209. 初めてのポーション作り2/2
「間違いないねぇ。」
「間違いない?」
「これは中級はポーションだね。それと、中級にしては効果が高い。余程腕のある薬師が実験でもして生み出した代物だろう。
こんなことをするのは魔女か・・・。」
「魔女?」
中級?なんで?初級の間違いじゃないの?
「どこで手に入れたのかは知らんが、製作者は魔女だろう。インディールの赤目の魔女と呼ばれる薬師だ。
お前さんいいものを手に入れたな。」
「えっと・・・その魔女には会ってみたいけど、魔女が作ったものじゃないです。」
「何?製作者を知っているのか?どこの誰だ?」
「これ、内緒にしてくれる?」
「あぁ、勿論だ。決して口外はしない。こんな腕を持つ者なのに心当たりがない。表舞台には出たがならない者だろう。」
「これを作ったのは、」
言っても大丈夫かな?口外しないって言ってくれたし。
「これを作ったのは?」
「僕です。」
「はぁ!?お前さん子供の姿の大人か?」
「僕は12歳なので子供です。」
また子供の姿の大人に間違われた。
「どこの薬師の弟子だ?いやこの腕だからもう独り立ちしているか。」
「誰にも弟子入りはしてない。それに、今日、本を見ながら初めてポーションを作ったの。
初級ポーションを作ったつもりだったのに、色がおかしいから心配で相談に来たんです。」
「なんと!そんなことが・・・?
ん?初級ポーションを作ったつもりというのはどういうことじゃ?
ちょっと店を閉めるから奥で話そう。」
「分かった。」
僕もこのポーションに詳しいおばあちゃんに聞きたいことがある。魔女のこともだし、このポーションのことも。
奥にはポーションを作る道具が置いてある部屋があって、その部屋の端にある椅子に座るよう言われた。
おばあちゃんは紅茶を淹れてくれて、そこにはジンジャーが浮かべてあった。
「それで、初級ポーションを作ったつもりだったというのはどういうことなんじゃ?」
使った薬草は2種類で、中級ポーションに使う希少な薬草は使っていないことを話した。
作った過程を聞かれたから、薬草を摘んで片方は魔術で乾燥させて2時間煮て、もう片方は擦り潰して、鍋が冷めたら入れて混ぜたら出来上がったと話した。
「手順も使った薬草も、確かに初級ポーションじゃな。変わったことと言えば葉を魔術で乾燥させたことくらいか。」
「そうなの?みんなはどうやって乾燥してるの?」
「何日か日に当てて乾燥させるんじゃ。」
「そうなんだ。」
「そう言えばお前さん朝店に来ていたか?」
「うん。ハカリと濾紙と鍋とコルク栓を買いました。」
「そうか。乳鉢と乳棒や攪拌棒は持っていたんじゃな。ロートもか。」
「もしかして・・・。」
僕は少し思い当たった気がした。
トレントは魔獣で魔力を通しやすい。その乳鉢や乳棒を使って、攪拌棒で混ぜた。
その時、早く治るようにとかお願いしたから僕の魔力が流れて変質したのかも。
「なんじゃ?思い当たる節があったのか?」
「乳鉢、乳棒、攪拌棒、ロートはトレントのものを使いました。それで、僕の魔力が流れたのかも。」
「トレントのそんな道具が売っているのか。それは興味深い。
それにお前さんの仮説は正しい可能性が高い。」
「そっか。」
「お前さん、そのポーションをどこかに売ったか?わし以外の誰かに話したか?」
「誰にも売ってないし、1人で寮の部屋で作ったから、作ってることは誰も知らない。」
「そうか。それならよかった。
これほどのものが流通したら、ましてやお前さんが作れるということが分かったら大事になる。
それで寮というのはなんだ?学校か?」
「僕は王国騎士団に在籍してて、騎士団の寮に住んでるんです。」
「その歳でか?そうなると・・・
まぁバレても国が守るか。しかし上には報告しておいた方がいいじゃろうな。わしでは手に負えん。」
「そう、ですか・・・。」
なんか、怒られそうな気がする。
また余計なことをしちゃったのかも。
「それでトレントの道具はどこで買った?ラジリエンか?トルーキエか?わしも買えるなら欲しい。しかし高いんじゃろうな・・・。」
「今度おばあちゃんの持ってきてあげるね。余分に持ってるから。」
ペンを作った時にトレントの加工ができることは言っちゃいけないって言ってたから。ちゃんとそれは守らなきゃ。
「そんな貴重なものをいいのか?」
「色々教えてくれたから。
あと、一つ教えてほしい。赤目の魔女のこと。」
「ん?何が知りたいんじゃ?」
「魔女は、薬師なんだよね?魔術師じゃなくて。」
「そうじゃな。彼女は魔術は薬師の仕事や結界にしか使わない。攻撃やなんかはしないね。」
「そうなんだ。おばあちゃんは魔女と知り合いなの?」
「あぁ。兄弟弟子じゃ。同じ師匠について一緒に学んだことがある。大昔のことじゃが。」
「凄い。そうなんだ。僕は来月旅に出るんだけど、その魔女に会いに行きたいと思ってて。」
「そうか。じゃあわしが手紙でも書いてやろう。あれも気難しいからな。知らん人間は近づけたがらない。」
「そうなんだ。おばあちゃんありがとう。
僕はシュペアです。おばあちゃんは?」
「シュペアか、覚えておこう。わしはヒュギエーネじゃ。みなにはエーネと呼ばれておる。」
「エーネさん色々教えてくれてありがとう。また来るね。」
「あぁ、いつでもおいで。」
僕は少し複雑な気持ちで寮に戻った。
このことの報告は、きっと早めにした方がいいんだろう。
でも今日は領主様はお休みで、お休みを邪魔したくないな。
伝令魔獣で明日の朝話があるって伝えておこう。
僕は紙に、少し重要かもしれない話があるから朝一で話をしたいと書いて、領主様の邸に伝令魔獣を飛ばした。
上手くできたら旅に持っていこうと思ってたけど、効果の高い中級ポーションか・・・
気軽に使えない。
エーネさんのお店で普通の乳鉢とかの道具買えばよかったな。
それでもう一度作ってみれば・・・。
トレントの道具でもう一度作る気にはなれなかった。
閲覧ありがとうございます。




