222 敵役の魔人が出せないとなれば、ヒーローショーは成立しないw
「ふふふ。心配ご無用。天地無用。ちゃあんと私のところにゲリラライブヒーローショーの動画が来ているわんよ」
と言いつつ僕に動画の映ったスマホの画面を見せてくれる犬咲店長。
確かにこれはR-1号がエリスに「健康精進看破光線」を浴びせ、出てきた魔人をR-2号が「ニホニウム光線」で仕留めた映像。いつ誰が撮影したのかなと思えば、犬咲店長にこの動画送ったの老谷のじいちゃんじゃないの。
「そりゃあね、わしゃあ犬咲ちゃんとはお友達だから」
ある意味、ご高齢にして総合ホビーショップの店長とお友達で、スマホで動画を撮って送信。たいしたもんかもしれない。だけどR-1号・R-2号を筆頭に僕の周りは能力の高さをろくなことに使わないんだよね。
◇◇◇
「とにかく本堂君、新田君と剣汰瓜さんの仲が良くって羨ましいからと言って、奇行に走るのはほどほどにしなさい。そして、アールイチゴウさん。いくらそれが剣汰瓜さんのためになると言われても奇行の手伝いをしちゃ駄目ですよ」
「はーい」
「分カッタ」
根気強く説得する鵜鷺先生。しかし、サダヨシはやっぱり鵜鷺先生に叱られるのが嬉しそうだし、R-1号はなんかこう根本的な考え方自体が違うからなあ。
「アールニゴウさん。鵜鷺先生は本堂君を叱っているつもりなんだろうけど、傍から見ていると本堂君からするとご褒美もらっているようにも見えるんだよね」
「私ニハ分カラン」
ねこや先生、鵜鷺先生のご指導がサダヨシにとって「ご褒美」になりつつあるのではという、そのご見解。僕も正しいと思います。
ただその確認をR-2号に求めても無理です。R-1号と同じで根本的な考え方が違うでしょうから
◇◇◇
「じゃあ早速明日さ。下総屋に来てよ。アールイチゴウさん、アールニゴウさんに絵栗鼠ちゃん。ゲリラライブヒーローショーは正午からやりたいから午前11時に店に来てもらえば。バイト代はずむよ」
犬咲店長、ノリノリですね。
「これは受けるべきだな」
腕を組んで目を閉じものものしく言う老谷のじいちゃん。
「そうじゃな。これを受けてこそ『漢』ぢゃ」
やっぱりものものしく言う三太さん。だけど、ケンタウリ人とその配下のアンドロイドたちに「漢」は通用しないと思いますよ。
「うーむ」
珍しく真面目な顔をしているエリス。何だ何だ?
「そうは言ってもだな。犬咲店長。これと同じことを明日やれと言われても無理なのだ。なんしてなら」
へ? という表情の犬咲店長。
「あたしの身体にいた魔人はだな。さっきR-1号さんが全部追い出しちまって、R-2号さんが全部退治しちまったのだ。だからあたしの身体から魔人はしばらく出せないのだ」
「何てこったわん」
頭を抱える犬咲店長。
「絵栗鼠ちゃん、そこんとこ負からない? バイト代はずむからさあ。お願いっ!」
まあエリスの身体で調子悪いところは全部治療しちゃったんだもんね。敵役の魔人が出せないとなれば、ヒーローショーは成立しないよね。
「絵栗鼠ちゃん。バイト代出ればさあ、またチョコパフェたくさん食べられるよ」
おお、そっちから誘惑しますか? 犬咲店長。しかし魔人が出ないことには……
「…… 分かった。じゃあ明日はオキムネの身体から魔人を出すことにしよう」
ちょっと待てー。エリスッ! さっき地球人に「健康精進看破光線」に浴びせれば、どんな副作用があるか分からないと言ったばかりだろうがっ!




