家のあるパーライト国に帰省するのが一番だろう。もうかれこれ3年近く帰っていない。リカルドにイチ、ウッドなどみんな元気にしているのだろうか。
「じゃあ今回はパーライト国に行きます。まあ人間の国で俺の実家がある国って思えばいいよ。」
タローの発言に全員黙り込んでしまう。全員不安そうだ。今回はやはりヴァンパイアの国に行って今度一人で行った方がいいのかもしれない。
「わ、私…行きます!」
フィーが席を立ちあがり勢い良く手を挙げた。そんなフィーにみんな驚いている。もちろんタローも驚いている。
「フィ、フィー…いくの?人間の国だよ?」
いつもフィーと一緒に居るリリーが心配そうにフィーに声をかける。ミリーもそうだよと言わんばかりに頭を縦に振っている。頭が取れそうな勢いなのでちょっとタローは心配になる。
「大丈夫!今回私が一人で行ってどんなところか見てきてあげる。それで安全だと証明したらまた今度みんなで行こう!ね?」
フィーの言葉にみんな不安そうだがその後もフィーが説得してみんなを安心させて今回はフィー一人だけが行くことが決定したようだ。というか男達よ…普通お前らが行くべきなんじゃないか?やはりこういう時は女の方が強いのかもしれない。
翌朝の早朝、善は急げとタローとフィーがポチの背に乗り他のみんなはいつもの作業に取り掛かることになった。他の女の子達はフィーが心配なのかお守りまで手渡していた。男の子達も何か声をかけていたが声が小さすぎてフィーにも聞こえたか怪しい。
「よし…じゃあ行ってくるけど何日かは帰ってこられないと思うからその間は頼んだぞ。」
「「「「はい!」」」」
良い返事である。いつもフィーが取りまとめているがフィーがいなくてもどうにかなるというのは何度か試しているので問題はないだろう。
「行ってきます。」
フィーが伝えてからポチで移動を始めた。久々の帰省である。情報が全く入っていなかったので今どうなっているか楽しみである。
出発してから数時間が経過し時刻は昼を少し過ぎた頃だろう。草原に吹く風が心地よく眺めもいい。まだまだ時間がかかりそうなため一度ここで休憩を取ることにする。
「ポチお疲れさん。ここで休憩がてら昼飯にしよう。」
『うむ。まだ疲れてはいないが腹は減ったな。さっそく飯にしよう。』
草原のど真ん中で休むのもいいのだが日当たりが強いのでフィーには厳しいだろう。なのでちょうど良さそうな木を見つけそこで休憩することにした。
「今日のご飯は…サンドイッチですね。紅茶もどうぞ」
フィーが収納袋からサンドイッチと紅茶を取り出す。どちらも出来たてで美味しそうである。まあこの収納袋は時間の経過を止めるので当たり前といえば当たり前なのだが、実際にこのサンドイッチはほぼ出来たてであろう。
なぜこんなことを言うのかといえば今日出る前に昼飯を作ったら収納袋に入れておいてくれと頼んでおいたからだ。この収納袋はポチによって大量に複製品が作られそれぞれに能力が備え付けられている。
例えば収納のみができる袋は収穫の際に使っている。取り出すのは出荷工場に幾つか設置されておりそれぞれに制限がかかっている。制限なしなのもいくつか作ろうと思ったのだがポチ曰くそう言った複製品というのは作ることができず必ず制限が付いてしまうとのことだ。
前に一度近いものを作ってみたのだが出す際に制限があり、1日の出せる量に制限がかかってしまい大量に出せないものになってしまった。やはりオリジナルの収納袋が一番である。
この収納袋だけでも十分ビジネスができそうなものだが農業以外に手を伸ばすつもりはない。
そんなことより今日のサンドイッチはリーフィルとトマトとハムである。リーフィルは食感の良い菜物でそのまま生で食べられることが多い。少しエグミがあるがそれもまた良いとそれなりに評判である。
このハムとリーフィルはヴァンパイア国産である。パイア以外はあまり多く育てられていないが意外と様々な野菜を育てている。
ポチもフィーも美味そうに食べている。ただよく見てみるとポチはハムを抜いている。ポチはこのハムがあまり好きではないらしい。前になぜかと聞いたらパサパサしているし何の肉かよくわからんとのことだった。
仮にも狼の獣神なんだから野菜じゃなくて肉喰えよ…
というわけで帰省します!しばらくの間街編になります。




