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黎光の継承―七つの魂と選ばれた少女―  作者: りこ。
レンセリオン過去編
85/382

第84話 王命の婚約*挿絵

王の謁見えっけんの間。


玉座の背後には、ルクヴェル王国の紋章が大きく掲げられていた。


白き竜が光を抱く盾を守り、剣と天秤てんびんが正義の名を示している。

黄金おうごんの意匠は、差し込む朝の光を受け、静かに輝いていた。


白金はっきんの床は、その光を冷たく返している。


その光に満たされた空間で――

レンセリオンは玉座の前に片膝をついていた。


玉座にす父王アウレイン・ヴァル・ルクヴェルの声は、

いつもと変わらず静かに響いた。


けれど、その声が告げた内容に、

レンセリオンは思わず顔を上げる。


「……婚約、ですか」


王は静かに頷いた。


「セレフィアの姫君は、“うつわ”の継承者けいしょうしゃだ。

“希望の魂”を宿し、世界の均衡きんこうを担う者――

そなたの“正義の魂”と、強く共鳴きょうめいしうる存在でもある」


その言葉は重く、広間の静寂に沈んでいく。


「そなたが迷う必要はない。

世界を導く光と、正義を掲げる我らルクヴェルが結ばれる――

これは必然だ」


レンセリオンは、喉が強張るのを感じた。


「ですが……私は、まだセレフィアの姫君にお会いしたことがなく――」


言い終えるより早く、父王の声がそれを遮る。


「案ずるな。

いずれ姫は、王立学院に設けた特別な学舎へ来る。

手筈てはずはすべて整えてある」


(……もう、動かしているのか)


父王の決断は、常に速い。


俺が悩む余地など、

はじめから用意されていない。


拒めば、王族としての責務から背を向けることになる。


だが――胸の奥に、鈍い痛みが残った。


「……王の御意ぎょいに添えるよう、努めます」


絞り出すように告げると、

父王は満足げに頷く。


「よい。

ルクヴェルの“光”は、そなたから始まる。

期待しているぞ……レンセリオン」



『王命を見下ろすルクヴェルの紋』

挿絵(By みてみん)

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