200 バイトの背中に悪霊が取りついていれば話は別だw
「オ・キ・ム・ネ~」
憤怒の表情のエリス。しかし、ここはいつまでもデートごっこにつきあってはいられないよ。
犬咲店長、この際エリスはスルーして、セッティングの指示を!
「分かった。新田君、空いている段ボール箱に必要なものを入れて持ってきて。チェキは二台あればいいでしょ。マジックペンは念のため十本持ってきて。後、予備のレジ持ってきて。釣銭は金庫に…… いや、釣銭は犬咲店長がやるわ」
うおおおお、何か高校生になったって実感が湧いてきたぜ。中学の時はバイト禁止で、やりたきゃあ高校生になってから、学校に許可取ってやれって言われていたからね。
学校の許可はもらっているし、小遣い稼ぎにもなる。社会に参加しているって気にもなるし、バイト最高!
「オ・キ・ム・ネ~」
エリス。バイトとは働くものなのだよ。プロレスごっこやるデートごっこをするものではないのだよ。さあて、コスプレR-1号とR-2号の握手会の準備を~
「オ・キ・ム・ネ~」
何とエリスは控室に備品を取りに行こうとする僕の首に後ろからしがみついてきた。取りついた悪霊か?
しかし、こんなものに負けてはいられない。僕は後ろから取りつくエリスを引きずりながらも段ボール箱に備品を集めた。
「オ・キ・ム・ネ~」
うう、負けてたまるか。
◇◇◇
さすがに犬咲店長は慣れていて、握手会の会場設営はスムーズにいった。
始まってからの運営の仕切りは犬咲店長に琴理さん、それに老谷のじいちゃんと三太さんの義兄弟が頼まれなくても買って出てくれているようだ。
では、僕の仕事は何でしょうと聞いたら、イベント会場によくいる「ここが最後尾でーす」と言っている萌えっ娘が描かれた看板を持つ係なのだ。
バイト初日の仕事としては妥当でしょう。大事なのはお客様方に愛想よくすることで。
但し、それは普通の場合で、僕の場合は背中に悪霊エリスが引っ付いている状態なわけで……
◇◇◇
老谷のじいちゃんと三太さんの義兄弟がコスプレR-1号とR-2号に監視役のコスプレねこや先生を誘導して、巡回を完了。
何だかんだであの義兄弟は凄い。R-18コーナー以外を満遍なく巡回して、こっちの会場準備完了を見計らって帰ってきた。バイト代出るのかな?
そして、一行にぞろぞろついてくる女性客のみなさん。みなさん笑顔で楽しそう。握手会に期待しているんだろうなあ。
しかし、そんなみなさまの表情は凍った。会場周辺に「ここが最後尾でーす」と言っている萌えっ娘が描かれた看板を持つバイトがいるのは驚くことでも何でもない。
但し、そのバイトの背中に悪霊が取りついていれば話は別だ。




