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第46話 沈黙の星が語ること

今日は、ユリウスの講義の日だった。


小講堂に入ると、先に座っていたレンセリオンが振り返る。

一瞬、視線が重なった。


ふわりと胸が熱くなる。

聖光蛍の夜が、まだ体のどこかに残っていた。


微笑み返し、扉際の席に腰を下ろす。


隣ではアルメアが、小さな手鏡を覗き込み、念入りに表情を整えていた。


(いつも完璧……大変そう)


こちらの視線など意に介さない様子だ。


やがて——

小講堂に、静寂が落ちる。


「本日の講義を務めさせていただきます。

セレリオス王国、ユリウス・ノア・セレリオスです」


凛とした声が、静かに響いた。


自然と、全員の視線が前へと集まる。


ユリウスは一礼し、落ち着いた表情で語り始めた。


「我が国セレリオスは、

世界の最北端——“雷と月”の国と呼ばれています」


夜を統べる月光。

沈黙のうちに落ちる雷光。


その二つが交わる瞬間だけ、

“真実は最も澄む”と信じられてきました。


「我が国に在る雷蝶エリシアは、

破壊ではなく、“虚を祓う清めの雷”です」


雷鳴を伴わない——“音のない雷”。


「その光は、世界の歪みを正すとされ、

嘘や幻に触れるときだけ、静かな雷が走ると言われています」


月明かりに紛れて舞う、白い蝶のように。


静かで、けれど抗えないほどに強い光。


ユリウスの語りは淡々としている。

それでも、その言葉にはどこか優しさと、深い信仰の温度が宿っていた。


声は静かだった。


けれど——


小講堂の空気が、ゆっくりと澄んでいく。


まるで彼の言葉に導かれるように、

まだ見ぬ星々までもが、

静かに耳を傾けているかのようだった。

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