第2話
「今の……本当?」
「はい、確認したところ全員の様です」
「……そう」
決して予測していなかったワケじゃない。むしろこうなる可能性の方が高かったくらいだ。
それくらい、あの「ソフィリア」という先輩に彼らは骨抜きにされてしまっているのだろう。
――それでも……全員だなんてね。
ただ分かるのは、きっと彼女たちもイリーナと同じ様に……いや、きっともっと早い段階で自身の婚約者に対して苦言を呈していたはずだ。
――でもそれが逆に良くなかったのでしょうね。
ひょっとしたら、彼女たちも今日のイリーナの様に悪者に仕立てられてしまったかも知れない。
しかもそれに対して「身に覚えがない」といくら訴えてもその婚約者が逆に彼女の証言だけを鵜呑みにして味方になったのであれば……呆れるどころの話ではない。
――私とリチャード王子は……確かに「普通の婚約者の関係」とは違うけど、それでも結構悲しかったもの。
一応、リチャード王子から話は聞いていたものの、それでも言いがかりをつけられてのはつらかった。
ただ、彼女たちは違う。
小さい頃に婚約し出来る限り一緒に過ごし、仲良くなり、親同士が決めたのかどうかは分からないが、それでも家の為と考えてか本人たちの意向かは知らないが将来は結婚するはずなのに……。
それが突然見ず知らずの人間。しかもその相手が本来であれば関わるはずのない庶民と自分以上に仲良くなっているという事実を知ったら……。
それは領地に戻りたくなってしまうのも分かってしまう。
――でも、そうなると……あのソフィリアという先輩に嫌がらせをしたのは婚約者のいる令嬢ではない可能性が高いという事ね。
あるいはその領地に戻った令嬢と仲の良かった人物たちによる制裁か……その辺りは良く分からない。
しかし、その可能性は十二分に考えられる。
――特にあの一件に深く関わっている『ステファン・ローレンス』の婚約者は……確か色々な人たちから頼りにされる程の人望を持っていたはずだもの。
ただ、そんな彼女すら自分の領地に戻ってしまうほど精神的に追い詰められてしまった……という事なのだろう。
「本当に……怖い話ね」
「はい。どうやらこの話は各婚約者のご両親の耳にも入っている様です」
「そうでしょうね」
「はい」
どういった経緯で各々婚約を結んだかは知らないが、学校に通っていたはずの自分の娘が突然帰って来たとなれば「どうした?」と思うのが普通だろう。
そして、娘から経緯を説明されてその内容に納得出来なければ「どうなっている」と相手方に言いに行くのが「普通」なはずだ。
ただ、それは双方の立場が対等。もしくは優劣がなければ……の話ではあるのだが。




