205. ルシカの恋物語(ルシカ視点)3/3
店を出て、最初の角を曲がると俺はしゃがみ込んだ。
「ハァー緊張した。兄もお父さんも表情硬くて怖いし。お母さんは優しそうだったけど。
メルも無言になるし。俺家族の前で振られるのかと思った〜
俺、大丈夫だったんだよな?嫌われてないよな?結婚、許してもらえたんだよな?まさか夢か?」
フハハハハ
後ろから笑い声が聞こえて振り向くとメルの兄がいた。
一瞬にして血の気が引く。
「もしかして・・・俺、心の声漏れてました?」
「あぁ。ダダ漏れだな。」
終わった・・・。
俺は頭を抱えた。
「未来の弟よ。実はそんな奴だったのか。本当にその辺に居そうな普通の奴なんだな。」
「そうですよ。だから名ばかりだと言っているんです。」
「俺はこっちの方が好きだが。」
「このこと言います?」
「まぁ、親父もお袋も話した方が安心するだろうから言う。」
「そうですか・・・さっそく破談ですか?」
「メルがその気なうちは大丈夫じゃないか?」
「そうですか・・・。時間の問題か。」
「メルは今のあんたを見ても平気だと思うがな。」
「そうだろうか。俺はメルにはいつでも余裕があって頼りになる格好いい男だと思っていてほしい。」
「へぇ〜」
「情けない姿は見せたくない。ヒスだって好きな女には、格好いい男だと思われたいだろ?」
「ほぅ。」
「何だよ、ほぅって。
いや、いつかは俺がそんなにちゃんとした人間じゃないとバレるだろうが、ちゃんとしていなくてもちょっとふざける時があっても、メルを好きな気持ちも守りたいと思う気持ちも本当なんだ。」
「そうか。だとよ。」
「は?なんだ?」
俺が顔を上げると、ヒスの後ろからメルが出てきた。
「な・・いつから?」
「兄がルシカさんに声をかけた後から。」
「そっか。俺、そんなちゃんとした奴じゃない。ごめん。」
「何で謝るの?私は嬉しかった。ルシカさんが私のことそんな風に思っててくれたこと。
私は大好きだよ、今のルシカさんも。」
「あーちょっと待て。俺を挟んだ状態でそんな会話をするな。こっちが恥ずかしい。
俺はもう帰る。あとは2人で勝手にやってくれ。」
「すまん、ヒス。」
ヒスは帰っていった。
「メル、色々ごめん。貴族のことも黙ってたし、格好つけてた。」
「そうだよ。もう何も隠してないよね?もう隠し事は無しだよ。」
「あぁ、分かった。もう隠し事は無い。」
「そっか、ならいいよ。」
「ありがとう、メル、抱きしめさせて。」
「もう、しょうがないなぁ〜」
やっと綺麗にピースがはまった気がした。
きっとこれから、俺は彼女に頭が上がらないんだろうな。
でも、それが何故かしっくりきて、彼女からも俺に対する遠慮した感じが無くなった。
「メル、絶対に幸せにするからね。」
「ふふふ、また格好つけて。」
「うん。でも本音だ。」
「そっか。ありがとう。」
「なぁなぁ、ゲオーグ〜」
「何だ?ニヤニヤして気持ち悪いぞ。」
「辛辣だな。別にいいけどー。
とにかく聞いてよー」
「何だ?」
「俺、彼女の家族に会って、結婚申し込んだんだ。それで認めてもらった。」
「それは良かったな。おめでとう。ルシカは結婚するのか?それでパーティーは抜けるのか?」
「いや、まだ結婚はしない。パーティーも抜けない。春には旅立つことも伝えてある。年に1度か2度しか戻れないことも。」
「大丈夫なのか?それでいいのか?」
「あぁ。まだやり残したことがあるしな。せめてシュペアが成人するまではパーティーを続けたい。
一度決めたことは途中で投げ出したくない。」
「俺は構わないが、相手はそれでいいと言っているのか?」
「まぁな。」
「そうか。ルシカはいい人を見つけたんだな。」
「あぁ。」
俺は旅立つ前の週に、彼女をクンストに連れていった。
そしてホルツを訪ねて、ポケットサイズの絵を描いてもらった。
初めは1人ずつの絵姿を描いてもらってお互いに持っていようと思ったが、2人並んだ絵姿を2枚描いてもらい、お揃いの絵を2人で持っていることにした。
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