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第二章「嵐」

 あんずは高校の時から“tiny tiny”というバンドを組んでいる。といってもプロになりたいってわけではなく、遊びで組んでいるという。あんずはそれを「子どもみたいに

好きなことする、音を楽しむため」のバンドだという。そのバンドメンバーと僕は割と面識があった。それは、僕もあんずもそのバンドメンバーも、高校の時の同じクラブの先輩、後輩にあたるからだ。

 なぜ突然こんな話をしだすのかというと、ちょっとした事件が起きたからだ。事件というほどのことでもない些細な出来事だったのだが、それは僕に小さなしこりを作った。


 6月のある日、僕の後輩からメールが入った。その子はあんずのバンドでボーカルをしている。

『あんず、最近学校が嫌ならしくて…何か聞いてることないですか?』

という内容だった。僕は全く知らない。

『いやぁ特には聞いてないけどなぁ。あいつなんか言うてた?』

と逆に聞き返してしまった。そしてやり取りしているうちに聞けたことは

『サークルのドラムの人がちょっと…しつこいらしくて…』

という内容。僕はおどろいた。そんなことはあんずからは一言もきいていない。あんずのバンドメンバーは高校を卒業してみんなバラバラの進路をとったので大学での事情まではわからない。結局僕らだけでは何もわからなかったので、

『俺からまたあんずに聞いてみるわ。ありがとう。』

とメールを終わらせた。

 その夜床に就きながらメールで話したことをいろいろと考えていた。

なぜあんずは僕にはそのことを言わない?真面目な性格のあんずが学校に行くことを嫌だと思うくらい悩んでいるのに?しつこいってのはなんだ?まさか僕に言えないようなことをされたんだろうか?したんだろうか?

だんだん僕はいら立ってきた。暗闇で考え事をすると悪いことばかり考えてしまう。顔も知らない大学生ドラマーには嫌悪感しかなかった。そしてあんずにも、少しの怒りを覚えた。





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