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悪役令嬢にそんな『力』はありません!  作者: 黒い猫
第十九章 特訓にて
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第1話


 魔法上達への近道。それすなわち「精神の落ち着き」が最重要課題だとされている。


 でも、それは「そもそも膨大な魔力を持っていたからこそ」であって、普通の場合は「魔力を増やす」というところから始める。


 人によっては既に魔力を持っている事もあるらしいのだが、イリーナは魔力を持っていたのものの、アリアやキュリオス王子と比べると少なかった。


 だから通常通りに「魔力を増やす練習」から始めた。


 その後に「魔法の制御の練習」をする……のだが、実はこの「制御の練習」というのがなかなか難しい。


 ちなみにこの「制御」に関しては「増やした魔力の量」や「元々魔力が多い人」は

なかんか大変な様だ。


 でも、結局この「制御の練習」の途中で調子に乗ってしまったが故にああいった事が起きてしまったのだが……。


「でも……」


 チラッとカレンダーの方を向く。


 実はこの学校は前回の試験から体感としてはそれほど時間が経っていない様に感じるけど、もう少しすれば試験があるのだが、この試験が前回とは少し違う。


 実はこの学校では年に四回試験が行われており、その内偶数回目はクラス分けの試験も兼ねて行われる。


 それ故にちょうど下位と上位の中間くらいにいる生徒は死に物狂いで勉強に励む。


 そして、それは現在下位クラスにいるクローズにも同じ事が言えるのだった。


◆   ◆   ◆   ◆   ◆


「失礼致しました」


 そうしてイリーナは試験に向けて授業で分からないところなどを積極的に聞きに行く様になり、友達……とまではいかないものの「特訓」という名目でアリアにも協力してもらえる様になった。


 で、今はアリアに見てもらいながら「当たれ!」と命令をしながらも的から随分と離れた魔法を繰り出す。


 しかし、その繰り出された魔法は下手をすると目標よりも随分と遠く離れた場所にある隣の的の方が近いかも知れない程の文字通りの「的外れ」だった。


「うーん。魔法の大きさ、威力は申し分ないけど……」

「距離感が全然つかめていませんね。途中までは真っすぐ目標まで飛んでいますが……」


 アリアの発言に、キュリオス王子も「うん、そうだね」と再度放たれた魔法を目で追いながら確認しているのが見える。


「……」


 基本的に実技の試験で見られるのは「魔法の制御」ではあるが、実際に使えなければ意味がない。


 今は「的当て」を行って素晴らしいノーコンぶりを披露しているが、実は違う形式で魔法の実技を行った場合はなぜかイリーナは指定された魔法よりも魔法を小さくしてしまう傾向があった。


「的当てになると他の項目は悪くないのですが……」

「的当てじゃなくなると今度は威力がガクッと落ちるみたいだね」


「はい。でも、それはきっと何か理由があっての事でしょうし、それが直れば……私も危ないです」

「何か理由か……」


「……」


 そうキュリオス王子は少し考え「まさか、あれか?」と小さく呟いた。

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