表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/140

第63話 光の一点、夕陽のコートで

夕陽が差し込み、影が長く伸びる時間帯。


できる試合数は二つだけ――

そのため、勝ち抜き戦となった。


ルールはシンプル。

最初の二チームが戦い、その勝者が残りの一チームと当たる。


組み合わせは、練習中のラリー数で自然と決まった。



◆第一試合


リリナ&カイル

VS

エリオン&レヴィアン


前衛に進み出たのは、リリナと――エリオン。


(……えっ、壁……?)


目の前に立つエリオンは、静かな迫力をまとっていた。

広い肩幅が、まるで行く手を遮る“壁”のように見える。


(これ……私でいいの?)


思わずカイルを振り返ると、

彼は力強く二度、頷いた。


(……うん、やるしかない)


気を取り直し、前を向く。


その瞬間――エリオンと目が合った。


彼は穏やかに、にこ、と微笑む。


リリナもつられて、ふにゃりと笑ってしまった。


ラケットを構えた直後――

レヴィアンのサーブが放たれる。


鋭い軌道。


思わず見送ってしまいそうになるが、

後衛のカイルが軽やかに拾い返す。


序盤は、エリオン&レヴィアンがリード。


エリオンは無駄のない動きで確実に返し、

レヴィアンは力強い一打で流れを押し上げる。


隙のない連携だった。


リリナは、なかなか出番がないまま時間が過ぎていく。


(……どうしよう……)


焦りが胸に差しかかった、そのとき――


レヴィアンの返球が、低い軌道でネットを越えてきた。


「今です」


エリオンの声が聞こえた気がした。


リリナは一瞬だけ、彼の顔を見る。


――でも、迷わない。


全力で踏み込み、ラケットを振り抜いた。


ぱしんっ!


鋭い音が、コートに響く。


ボールは一直線に走り、

ラインぎりぎりの内側へ――落ちた。


レヴィアンの判断が、一瞬だけ遅れる。


そのわずかな隙が、勝敗を分けた。


審判のルークが、静かに腕を伸ばす。


――ポイント。


「やった〜!!」


リリナは両手を上げて、ぴょんと跳ねた。


その向こうで、エリオンが嬉しそうに笑っている。


「お見事です、姫様!

今の一打は、百点分の価値があります!」


カイルが叫んだ、その瞬間――


見学していたレンセリオンとユリウスが、同時に吹き出した。


「……百点……!」


ふたりで肩を揺らしながら笑っている。


試合はそのまま、接戦のまま進み――


結果として、エリオン&レヴィアンの勝利となった。


けれど。


リリナの“初得点”は、

この日いちばんの拍手を呼んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ